「魅惑と恐ろしさの女」エル ELLE 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
魅惑と恐ろしさの女
主演のイザベル・ユペールは『ピアニスト』。
監督のポール・ヴァーホーヴェンは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』など数知れず。
どちらもセンセーショナルな代表作を持つ二人が組んだのだから、平凡な作品になる筈がない。
何せ、イザベル演じるミシェルが、開幕からいきなりレイプされているのである。
しかしその後、何事も無かったかのように振る舞う。風呂に入り、血を洗う。
翌日は出社。ゲーム会社のCEOのミシェル。
現在開発中のゲームは過激な描写が売りで、あんな出来事があったのにも関わらず、もっと過激にと指示。
友人たちと会食中、レイプされた事を平然と報告し、警察に通報しない旨を告げる。
時折“トラウマ”が蘇り、犯人からと思われる嫌がらせのメールも届く。
犯人が身近にいると感じたミシェルは、自ら犯人を探そうとする…。
犯人探しや復讐サスペンスの醍醐味もあるものの、ミシェルやその周りの人間模様がメイン。
何より翻弄されるのは、大胆なミシェルの言動。
被害者なのに変に怯えたり警察に通報しないどころか、知人の旦那と関係を持ち、隣のイケメンを双眼鏡で覗きながらオ○ニーしたり、ご近所を招いての会食中誘惑したり…。
まるであの事件が彼女の中に眠る性や欲を目覚めさせたかのように。
息子と不仲のミシェル。
息子の妻が出産するが、産まれてきた子は…。
歪んだ親子関係。
その原因は、ミシェルの過去にある。ミシェルの父親は…。
ミシェルは○○○の娘だったのだ。
と同時に、彼女が警察を嫌う理由でもある。
再びミシェルを、犯人が襲う。その正体は…。
しかし警察には通報せず、変わらぬ関係を続ける。
が、予想だにしない結末。
ミシェルという人物、過去…。
イザベル・ユペールの魅惑さと怪演と共に、終始翻弄される。