「ゾンビ映画とは思えないほど濃密な道徳、真理に突き刺すスリリングさが秀逸」新感染 ファイナル・エクスプレス かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビ映画とは思えないほど濃密な道徳、真理に突き刺すスリリングさが秀逸
噂には聞いていたが、私は初感染。みな口を揃えて「傑作」というのも納得の1本。
新幹線の中で起きるパニックと情報の錯綜。そして、当事者としての心構えの機能不全は今日のウイルスと重なる。断然、こちらの方がスリリングではあるが、パニックはリアル。たった一人、乗ってきたことから始まる恐怖の特急列車。そこからすでに滲み出る人間観が面白い。その中で、ゾグも薄情な人間である。しかし、一人で生き抜こうとしたならば、当然死んでしまう。今ある人と手を取り合うことがいかに大切なのか。そして、同時に生まれる"分断"。許容範囲をどこまで許せるかなど、考えさせられるものも多い。幾重に見えるドラマが、鏡のように自身に問いかけてくる。単なるゾンビ映画では終わらないテーマが傑作へのマスターピースとしてハマっていくのが面白い。
大沢たかお似のゾグが父として、人として、忘れていたモノを取り戻していくのが何より心にグッとくる。確かに続編の期待値が高くなるのも大いに頷ける1本。
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