「サメにきょうざめ」MEG ザ・モンスター エミさんさんの映画レビュー(感想・評価)
サメにきょうざめ
SFパニックアクション。フィリピンの深海で、中国人を中心とした多国籍な海洋調査チームが、科学と資金に飽かせてドンドン海を降りていった結果、確証はないものの200万年前に絶滅したと思われていた巨大サメのメガロドンと遭遇して大わらわになるサメ退治の話。
自称サメ映画ファンの私は、ハッキリ言って期待値が高かったです。…しかし、メガ・シャークシリーズで、私は感覚がおかしくなってしまったのでしょうか!? 何かにつけて出来過ぎの美し過ぎでガッカリでした。
美しいのはもちろんVFXだけではありませんよ。
主人公ジョナスを演じた『地球上最強の男』ことジェイソン・ステイサム。元飛び込み選手だけあって海に飛び込む瞬間や泳ぐ姿のフォームの何と美しいことか!!
リー・ビンビンがどんな場面でも化粧崩れなしな完璧美女のままだったのも美し過ぎる。
前半の迫力ビビり満載のすったもんだがあって、ようやっと後半、メガロドンが、浮かれた人で溢れているビーチ間際まで浮上してきて、いよいよパニック映画の醍醐味シーンか!と思いきや、海中から聞こえてきたクジラの声に速攻反応して、間一髪で踵(サメだから尾ひれか?)を返すなんて、何ともつまらなくてガッカリです。確かにクジラの捕食シーンはいくつかありましたよ。可愛いクジラの何とか親子も食べられちゃったりして。クジラは大きいし、手っ取り早く満腹感が得られるでしょうが、でも、クジラの鳴き声に、即座に反応するほど、そんなにメガロドンにとって大好物の獲物なの!?と、展開の速さにビックリでした。自然に敬意を払わない人間に脅威を振るわないサメなんて有り得ない!!このお約束が無視なのはサメ映画の風上にも置けません。おかげでモンスターの存在を誰も知らないまま、パニックになっているのは、発端の海洋調査チームだけではないですか!?どんなにステイサムが頑張っていても、チームが自業自得過ぎて感情移入出来ず、パニックというよりは、ただの美しい懐古映画?と思ってしまいました。
深海のシーンは綺麗で、そこにひっそり生きる生物たちの映像も迫力がありましたし、『小さいサメ』がいっぱい集まって、メガロドンを捕食するシーンは実在の海では有り得ない特別な光景で、とても得した気分でした。
かつて本当に実在していたサメ史上最大のサメの存在をアピールしたという意味では楽しかったでしたが、所詮は南海だけの出来事で終わってしまったこと、そして、資本家や日本人といった象徴的な人物が犠牲者になってしまうこと、中国だけで、無かったことにしようと画策した終焉は政治的なニュアンスを感じてガッカリでしたが、『ジョーズ』を始め過去のサメ映画が思い起こされるシーンがいくつか散りばめられ、大きなサメが画面いっぱいに暴れ回る姿は確かに圧巻で、やはり大きなスクリーンで観るべき商業映画でしょうね。