「調律師に必要な音感の素質」羊と鋼の森 asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
調律師に必要な音感の素質
山崎賢人の学生服の似合いっぷりに驚くと同時に
高校まで音楽に触れてない人間が調律師になることがいかにあり得ないか、
どうしてもこだわりを捨てきれなかった。
音感 特に ピアノの調律に関しては
自分の耳に絶対的な自信がなくては 出来得ない。
その年までまったく音楽をしていなくても良い。
だったら音感をどこで手に入れたのか説得力ある理由を描かずに調律師の成長物語が始まる事に非常に違和感を感じる。
今の時代
機械が音を感知する。
数値をランプで知らせてくれる。
ギターの弦も今どき、そうやって正確に合わせる事が出来る。
しかし、それだけではない人間が人間としての職業としての調律をせずして 調律師とは言えないわけで
だとしたら、その技術の根本はその者の耳と そしてその聴覚が脳の神経と繋がる技術。
それは 生い立ちに 否応なしに関係する。
ピアノに限らず
楽器は全て 弾き手によって音色が変わる。
心に響く音を奏でるのは その人の気持ちとそして技術、そして努力量、つまり思うように手などを動かす筋肉の力加減の訓練、それが練習するという事。
そういう余計な気持ちのまま視聴。
ピアノの音は好きだ。楽器の中ではダントツで好きだ。
弦楽器や管楽器の音よりも マリンバ含め鍵盤の音が好み。
話が進むにつれ
調律師の役割を 光石研が 鈴木亮平が
セリフとして口にしていく。なるほど。
自信無さげな山崎が ここで生きてくる。だが、、
音を聞いて森が見えるのは世界観
だけど 運転してて森を見るのは 統合失調症。
漂う世界観と
現実との隔たりの違和感が
物語に集中しようとすれば その都度 邪魔してくる。
背中越しに見せるピアノを弾くシーンの
鍵盤の沈まない画も。
物語に浸ろうとすると引き戻される。
山崎賢人を最初に知ったのは ドラマ「泣くなはらちゃん」
だった。その後のどんな役も彼を好きな役者だと認識する事はなかったのに これは悪くなかった。
こんな風に一歩控え目な立ち姿が似合う。
だから この作品のトーンのようなものは
統一して欲しかった。
きりんさん
私は上白石さんが姉妹と言うのをこれで初めて知りました。
そう言えば これを書いた後に きりんさんのレビューを拝見して おおー!って思った事を思い出しました。
あの時は無意識でしたが、今は親近感いっぱいで拝見致しております。
「調律師の素地」について僕も同じ違和感が邪魔してダメでしたね。上白石姉妹の演奏はとても楽しかったけれど。
ピアノの楽器そのものにasica さん興味がおありなら「ピアノ・マニア」お薦めです。