「ちょっと「国王の決断」を持ち上げすぎ」ヒトラーに屈しなかった国王 SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと「国王の決断」を持ち上げすぎ
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今日の3本目はナチスドイツに侵攻された1940年4月のノルウェーの政治・外交を描いたドラマ『ヒトラーに屈しなかった国王』。
ドイツ軍が陸戦でも北上を進めてからのラスト45分くらいは目が離せないけれど、その前まではところどころ眠くなる退屈なシーンも多い。
いくつか気になった点。
1) ドイツ公使との会談後の国王の決断について、作品ラストのキャプションでは「国政に介入してまでの国王の決断は、主権国家ノルウェーの民主主義の象徴として記憶される」みたいなことが書かれていたけど、「主権国家の象徴」ならわかるけど「民主主義の象徴」とは言えないんじゃないかと思う。
2) 当時のヨーロッパをめぐる情勢はよくわからないし、まだ米国も静観している頃のことでもあり、そしてこの作品で描かれている交渉劇はわずか3日間のことなんだけれど、それでもノルウェーはここで対独の2国間交渉というフレームのみでの検討になってしまってる時点で、良くなかったんじゃないかと思う(他に巻き込みうる他国がいるかどうかは調べないと)。
逆に言うと、ドイツは最初に衝撃を与えて電撃的に2国間で話を固めるというのが戦略だったってことなんだろうな。
準主役のドイツ公使の人間的葛藤というサブテーマもこの作品にはある。良心はありつつ、力関係では軍に劣り、ヒトラーに対しては隷従せざるを得ない小市民として、ブロイアー公使という人物はよく描けている。
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