「大ヒットも納得の作品でした」MEG ザ・モンスター 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
大ヒットも納得の作品でした
【鑑賞のきっかけ】
サメ映画は、「ジョーズ」(1975年)以来、数多くの作品が作られていますが、「ジョーズ」に勝る作品はなかなか出現しませんでした。
1999年の「ディープ・ブルー」は、知能の高いサメという斬新なアイディアで面白く拝見しましたが、それ以外は、いまひとつの感も。
ところが。
本作品は、大ヒットし、5億ドルですから、日本円にすると500億円を超える興行収入。
しかも、続編が、2023年8月に公開され、3億ドルを超える大ヒットとなっている。
これはさすがに観ない訳にはいかない…ということで、動画配信で鑑賞。
【率直な感想】
<ストーリーとは関係ないけど、大ヒットにつながる重要な要素>
サメ映画のサメがなぜ恐怖の対象となっているかというと、「人を食べる」から。
そんなの当たり前なことなのですが、ここで問題となるのは、どの程度、描写が残酷になるかどうかと思われます。
つまり、サメに襲われた人は、当然、流血するし、腕や足がもげたりという悲惨な状況になる。
でも、それを真面目に描くと、「子どもはご遠慮ください」という結果に…。
日本では映倫が「PG12」とか「R15+」、「R18+」という注意喚起の表示をすることになる。
アメリカでは、日本よりさらに厳しい基準になっていると言われています。
こうした認定がされてしまうと、いわゆる「家族連れ」の観客は激減し、大ヒットは難しくなってしまいます。
ところが、この作品は、「G」という、子どももOKの表示になっている。
あの「ジョーズ」でさえ、「PG12」だというのに。
もちろん、人が食べられるシーンはあります。
でも、そこは、今回は、20メートル以上の巨大サメ。
かみ砕くまでもなく、一口でパクリ。血は一滴も流れないという訳。
制作側の「人は食べるけど、残酷描写は避ける」という配慮が、大ヒットの要因のひとつでしょう。
<リアルを追求したロケ撮影>
この作品では、深海に住む古代からの生き残りのサメが主人公ゆえ、物語前半は、海中シーンが多く、CGで美しい、深海の世界を描写。
そこに、これまたリアルに描かれたCGのサメ(MEG)が現われ、迫力のシーンが展開します。
でも、物語の半ばくらいから、海上を走る船に登場人物が乗って、サメとの闘いを挑んでいきます。
このシーンは、実際に、スタッフが船で海上に出て、撮影を行ったそうです。
この現実の海に、CGのサメを合成しているのですが、違和感なく描写されていました。
海の全景について、ロケに拘ったのは、CGで海全体を作ることは出来るけれども、リアル感が違うためではないでしょうか。
海中だと、実際に、海に潜ったことのある人は限られているので、水族館で見るような、美しい光景が広がっていると、そういうものと受け止めてくれる。
でも、海の外から見た「海」は、多くの人が実際に本物の「海」を見たことがあるので、ちょっとした違和感でも、CGだと見抜かれてしまう。
現実の海を知られているからこそ、実際の海を撮影し、リアル感を演出したのだと思います。
【全体評価】
肝心の物語展開についての感想もないまま、ここまで来てしまいました。
そこで、この作品の良さを箇条書きにします。
・MEGが最新のCGで描かれ、その獰猛さが見事に表現されている。
・海中のCGは、美しいのひとこと。
・MEGをどうやって倒すのかについて、「ジョーズ」を踏まえたうえで、その手があったか、と納得のいく攻撃方法を採用している。
・人間パートの主人公を、「トラウマ」を抱えた人物に設定して、感情移入しやすく演出している。
・一人の少女が終始、登場するが、やはり、恐怖映画には、子どもは欠かせない(怖い思いはするが、必ず助かる)という過去作からの成功の秘訣をしっかり押さえている。
といったところでしょうか。