「ゾンビパニックと人間ドラマの、見事としか言えない融合」新感染 ファイナル・エクスプレス 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビパニックと人間ドラマの、見事としか言えない融合
「新感染ファイナルエクスプレス」見て参りました。これが洋画なら絶対見ないと思えるほどB級感プンプンですが、これがゾンビ業界屈指の名作。かなり泣きました。娘の名前はソヨンだった!それだけでOK!本当におもしろすぎて、印象が全く3つでは追いつきません。
”泣ける”という部分がこの映画の最大の特徴。ゾンビ映画はあまり見ませんが、アメリカのゾンビ映画は人間ドラマの部分が杜撰。今作はドラマが濃厚です。東出昌大のフォルムに大沢たかおの塩顔を入れ替えたみたいな主人公を軸に、キャラも無理なく豊富だし、対立・和解・結束からの自己犠牲というパニック物の醍醐味もしっかり堪能させてくれる。大味のゾンビ映画とは一線を画していながら、良い部分はしっかり踏襲。過去のゾンビ映画を参考にしたような画もたくさん出てきますけど、やり過ぎてないから見やすかったですし。
アクションも楽しかったー。
中盤、駅から電車に戻ってからの突撃も最高でした。東出風主人公、武闘派新パパ、野球部の3人によるバトル!肉弾戦と頭脳戦の応酬で見てる人を飽きさせません。列車内というシチュエーションをしっかり活かしていて、キャラクターのバランスも良くておもしろい。元々仲間だった野球部の葛藤も織り交ぜてくれてるし。三者が準備を終えてのスリーショットなんてエクスペンダブルズかってくらいベタだったけど、上がりますよね。
この列車突破のシーンは、ワンピースの海列車を思い出しました。第1ラウンド、第2ラウンドと進む圧巻のバトル。
?と思ったのは、端役は一瞬でゾンビ化するのに、主要キャラはゾンビ化まで時間がかかること。でも多分、頭に近い部分を噛まれたら一瞬で、手とかは時間がかかる。東出昌大と武闘派新パパは手だったから遅かったのかな?
胸糞なバス会社常務は、非常にムカつくキャラクターです。女子高生を突き飛ばして犠牲にするシーンは酷過ぎます。もうちょっと無様なラストにして欲しかった。モーターカーに惹かれるとかね。あいつが扉を開けてくれればみんな助かったのは間違いないよ。クソ野郎。
総じて、満点です。楽しいゾンビ映画はあるけど、楽しいだけじゃなくて泣けるのは中々ない気がします。家族の絆と愛に涙し、バス会社常務の身勝手に怒り、大満足で劇場を出ました。また見たいと思います。