劇場公開日 2017年6月3日

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「父娘の迷惑逃避行」ブラッド・ファーザー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0父娘の迷惑逃避行

2018年11月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

仮釈放の身で、アル中のリハビリをしながら、静かに暮らす元裏社会の男だったジョン。
そんな彼の元に、長年音信不通だった娘リディアが現れる。
娘は、ギャングと警察から追われていた…。

父娘の警察/ギャング双方からの決死の逃避行。
父は娘を守る為に。娘は父を信じ…。
スリリングなアクションと熱い父娘愛!

…いや、待て待て待て!
これ、ズバリ言ってしまうと、不良父娘が周囲に迷惑かけてばかりの話。
特に、娘!

犯罪とは縁の無い真面目な娘で、例えば偶然殺人現場を目撃してしまった、と思いきや…、
犯罪者が恋人で、思いっきり裏社会に足を踏み入れてる不良娘。
父親が父親なら、娘も娘。
で、とある襲撃現場で急に怖くなっちゃって、誤って恋人を射殺してしまうというトンデモ行動を。
それで報復としてギャングに、殺人の罪で警察に追われる身なのだが…、
それって、犯罪の世界に身を置いて、罪を犯してしまったテメーが悪い!
で、誰も頼れる人居ないから、絶縁状態の父に助けを求めてきた訳だけど…、
金貸してとか、態度はデケェーわ、自分が今置かれた立場が分かってんのか!?と言いたくなるくらい図々しい。
娘の追っ手を撃退する為に父は再び銃を手にし、それはつまり仮釈放違反。
更正の道を歩み始めていた父をも巻き込み、何て親不孝。
誰か、この娘をちゃんと叱って!

父親も父親。
娘を守る為とは言え、結局はまた犯罪の世界に逆戻り。
こんな自分でも良くしてくれた“自警団”の信頼を裏切ったようなもの。
娘に最もらしいアドバイスを言うが、もし本当に娘を思うなら、一緒に逃避行なんかするより、娘にきちんと罪を償わせるべきでは…?

さすがに老いたが、渋みを増し、哀愁も漂わせつつ、まだまだタフガイ&アウトローぶりは健在。
確かにメル・ギブソンには変わらず男惚れ。でも、
本作の採点が意外に高い理由のほとんどが、メルギブが荒野にカムバックして、かの出世作を彷彿させるってだけ。
もしメルギブじゃなかったら、見る所か関心すら無かったろう。

アクションはそれなりに。
尺は90分と短く、話も単純で分かり易く、見易いのだけが利点。
それも引っ括めて、B級。

かつてはヒット作やメジャー大作で主演を張ったスター、メル・ギブソン。
一度の過ちでこうもメジャー街道から外れるものなのか…。
何だかそれが、劇中の役柄とダブって見えて皮肉。

(でも、『ハクソー・リッジ』でのオスカーノミネートの華々しいカムバックは素晴らしかった!)

近大