「逃げ場無し、ヒトの本性が溢れ出す!」新感染 ファイナル・エクスプレス ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
逃げ場無し、ヒトの本性が溢れ出す!
この作品、只者じゃない!
単なる感染モノ(ゾンビ映画?)じゃない!
単なるパニック映画じゃない!
そして、ホラー映画に納まるものじゃない!
まぁ、元々好きなジャンルと言うこともあったのですが、映画館で見終わった後はホンッとに興奮状態で高揚してました。何しろ上映館が少ないところで、無理矢理都合をつけてのレイトショー鑑賞だったのを覚えてます。
今回の再見で、改めて感じました。ホンッとに、素晴らしい作品です。
閉鎖された走行中の電車の中で、狂暴化する感染者(ゾンビ?)が蔓延していく話ですが 、そこに父娘の愛情、人としての成長、人間のエゴが絡んで、見事なドラマが展開していきます。
そして、数々のゾンビ映画を見てきましたが、本場に負けるとも劣らず、これ程迫力のあるリアルな映像がアジアに生まれたことに感動しました。
グロいシーンも多い作品なので、見る人を選ぶ作品では有りますが、できれば沢山の人に見てほしい。そう思えるホンッと素晴らしい作品でした。
【ネタバレ】
それでは、本編について、乱筆いたします。
まず、主役のお父さん。仕事一途で離婚の危機にあり、娘に対しても不器用さが目立ちます。最後が分かったうえでの冒頭部分、当初は何気なく見ていたところも、感情移入して切なくなっちゃう。
愛しているはずなのに・・・
そして、この娘も良い。
素直で可愛らしい、ホンッと、優しいいい娘です。
列車に乗るところで、スゴい綺麗な乗務員がいて、ワクワクしてたら、最初の被害者になってしまって、ビックリというか、残念でした。
それから、野球部のみんなも良いですね。いかにも青春真っ只中のカップルにもキュンキュンしどうしでしたが・・・
本作で知ることとなったマ・ドンソクでしたが、単なる強面ヤクザの外面と異なり、実は妊婦の奥さんをいたわる優しい正義感の塊だったり・・・
乗務員や乗客のお婆さん姉妹、浮浪者など、何気なく出ているような人たちも後で重要に絡んでくる展開がホンッと素晴らしい!
列車の中で、感染者の習性が明らかになっていきながら、切り抜けていく展開も非常に見応えがありました。
特に、軍隊まで感染してしまった後は、もう怒涛の衝撃シーンの連続です。
妊婦の妻と娘がトイレに逃げ込んだので、助けるために感染者だらけの車両を通り抜けなければならない・・・
野球部の仲間たちが感染して襲ってきたり、でも昔の仲間に手が出せなくて・・・
トイレから助け出した人たちと共に、他の乗客に合流しようとしたら、感染を疑われて車両に入れてもらえない。
野球部の男の子を助けたい女学生は、羽交い締めにされ、口をおさえられた。 人間のエゴ丸出しの会社員のせいで、更に修羅場は広がっていく・・・
結局、こいつのせいで、女学生も乗務員も、そして父親までも悲劇に見舞われてしまった。
父親との別れのシーン、はホンッと泣けます。映画館で見た時にも、あちこちですすり泣く声が聞こえたんですが、今回、一人でビデオ鑑賞では、思いっきり号泣の状態です。娘を持つ身として、この別れは辛すぎる。やっぱりこの子役がスゴいんですよね。ホンッと素晴らしい。
ラストもまた印象的でした。 電車を降りて、トンネルを歩く娘たちに、感染が確認出来ないからと射殺命令?あんなに哀しい目に合わせておきながら、まだ苦しめるのか・・・
もう、最初から最後まで、手に汗握るドキドキワクワクにホロリとさせる、何度見ても面白い最高の一本でした。