「立ち上がれ!日本国民!」ヒトラーに屈しなかった国王 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)
立ち上がれ!日本国民!
また例によっての反ナチス映画だが、本作は日本の置かれた現状を考えるとなかなか示唆に富んでいる。
父王に対して王太子が何度も「なぜわかっていたのに早くから国防軍を総動員しなかったのか!」と詰め寄る。
たしかに王は屈しなかった。
ただ侵略への備えを怠ったスウェーデン自体は開戦からわずか1週間足らずでドイツに降伏している。
結局国を守りきれていないじゃないか!
たしかにヒトラーは害悪だったが、ヒトラーを誕生させ、育てたのは誰か?
そもそも第一次大戦後の講和会議で英経済学者のケインズが批判するほどの莫大な戦後賠償金をヨーロッパはドイツに課した。
その上フランスはドイツ最大の工業地帯であるルール地方をどさくさに紛れて占領したりしている。
加熱するインフレに悲鳴を上げていたドイツ国民は当然のごとくヒトラーという劇薬を選んだ。
そしてイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国は自分たちに直接被害が及ばないうちは弱腰外交に終始して他国の被害に無関心を装いヒトラーの増長を招いた。
弱腰外交は独裁者に間違ったシグナルを贈るのは既に歴史が証明している。
因みにドイツが一次大戦の戦後賠償金を払い終えたのは、途中延期の期間もあったものの利子分も含めて2010年である。
翻って我が国の周辺はどうか?
憲法を改正して終身主席の道を開いたチャイナの習近平、そして北朝鮮のキム・ジョンウン、ヒトラーに似たような難儀な独裁者が近距離に2人もいるのだ。
しかも両者ともに日本を憎んでいる。
永世中立国のスイスは、二次大戦中に領空侵犯する敵を攻撃してほぼ壊滅状態に近いくらい空軍の大半を失った。
ただしこの敵にはドイツだけではなく、連合国軍であるアメリカも含まれている。
そして2013年に国民投票にて73%の多数をもって徴兵制度の維持を決定した。
戦後に賠償金を日本に要求したクズな面もあるが、この2つの話に永世中立国としての気概を感じざるを得ない。
一方我が国の防衛は誰が担っているのか?
戦後70年間何の疑問も抱かないままアメリカを頼っている。
いや本当に日本のために血を流すかは定かではないので、正しくは単に占領されているだけではないのか?
東京をはじめとする大都市を空襲してほとんど焼け野原にし、広島・長崎に原発を落とし、占領期間中も年平均350人を殺し、1000人以上の婦女を暴行したアメリカをどうして信用できるのか?
20〜21世紀を通じて間違った戦争を起こして最も他国民を殺しているのは疑いなくアメリカである。
冷静かつ客観的に見ればやはり彼らは「鬼畜」である。
国防をアメリカに握られているために、交換条件のように戦後ずっと国民経済を破壊するような無理な条件を飲まされ続けている。
また現在、北朝鮮に対して我が国は何ら有効な手を打てない。
交渉は重要だが、武力の裏付けのない交渉は足下を見られるのがオチだ。
その上、北朝鮮やチャイナへの融和派が野党はもちろん与党である自民党にもゴロゴロといる。
そして経済だけを取れば、制裁をして追いつめようとしている時点で我が国は北朝鮮と既に戦争状態にあるし、日本を経済的にも軍事的にも圧迫するためあらゆる手を打っているチャイナは既に敵国である。
北京にまで留学した筆者がまさかチャイナを公然と敵国と言う日がくるとは思わなかったが、事実の前には仕方がない。
先日多摩川で入水自殺した保守思想家の西部邁が現在の日本の状況を
「踏んづけてくれ、だが命は助けてくれ」と評した。
スイスほどの覚悟を我々日本国民が持つのは現時点では太陽が西から昇るのに等しいだろうが、日本を取り巻く情勢は我々に現状維持を許してはくれない。
筆者は本作を日本がこのような未来を迎えてはいけないと身につまされて観ていた。
核武装も含めてあらゆる分野で真剣に国防を考えるべきなのではないだろうか?
もう時間は待ってくれない。
なお「アメリカが許してくれない」と言う人がいるが、そう発想する時点で既に心理的にもポチになってしまっている。
さらに最悪のシナリオはアメリカのポチな上にチャイナの属国になることである。
そうなっては我々は誇りもなくただ生かされていくだけになるかもしれない。
いや、無事に生きているかも怪しい。
目覚めよ!そして立ち上がれ!日本国民!
筆者も新たな段階を模索しようと思う。