「3人の女優たちが常に凜としている!!」ドリーム MPさんの映画レビュー(感想・評価)
3人の女優たちが常に凜としている!!
アメリカがソ連に対抗して推し進める宇宙進出プロジェクト"マーキュリー計画"を影で支えた黒人女性スタッフたちの足跡は、まさに映画の原題「Hidden Figures(=隠された人物)」と題するに相応しい。人種によって使うトイレの場所も違っていた1960年代のNASAで、彼女たちが人種的、また身体的に窮屈な思いをしながら、生来の数学脳を国家的プロジェクトのために捧げる姿は、時代を経た今だからこそ、公に開示する意味があったと思う。なぜ今か?国家がずたずたに引き裂かれようとするアメリカの人々に、まだ、1つの目的に向けてぎりぎりで結束できた時代の興奮を届ける意味は大きかったはずだから。この映画が成功したのは、隠れた人々を演じる3人の女優が、その姿が、常に凜として前を見据えているせいもある。時々ユーモラスですらある彼女たちの表情に、苦難を乗り越えてきた挙げ句に辿り着いた人間としての余裕が感じられるのは、ハリウッド映画の成長の証でもあると実感した。「ムーンライト」も同じく、人種問題に対するアプローチが時代に呼応して徐々に変わりつつある。
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