劇場公開日 2017年6月9日

  • 予告編を見る

「You will be remembered」パトリオット・デイ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0You will be remembered

2019年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ついジェイク・ギレンホール主演の『ボストン・ストロング』と比較して見てしまう。ストロングの方はテロリスト逮捕に関してはほとんど描かれていなかったため、事件の記憶としてはこちらの方が強く印象に残りそうです。しかも実際の映像はこっちの方が多く使われている。もちろん映画のテーマ、趣旨は全く違うのですが。
 前半でもっとも凄いと思ったのが、FBIが到着してから特別捜査班設立するまでの素早さ、そして大掛かりなセットを瞬く間に組み立ててしまったこと。これぞアメリカの捜査システムの偉大さなのだろう。ケビン・ベーコンが神のように思えてしまった。一番良かったのはこの特別捜査班かな。

 被害者たちが元気を取り戻し、「ボストン・ストロング」という合言葉が勇気を与えてくれる内容ではあるが、最も印象に残ったのは子どもの遺体を証拠が消えるから動かせないで、じっと横に立っている警官の姿だった。アメリカの強さの影には、こうした一見すると冷酷なまでの冷静な捜査が下敷きになってるんだ。と言いたそうなほど、このカットが何度も使われていた。

 全体的に再現フィルムのような作りなのに、後半になるとアクション映画のエンタメ性まで帯びてくる作りになっていた。かなり脚色してないですか?と言いたくなるくらい。しかし、中国人学生は実在してるし、MIT構内で射殺された警官も真実みたいだし、犯人兄がドンパチで死亡した爆弾アクション・シーンだけが脚色してあるのだろうか。とにかく手に汗握るほどの攻防戦だった。

 しかし、一方では、犯人の会話に「9.11ではアメリカ政府がビルを破壊した」「目撃者はみんな俳優だ」とかのセリフを言わせることに違和感もある。憎らしいまでの犯人の妻を描き、テロリストには人権はない(上層部の誰が指示したかは不明)とまで言う部分に、本当に自由の国なのかという疑問さえ残るのだ。そこまで描くと、犯人側の動機解明もできないし、テロが起きないような世界にするという本質から逃げているのがアメリカなんだと感じてしまう・・・。

kossy