「救う男VS壊す男」いぬやしき しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
救う男VS壊す男
レンタルBlu-rayで鑑賞。
原作は第1巻だけ読みました。
ある日突然得た強大な力―冴えない中年男・犬屋敷は人々を救うために使い、母親想いの高校生・獅子神は全てを破壊するために使いました。そんな両極端なふたりの戦いを、ふんだんなVFXを駆使した超絶バトルと共に描いていました。
日本映画のアクション大作を牽引する佐藤信介監督なだけあって、その面白さはすでにお墨付きが出ていると云うもの。その期待に見事に応える出来映えだったなと思いました。
同じ奥浩哉原作を実写化した「GANTZ」二部作でも邦画離れしたアクション演出を見せてくれていましたが、本作でもその力量は十二分に発揮されていました。
クライマックスの新宿大決戦は、本作のキャッチコピーである"映像トリップ"が大袈裟じゃないほどのクォリティー。映画館で観なかったことを激しく後悔しました。ダイナミックな画面展開とスピーディーなバトルに釘づけでした。
豪華な俳優陣を贅沢に使っているなと思いました。
本編に殆ど関わって来ない宮〇誠司風のワイドショー・キャスター役で生瀬勝久を出し、獅子神にとって重要な心境の変化の要因となる二階堂ふみも早々に退場するなど、要所要所で名優を投入して、巧みな適材適所に唸りました。
刑事役の伊勢谷祐介なんて、「え、そんだけの出番しか無いの?」と唖然とするほどの出演時間。めちゃくちゃ贅沢じゃないか!―うむむ…続編への伏線か?(笑)。
インターネットの普及により、スマホなどから手軽に意見を発信出来る時代になりましたが、それに伴い無責任な言動や匿名性を利用した悪意が蔓延しているのも事実。メディアの過剰報道もしかりで、それらに警鐘を鳴らしているなぁ、と…
新宿大虐殺で多くの人々が犠牲になりましたが、不思議とスカッとした気持ちになりました。この気持ち、なんと表現したら良いものか?―事の重大さを認識せず、安全地帯だと思っていた場所から、勝手な発言を面白半分に垂れ流している人々が撃たれていく…。ざまぁみろ!?
パソコン画面に向かっている自分の行動の意味が理解出来ていないような人種がたくさんいると言われている中で、自らの行いを省みると共に鬱積した感情があったのだなと、自身の心と向き合えたような気がしました。
冴えないひとりの男がヒーローとなり、生き甲斐を見つけていく王道なストーリーでしたが、こう云うのが私のような特撮ファンにはいちばん響いて来るのでした(笑)。
※修正(2022/01/05)