「男なんて災厄したもたらさぬ動物。」エル ELLE バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
男なんて災厄したもたらさぬ動物。
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この映画では、登場人物の誰もがセックスに振り回されている。イザベル・ユペール扮する主人公ミシェルにいたっては、レイプ被害者であると同時に親友の夫とも妻のいるご近所さんとも関係を持ち放題の性豪で、精神的には親友の女性と同性愛的な繋がりもあるという貪欲レディである。
ただイザベルは男たちと違い、純粋にセックスそのものを楽しんでいるだけで、相手への所有欲をこれっぽっちも持ち合わせていない。このドライさがイザベルの強さであり、それゆえに男たちを余計に燃え上がらせてしまうトラブルホイホイにもなっている。
気がつけば、セックスに自分のエゴを持ち込む男どもは、結局は女たちに災厄しかもたらさない。女性同士の連帯が痛快ですらあるラストに、男性側の一員として「なんだかごめんなさい」謝りたくなってしまうのは、ヴァーホーヴェンの男女観ゆえだと考えて構わないものだろうか。
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