ピュア 純潔のレビュー・感想・評価
全2件を表示
カタリナのすべて
アリシア・ヴィキャンデルのスウェーデン時代の2009年の作品で、初の主演作。
本作での演技が絶賛され、注目されるきっかけに。
話的には薄幸のヒロイン物語。下手すりゃステレオタイプになりそうな話や役柄を、アリシアが喜怒哀楽メリハリ付けて体現。繊細な演技と魅力が余すところなく。
母親はギャンブルやアルコールに溺れ、売春など荒んだ暮らしを送る少女カタリナ。
ある日偶然聞いたモーツァルト=クラシック音楽に魅了される。
これまでの生活を断ち切り、コンサートホールの受付の仕事を始める。
仕事の中で年上の指揮者と出会い、恋に落ちる。
新たな人生、全てが順風満帆に思えたが…。
歯車が狂い始めたのは、指揮者との関係。彼は既婚者だった。
妻に不倫を疑われ、カタリナとの関係を清算しようとする。言わば、一時の遊び。
関係の終わりを告げられショックを受けるが、何よりショックなのは仕事面。突然の解雇。
言うまでもなく、指揮者から厄介払い。
受付からのキャリアアップも夢見ていた。やりがいを感じ、誇りも持っていた。
しがみついてまで拒否するが、警備員に強制的に追い出される。
また以前の生き方に戻らなければならないのか…?
自分の何が悪い…?
貧しい暮らし…?
身体を売って生活してた事…?
別の世界、別の仕事、別の生き方を夢見ていけないのか…?
そんな事はない!
指揮者に復職を直談判しに行くが…。
最初は包容力ある大人の男と思ったが、指揮者がかなり最低な奴。
かと言って、カタリナに同情共感しっ放しという訳でもない。
キレると手が付けられない。
恋人がいたが、指揮者との関係を選び、別れる。
解雇が嫌で職場に居座る。
そして直談判の場。ある罪を犯してしまう…。
ラスト、再びホールの受付に就き、再々出発と平穏な暮らしを手にしたカタリナ。
このまま夢にまで見た人生を…?
それともあの罪の報いを受ける時がいつか来るのだろうか…?
一見ハッピーエンドのようだが、後味の悪さも残る、そう思わずにはいられなかった。
悪くない作品だと思うが少しへこんだ…
スウェーデン映画を観るのは初めてだと思う。
言語もとても雰囲気が出て良い。
街もきれいだ。
その雰囲気の中で、アリシア・ヴィキャンデルの迫真の演技。「リリーのすべて」での演技で感服していたが、こんなに若い時代から演技派だったとは。
内容は、重い・つらい・かわいそう、というのが率直な感想。
どの視点から観れば良いのかよくわからないが、個人的にはラストシーンで少し救われた、といったところか。
全2件を表示