「みんな観るべき、知るべき事実」ぼくと魔法の言葉たち まろさんの映画レビュー(感想・評価)
みんな観るべき、知るべき事実
思い当たることがあって、観てみました。
ドキュメンタリーにありがちな、追いかけるカメラの揺れる画像、或いは、定点の長い画像、そういうのに偏らないように、アニメーションなどを入れて、見やすい作品に仕上げられていて、退屈することなく観られました。
そして、大きなふたつの発見があったので、本当に観て良かったです。
ひとつは、自閉症は、生まれつきの脳の構造だと思っていたのですが、そうでない場合がある、と知ることができたこと。
2才位までは、定型発達していて、3才くらいから、逆に、発達が後退した、という事実。
原因については言及されていなかったですが、自然とこうなったのか、頭部の打撲などの外傷があったのか、または、高熱、けいれん、などがあったのか、それとも、なにか、薬や何かの摂取が原因か。。。 まぁもし、原因が考えられても、その証明も、また根本治療もできないのが、脳の障害ではありますが。。
もうひとつは、ディズニー映画の効能。
実は、私はディズニー映画、ディズニーランドなどが、好きではありません。私の母は、戦時中大変だったので、戦後の夢のようなハリウッドやディズニーが大好きで、私は、ディズニー映画を観て、ディズニーの絵本に囲まれて育ちました。にもかかわらず、自分が育児をする時にディズニーは排除してきました。あの極端な表情や表現や、主役が世界一幸せになって祝福されるという、現実離れした短絡的な物語が好きになれなかったので。。。
しかし、コミュニケーションに問題を抱える人にとっては、これほどわかりやすい表現はないのかもしれないということに気づきました。
たしかに、いつまでたっても上達しない私の英語力も、ディズニー映画を丸暗記すれば、会話できるようになるかもしれないな!! これは大きな発見。
それに、社会での疎外感を感じ、生きづらさを抱える人にも、「君が主役だ。悩んでも誰かが関わってくれる、そして、きっとハッピーになるんだ!」という物語は希望になるのかも。
ただ、わき役のいろんなキャラが好きだというオーウェン。 ちょっとくせのあるいろんなキャラクターからの言葉を借りて、生きることへの理解を得たり、自分自身を応援したりしているのでしょう。
自己表現しにくい人が演劇を体験し、何かの役になりきることで、別の人格としてだと、すんなり言葉が出たり、思い切った表現も可能になることがある、というのは知っていたので、実際、声優も驚くセリフ回しの場面は、納得。
いろんな役の言葉が、コーチング的な役割と思えば、ディズニーアニメは、役に立つ映画なのかもしれません。
それにしても、日本の支援学校では、どういうことが行われているのか、大人になって一人暮らしを支援する体制があるのかどうなのか。。。
アメリカでさえ、お兄さんが覚悟をしないといけないというのが現実なのか。。。
いろんなことを考えさせられます。
みんなが観るべき、事実への、優しいアプローチの作品だと思いました。