「現代版サンドリヨン」エル ELLE ハムさんの映画レビュー(感想・評価)
現代版サンドリヨン
出てくる女性がひたすらしたたか。
レイプされても、
父親のわからない子を産んでも、
夫に浮気されて親友に実は私と告られても、
夫がレイプ魔で隣人が自分の代わりに犠牲になってくれてても、その夫がユダヤ教でも。
全く前知識なくミステリとして見始めたので、途中「なんでそうなんねーん!」と思ったとこあるけど、いや、観てよかったです。
映画のテーマは明確。
父親が大量殺人鬼でも
ゲーム会社社長として手腕をふるえ
人付き合いもし
息子も結婚しようとしている、
そして、
夫が大量殺人鬼でも
若いツバメを飼い整形で美貌を保つ
底力のある女性が出てくる設定からも明確。
しかし、ヒロインは
社会的地位を持って強く生きてはいるけど、
殺人犯の娘として、そもそも振り回されてきた。
レイプされ、勝手に結婚を決めた息子にも振り回され、
別れた夫の若い恋人にも嫉妬する。
セフレにもズルズル関係を迫られ...
そんな人生の駒をひっくり返そうと奮起していく物語。
だと私は思う。
レイプ魔への灰皿反撃を夢想し調査を開始。
夫の恋人にも爪楊枝嫌がらせ。
男を手玉にとろうとパーティで隣人の夫を誘惑するが、それが犯人。
あちゃ、大大大ピンチ!と思いきや、
ド変態隣人の趣味にも付き合うという、まさかの解決策を取る我らがヒロインw
息子がスーパーマンのように現れてガツンと現実に引き戻す一撃食らわせるまで、ヒロインと隣人の危険な情事は続く。
「何故..」と訳のわからぬまま絶命する男。
セフレの件も、自分から妻に不倫を告り男を焦らせる。
母親のツバメも家を売り追い出す。
自分の意思でなんとか出来なかったのは、
忌まわしい事件を起こした父親だけ?
会いたくもなかったが、
亡くなった母親への思いもあり(?)面会を決めるヒロイン。
が!
会いに行くと、父親が首を吊っていたことを知らされる。
でもこの映画が恐ろしいのは、ヒロインが、
「自分が会いに行けば、父親はきっと逃げる」
という画を描いていたのでは!?とすら思わせてしまうところ。
「父が私の面会を知ったのはいつですか?」
「昨夜7時です」
という会話がそれを裏付けているよう。
全てにケリがついたラスト、
セフレだった男の妻とムフフな感じで終わったのにはびっくり。
幸せな、刺激もある生活が送れるといいね!
そういえば、
ヒロインは父親の事件当時「灰をかぶっていた少女」として描かれているが、
灰かぶり娘といえば「サンドリヨン(シンデレラ)」。
ただし、
灰をかぶった今作のサンドリヨンが幸せを掴むのは、
王子様(男ども)のおかげ、ではない。
フランス人が観るとどんな感想なんでしょうか!?
殺人犯の家族。日本ならきっと全く違う話になりますね。
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※隣人は、ヒロインが殺人鬼の娘だからレイプした??っていう見方をすると、がらっと話が変わりますね。
どうなんでしょう。