「.」アナベル 死霊人形の誕生 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。『アナベル 死霊館の人形('14)』の続篇で原題"Annabelle: Creation"。鏡越しや暗闇に蠢く影等、意味有り気なショットが多く、不気味な雰囲気を醸し出している。(微かに動くラストカットも含め)人形を必要以上に動かさなかったのが佳かった。慈悲深く勇敢に怪事と対峙する“シスター・シャーロット”S.シグマンも適役。後半で怒涛の如くプロットが動き、前作のオープニングに直結するが、細部を含め派生元の『死霊館』シリーズ('13・'16)とも繋がる。評価は前作とのセットで。80/100点。
・表情豊かな四人の子役達も然る事乍ら、“サミュエル・マリンズ”のA.ラパリアのミステリアスな存在感が印象的だった。
・冒頭の端役“ビー(アナベル・マリンズ)”は、"Anna「BE」lle"の愛称であるが、演じたS.リーのファーストネーム“サマラ”は、ハリウッド版『ザ・リング』シリーズ('02・'05・'17)に登場する“山村貞子”に相当する“サマラ・モーガン”に因んで名付けられたらしい。
・“養子縁組の斡旋者”役のL.ロステンはD.F.サンドバーグ監督の細君で、チョイ役が多いながら、監督の全作に顔を出している。T.ベイトマンの“ジャニス”が“アナベル”と名乗るこのシーケンスで贈られる布製の抱き人形“ラガディ・アン”は、ウォーレン夫妻の「オカルト博物館」に展示される実物のレプリカである。亦、M.オットーの“エスター・マリンズ”が左半面に被る白いマスクは、『死霊館('13)』内の「オカルト博物館」に展示されている。
・ロケはTVシリーズ『ウエストワールド』シリーズ('16・'18)でE.R.ウッド演じる“ドロレス・アバーナシー”宅と同じ農家が使われた。万が一に備え、本物のエクソシストであるロバート神父立ち会いの元、撮影は進められた。
・スピンオフとなる前作と本作を含めたシリーズを物語上の時系列で並べると、本作『アナベル 死霊人形の誕生('17)』→前作『アナベル 死霊館の人形('14)』→『死霊館('13)』→『死霊館 エンフィールド事件('16)』の順となる。この四作の内、本作はエドとロレインによるウォーレン夫妻が登場せず、一切紹介もされない。
・スタッフロール後のおまけは本作中でのルーマニアの修道院の件りを受けたもので、『死霊館 エンフィールド事件('16)』にも“VALAK”として登場しているが、C.ハーディがメガホンを執り『死霊館のシスター('18)』として9月21日に我国での公開が控えている。本作の納屋で蠢いていたのは、『死霊館 エンフィールド事件』内の“へそ曲がり男”ではないかと云われており、彼をフューチャーした『The Crooked Man』との仮題で製作が進められている。
・“アナベル”シリーズ三作目となる本作の続編は、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。('17)』や 前作と本作で脚本を手掛けたG.ドーベルマンの監督デビュー作として'19年7月3日全米公開予定で製作中とのアナウンスがワーナー・ブラザースよりなされた。
・鑑賞日:2018年2月18日(日)