劇場公開日 2017年9月9日

  • 予告編を見る

「是枝裕和はもう傑作しか撮れない」三度目の殺人 ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5是枝裕和はもう傑作しか撮れない

2017年9月14日
iPhoneアプリから投稿

前作『海よりもまだ深く』を観た時に「是枝裕和はもう傑作しか撮れないのかもしれない」と思った。それが確信に変わった。でも同時に混乱もしている。真実はなんなのか?誰が誰を裁いたのか?一応の解釈はしてみるけどそれも「そうだったらいい話」なのかもしれない…全ては闇の中

撮影が凄い。ここまでシネスコの広い画角を意識させられた邦画は近年観たことがなかった。被写体を画面いっぱいに配置してみたり複数人をアップで捉えてみたり…視点をコントロールされている感覚というか快感があった。そういう意味でもこれは絶対映画館の大きいスクリーンで観るべき

脚本も流石。誰かの台詞や仕草がその後別の誰かの台詞や仕草に共鳴する。各人物の思い(真実か虚偽かは別として)が自然な言動で最早無意識的なレベルで伝わってくる。是枝裕和監督は本当に日本語を使うのが上手い。あと今回はいつもより「アレ」が少なかった

物語や描写は『凶悪』(謁見シーンの撮影は影響がモロ)『ゾディアック』で役所広司演じる三隅は『ノーカントリー』のシガーとか『ダークナイト』のジョーカーを想起したけどなぜか観た後の感覚は『ザ・マスター』に近かった。「掴みきれないけどなんか凄い」みたいな

何が真実か?ということよりも画で緊張感が持続していたと思う。俺は物語よりも画に夢中だった

言い過ぎかもしれんけどクロースアップはセルジオ・レオーネを想起した。『続・夕陽のガンマン』とか。言い過ぎかな?

基本的に福山雅治の視点で進行するけど多分4つのシーンだけ福山以外の視点になる感じは『タクシードライバー』っぽい。まず冒頭の殺人シーン。次に斉藤由貴と広瀬すずの会話シーン。そして広瀬すずが殺人現場にいるシーン(想像?)。最後に役所広司が鳥に餌をあげようとするシーン

ヒートこけし