ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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トム・フォードの美意識が冴え渡る。
スタイリッシュでハイセンスな映像と音楽、終始張りつめる緊張感。 一本の時間軸の中で、同時に繰り広げられる架空のストーリーが観る者を欺く。
トム・フォードのサスペンスという事で、とても楽しみにしていました!
昨今の現実離れしたサスペンスとは一線を引き、比較的平凡なストーリーなのですがそこは流石トム・フォード。
シャネルやコムデギャルソンなどファッションは当然の事、インテリアや小物に至るまで、隅々に彼の美意識が行き、特に今回主人公のエイミー・アダムスがギャラリストという事もあり、チラッと出て来るダミアン・ハーストやジェフ・クーンツの作品など本物へのこだわりが素晴らしい。
この誰の人生にも起こり得るストーリーを、現実離れした美しくゴウジャスな世界観を背景にする事により、より深くミステリアスなサスペンスを生み出す事に成功している。
トム・フォードの美意識が冴え渡る、インテリジェンスに富んだ作品でした。
意外なラスト
超大人向けの嫌ミス映画
昔別れた夫から送られてきた小説を読んでいるうちに…。
その情報だけで観てきましたが
いや〜〜〜〜強烈です。
冒頭の芸術作品の表現もきついし
主人公の現在の夫への対応もかなり厳しいし、
送られてきた小説の話もかなりえげつない!!
観てる間中苦しかった!
この先どうなってしまうのか
予測不可能な話で確かにのめり込んでしまうけど
観終わった後はまさしく「嫌ミス」
それも最高に美しく芸術的な極上の「嫌ミス」
ただ、沢山の方が書いておられるけれど
この小説の内容、元妻への復讐だけではないと私は感じた。
いろんな意味で元夫の「弱かった自分自身」への
懺悔も含まれているように感じた。
もっと自分が強ければ、元妻もここまで非常な女には
なってなかったのではないか?
そんなことを観た者同士で語り合ってみたい。
十分に語りがいのある映画だとは思う。
★もう一度観るなら?「もういい」
忘れたはずの過去に復讐される
これはかなりの衝撃作だった
映画を観終わった後、息が苦しくなって、自分の気持ちをなだめるのに必死だった
人生経験のない若さから生まれる無邪気さは、それはそれで素晴らしいけれど、時には恐ろしい残酷さをはらみ、自分が犯した罪に気付かないまま大人になる
いや、気付きながらも、それを心の奥底に封印し「何もなかった」かのように人生を歩む
そしていつの日か、自分がもっとも嫌っていた人種へと成長していることに気づく
これは、自分が過去に手放した幸せからの逆襲である。
キッチリと蓋をして、封印したつもりでも、人は過去に犯した罪から思わぬ方法で復讐される
そして、その罪を背負い、一生眠れない夜を過ごすことになる
目の前にいる人の財力や地位を取り除いたら、一体何が残るのか
じっくりと考えたい映画だった
それにしても、衝撃作だった
まあ、普通です。
始まりから不思議な
合わなかった…
復讐劇
成熟した大人向きの余韻深い作品
主人公Susanの元に20年近く前に別れた元夫Edwardからいきなり新作のゲラ刷りが送られてくる。作家志望だった彼がまだ小説を書き続けていたこと自体、彼女にとって意外だった筈ですが、彼がその新作で何を彼女に伝えたかったのか、その見方によって印象が全く変わるかも知れない、そんな作品でした。過去の彼女の仕打ちに復讐したかったのか、自分を作家として認めさせたかったのか、はたまた彼女と和解したかったのか.、あるいは... この点は原作にも書かれていないようですので想像の域を出ませんが、彼と別れてからSusanは美術商としてそれなりの成功を収めつつも、公私の蹉跌を経験し、自省に向き合える時機であったことは間違いないでしょう。最後の最後まで謎解きをさせぬまま終わってしまうのですが、観終わった後も暫く座ったまま感慨に耽りたいような、大人の余韻を楽しませてくれる作品でした。
圧巻❗
語り口の妙
ノクターナル・アニマルズ
2017年105本目の劇場鑑賞。
20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、
その衝撃的な内容に惹きつけられていくヒロインの不安と葛藤を、
過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、
美しくかつスリリングに描き出す。
開始早々度肝を抜かれるオープニングで、
グイグイ引き込まれて行くこの感じ。
芸術とは人の心に衝撃を与えて奥に潜っていくもなんですね。
小説の中の物語と現実のストーリーを平行して映し出し、
曖昧になっていく現実と小説の世界。
全く先の読めないストーリー展開でした。
豪華で演技力のある俳優たちの出演、
印象的だったのは刑事役を演じたマイケル・シャノンです。
とにかく顔が怖すぎでした。
美しいほどの完璧な復讐劇は見応えありました。
いきなり醜く、気持ち悪いのが続く
見事な復讐!
『シングルマン』がかなり好きなので、こちらの作品も期待して観に行きました。
なんでしょう…冒頭からグイグイ引き込まれて行くこの感じ。
映像、台詞の一語一句見逃せません。
母のようにはならないと思えば思うほど近づいて行き、母が言った通りの結末を迎えるスーザン。
彼の才能を信じず、酷い仕打ちをした挙句、一緒になった夫とも上手くいってないところに、小説が届く。
今も思い出し、小説の面白さにどんどん惹かれ、会うことにウキウキドキドキ。
上げて上げて最後に落とす感じが、ゾワゾワしました。才能で復讐…
『Revenge』と描かれた絵画と愛しているなら、もっと努力をしなきゃいけないって台詞が、なんだかとても印象的でした。
ラストシーンのスーザン、全てを悟った表情に見えました。
最初のインパクトが凄い…でもラストには繋がらず
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的...
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的な世界観に不思議と引き込まれていく
この映画で描かれるある種の切なさ、そして怨念をトムフォードの幅広く壮大かつ繊細な表現とエイミーアダムスとジェイクギレンホールの対照的な演技でより魅力的に展開していく様が見事にマッチしている
この非現実的な現実空間(主人公スーザンの現在地LA)と限りなく現実的な非現実空間(小説の中のテキサス)の対比が素晴らしく効いているのもトムフォードの狙いとして大成功である
現在の空虚な生活、過去の自分がした仕打ちとそれについての想いが込められた小説を経ての待ち合わせにより元夫の20年の復讐は完遂する
主人公スーザンはその時、より、空っぽな物が胸の内に覗かせるかもしれないであろう
そしてそれを見届けた観客もまたこの物語に対して空っぽな物が胸の内に生じているのかもしれない
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