「むしろ、これはこれでいい。ドラえもんやコナンのような成熟感はない」劇場版ポケットモンスター キミにきめた! Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
むしろ、これはこれでいい。ドラえもんやコナンのような成熟感はない
ゲームはやるが、劇場版は毎年、保護者同伴レベルで観ているにすぎない。
20周年ということは、ポケモン連載開始時に小学校5年生(11歳)だったとして、現在31歳。そんなアラサーの初代ファンにおもねる作品になっている。オープニング曲も、初期の「めざせポケモンマスター」(1997)の"20th Anniversary バージョン"というのがいい。
20年前のテレビアニメ第1話で、旅立ちの日にサトシとピカチュウが交わした、"ポケモンマスターになって、一緒にホウオウに会いに行く"という約束の続きが描かれる。なかなか人間になつかないピカチュウとともにはじまるサトシの旅は、まさに原点回帰である。
そうはいっても、現役ファンである子供たちにもウケるように、新しいポケモンが登場したり、サトシの旅に同行するトレーナー仲間も"タケシ"と"カスミ"ではなく、"ソウジ"と"マコトになっている。
衝撃のクライマックスは、"サトシが死んじゃう?"…"ピカチュウがしゃべる(驚!)…これでいいのか? 賛否は分かれそうだが、個人的にはキャラクターに愛はないのでどうでもいい。
むしろ毎年毎年、"最強ポケモン"だったり、"伝説”や”幻”だったり、エスカレートし続ける展開より、ずっといい。
企画自体が「STAND BY ME ドラえもん」(2014)に影響をうけたと思うが、ドラえもんやコナンほどの成熟性はない。しょせん玩具ビジネス優先でやってきたツケがまわってきた。
ポケモンゲームのCMが、映画公開に合わせてシネスコで作られているのだが、CM/予告編の枠ではなく映画本編の直前に挿入される。映画本編がビスタなので、せっかくシネスコで作っても、レターボックスになってしまう連携ミスが、情けなくもほほえましい。
(2017/7/22 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)