「打破」ドリーム U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
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彼女たちの献身と不屈の闘志に頭が下がる。
境遇を嘆かず前進する話しだった。
アメリカによるNASAの有人飛行を達成するまでの話しが軸にある。
ロシアの成功に後陣を拝する形で計画は進められていくのだが、文字通り前人未到の計画で、人間の叡智の限界を更新するような計画なのだが、その背景には白人社会があり、未だ差別がまかり通ってる状況がある。
アメリカの威信がかかってる訳なのだが、そのチームから黒人の名前は除外される。
彼女以外、誰も出来ない仕事をしてもだ。
だが、彼女たちは存在を主張する。
自分たちの限界を決めはしなかった。
前例がない事に異をとなえ、「第一人者」である事の重責を背負い誇りを手に入れた。
自由の国アメリカは、この時点では黒人にとっては自由ではなかった。
この作品の随所にその不遇さが挿入される。
閉じられたドア。
辞令。
名前の載らない報告書。
アメリカの過ちを隠す事なく表現してるシーンもあり、好感がもてる。
IBMの導入が現代のAIにも置き換えられそうで、皮肉を感じたりもするが、彼女たちのようにそれでも人の可能性を信じたい。
作品のエンドロールに彼女たちの功績が2016年に国から認められ賞を授かったと紹介されてた。その事自体は凄い事なんだが、それを認めるまでの歳月に、未だ横行する白人社会の軋轢を想像したりもする。
「DREAM」という邦題は綺麗過ぎる印象だった。そんな幻に向かうような内容ではなかったし、そんなモノが語られる事もなかった。原題は「隠れた人物」と訳されるそうな。なるほど、激しく的を得てる。
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