ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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すべての表現には真実が宿る。その真理が刃のごとく胸を貫く、凶暴かつ深遠な怪作
前作の静謐さからガラリと変わり、凶暴性と混沌の中に表現者としての研ぎ澄まされた真理を忍ばせる。誤解を恐れずに言えば、前半部分には胸をかきむしりたくなるほど困惑させられたし、不意に突き落とされる闇の深さには絶望の二文字すら浮かんだ。が、そこからトム・フォードの目論見が徐々に浮かび上がってきてからは、またしても鋭利な刃物で貫かれたみたく思い切り目を見開かせられた。
「創られしもの」が内包する、ある種の真実。世の中にはファンタジーやSFの構造を借りてそれらを器用に行き来するものもあるが、この作り手は細部にまで神経を行き届かせながら巧みに繊細な襞を織り込んでいく。ふと映る人、車、言葉などの要素が反響しあっていることに複数回の鑑賞でようやく気付いたりも。すべての表現には真実が潜む。本作がトム・フォードの内面投影だとするなら、映画が幕を閉じる時、そこには三重の表現世界が層をなしたことになるのだろう。
コスチュームを介した現実と虚構の逆転劇。
自分を見限った元妻に渾身の自作小説を送りつけ、架空の物語を通して封印してきた現実の思いをぶつける男。それを読み進むうち、次第に架空の世界に魅了されていくヒロイン。稀に見る間接的復讐劇の登場である。そこに、世間の古い価値観と格闘してきた監督、トム・フォードの怨念が凝縮されていそうだが、主人公のキュレーターが身を置く現実世界が虚飾に塗れていて、小説の方がよりリアルという空間の逆転を、俳優たちが着用するコスチュームによって表現したところも、デザイナーでもあるフォードらしい。中でも、小説に登場するマイケル・シャノン扮する警部補が着る、いかにもテキサンらしいワイルドなカウボーイ・スタイルには、フォードにとって今は遠くなった故郷、テキサスへの熱い思いが感じられて、ちょっと切なくなる。
映像の美、構造の妙。
エイミー・アダムス扮する画廊オーナーのスーザンのもとに、売れない小説家だった元夫(ジェイク・ギレンホール)から校正原稿が届く。映画の構造としては、スーザンの公私の現在と過去の回想、スーザンが読み進む小説世界での出来事が交互に描かれる。小説内の主人公をギレンホールが2役で演じ、小説内の妻をアダムスに似たアイラ・フィッシャーが演じることで、スーザンが小説内の夫婦に元夫と自身を重ねていることが示唆され、スーザンが否応なく引き込まれる感覚がリアルに伝わってくる。
ファッションデザイナーとして名を成したトム・フォード監督らしく、スーザンの現在の映像はファッション、インテリア、アート作品でハイセンスにまとめられているが、冒頭の全裸の太った女性など、前衛アートを皮肉ったような「醜」を挿入してアクセントを添える。洗練された現実世界と、不穏な気配に満ちたワイルドな小説世界の対比も効果的だ。
怖くて苦々しくて え?って感じ
ラストまで怖くて目が離せない
2つの物語(現実と読み物)がリンクしているように感じながら、主人公に捧げられた物語だとすると…と結末を予想しながらみる
突然ラストをむかえて、巻き戻す
難しい
ただ、ドキドキ感は半端なくあった
あの1番悪い俳優さんがめちゃ魅力的だった
観念的で挑戦的
ひたすら観念的な映画。何か劇的なストーリーなどを期待して観ると肩透かしを食うに違いない。
20年前に別れ、小説家志望だった元夫から送られる小説。激しい暴力と復讐が描かれたこの小説(劇中劇)に思わず惹き込まれ、身構えるような気持ちで展開を見守ってしまう。
これほど傷つけられたのだという告白なのか、誰も説明しないので、訳が分からなくなり、夫婦の複雑な愛憎に胸を締め付けられる。
この映画の肝心な部分は、小説を読んだリアクションを表情で語るエイミー・アダムスの芝居に込められている。そういう意味で観る側の洞察力を期待しているようなところがあり、何とも挑戦的な投げかけを感じる。
のっけから不穏な空気プンプン
こんなにインパクトあるオープニングは他にあっただろうか!変な汗だらだらで始まって5分でバテてしまった…
やたらシャープな映像に、目を背けたくなるほどの残酷なシーンの連続。そして、ところどころで映し出されるとてつもなく壮大で美しい大自然。めくるめくジェットコースターストーリーに、とにかくメンタル的にやられてしまう。
ラストシーンの解釈も本作の話題のひとつのようだが、個人的には疲れ果ててしまって追求する元気なし…(汗)
映像やストーリー等々とても凝っていたと思うのだが、個人的にはどうしても残酷過ぎる印象が強く、星3つ止まりというところか。
終わり方が駄目
映画の中の更に小説の話だけど、めちゃくちゃ理不尽やなあと思って見てたけど、
見せ方とかは面白かったが、えっ、終わり?っていう終わり方。。
こういう終わり方の映画ってたまにあるね。
エイミー・アダムスはやっぱ好きだな。
エンディングは人それぞれか
作中の現実とフィクションを行き来しながら、観るものの想像力をかき立てる脚本だった。
一歩間違えば酷評になりかねないが、芸術と空想のスパイスがなんとも不思議な脚本を紡ぐ辺り、そのバランスは見事だった。
オープニングのインパクトすご
元旦那からの小説の世界と現実と過去がリンクしながら螺旋のように進行していく。
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この物語は僕にとって、人を投げ捨てにしてはいけない、という事を表している。現代、僕らはなんでもかんでも簡単に捨ててしまう文化の世界に住んでいる。すべては消耗品で、人間すらも捨ててしまう。
スーザンは自分が求めていたものすべて、外側から見れば自分の理想の人生を手に入れているが、内側は死んでいるんだ。そしてこの小説がきっかけでそのことにはっきり気が付く。彼女自身もほとんど気づきかけていたことなんだけれどね。
これが中心のテーマなんだ。僕にとってとても重要なね。誰かを大切に思うなら、誰かを愛しているなら、投げ出してはいけない、手放してはいけない。
(「ノクターナルアニマルズ トムフォード監督が解き明かす解釈。」より引用)
結局、皆弱いのでは?
夢を追うロマンチックな元夫との子を中絶し、離婚し、お金には困らない不自由ない暮らしをしていたが、それにも物足りなさを感じる主人公。
才能を否定されて、捨てられるも、19年越しに才能を認めさせるリベンジを果たすも"その行為そのものが弱い"元夫。
小説の主人公の弱さも、警察官が病気と権力には勝てず、法を犯すことでしか気を晴らせないことも。
犯罪を犯す田舎のチンピラどもも。
中指立てて、罵るも、レイプされて殺される娘も。
全て、人の弱さを表してる気がする。
「夜の獣とは人の弱さのこと」かな?
2つの復讐
芸術家として富と名声を手に入れたものの、夫との関係に深い溝を抱えるスーザンのもとに元夫から小説が届き…。
前衛的すぎるオープニングに度肝を抜かれたが、全体としては人間を繊細に描いた復讐劇で終盤はただただ切ない。俳優の演技で心揺さぶられる作品です。
ジェイク・ギレンホールの透明性のある演技はもちろん素晴らしいし彼目的で本作を鑑賞したけど、アーロン・テイラー=ジョンソンのガチクズ演技がぶん殴りたくなるほどハマっていました。
サイコ煽り運転野郎どもからのサスペンス
身の毛もよだつ「煽り運転被害」のシーンが延々と続きます。そこで嫌気がさしてしまう方もいるかもしれません。そのシーンは元旦那の書いた小説の内容だったんですね。切り替わりがよくわからなかった。いや、それはただの小説なのか、、、
見てのお楽しみです。
昔は田舎道を夜中に走ったり、健全ではない生活をしているとわりと煽り運転の被害に遭う確率が多かったけど(職務質問遭遇率も似たようなもの)今は昼間に健全と普通に安全運転をしていてもサイコに絡まれることがあるからね。理不尽極まりないよ。
所在なげに昼間や夜中に外にいないことだね。屋内にいるか忙しそうにオフィス街にいるかしないとすぐ不審者扱いだ。
前科のある方は尚の事面倒くさいね。
6割くらい進んだところで心臓が弱い方には
腹の立つ脅かしがあるので気をつけて。
残酷な内容もキツい人にはキツいと思います。
最後のラストは元旦那の復讐だったとと言う事か?
それとも小説の内容は現実の、、、
あの待ち合わせのメールは誰が、、、
謎めく終わり方でした。
最後まで引き込まれるなかなかのサスペンス作品でした。
たまにこう言うたまたま見てみたら思いのほか面白かったというパターンでした。
数年前に婚活アプリで知り合った元GUCCI店員で画廊で働くめちゃエレガントな高嶺の花のいい女と麻布十番のイタリアンレストランで会った事を思い出した。
僕が本当は金持ちではない事をすぐに見抜かれてLINEを即ブロックされたっけ。
レビュー
あまりの生々しさに不快感を感じながら、引き込まれ、目を離せないシーンが多すぎる😇
虚しさの中でリッチな生活をしている女性は、元夫から送られてきた小説に、魅せられながらも、心の深部を削られていく…
観てるこちらも削られます🦊💦
大人向けではあると思います🌞
深く傷つき先へ進めない男の復讐物語
5回観ました!
テーマは「愛」?
過去・現在・小説
3つの軸でリンクして物語が進み
色んな揶揄があり
見るたびに新しい発見できて
とても味わい深い作品でした!
鑑賞時の自分の心境によって、また見え方が変わる作品だと思います。
●オープンニングの、裸のふくよかな女性が踊るシーンはインパクトがあり、どんな揶揄か、最後まで見るとわかります。
→私は、スーザンの手厚くしてくれた男性への怠慢を表現しているのだと感じました。
●劇中の小説の内容はショッキングなものですが、それは一体、元夫エドワードがスーザンにどんなメッセージを送りたかったのか?
→ラストシーンを含めて、私はエドワードの復讐だと思いました!劇中に登場する家族、それはエドワードが失なったモノ。それがすべて、エドワードのメッセージ。
●「ノクターナルアニマルズ」小説のタイトル、これは何を指してるのか?
→私は、スーザンやスーザンの家族のことだと思いました。
一見、主人公はスーザンですが、実は、エドワードの物語だと思いました。
男性目線、女性目線では感じ方が違うと思いますが、男性目線の作品だと思います。
ファッションデザイナー、トムフォードの作品だけあって、アート的な表現も楽しめる作品です。
すごく惹き込まれた
途中から劇中劇がメインなのか、本筋のストーリーがメインなのかわからなくなった。スーザンに元夫のエドワードが送ってきた小説をスーザンが読み進むたびに、映画の中では映像として再現される。
最初のシーケンスは、旅行にいく家族が携帯電話の電波も通じない辺鄙な場所で、しかも真夜中に、チンピラたちに絡まれる。これがまた、チンピラのたちの悪さとお父さんの弱々しさが相まって、見ているのがつらい。名古屋アベック殺人事件を思い出してしまった。その先の悲劇的な展開が想像できるほど、チンピラたちのいたぶり方、弱みにつけ込むやりかたというのが、実に生々しい。演技という意味では、完璧と言っていいほど、観客に不快感を与える。
もう途中から、小説の方に興味が惹きつけられてしまい、現実世界の方がサブストーリーに感じるくらい。ジェイク・ギレンホールは、さすが上手いね。暴力や恐怖に怯んでしまう弱々しい男を見事に演じてる。
ラストシーンの意味は、なんとなくわかったが、あまりにも余韻がありすぎ。気になってネットで検索していたら、トム・フォード監督の解説を見つけた。なるほど、そうなんだと一人合点。トム・フォード監督は、ファッションデザイナーとしても大成功しているっていうじゃない、天は二物を与えすぎだね。次は、どんな映画を作るんだろう。
小説パートは良かった!!
オープニングの謎のグロ映像で吐いたり寝込んだりした方もいるのではないでしょうか。小説パートは怖くて面白かったですが、正直ヒロインに固執する理由もヒロインの魅力もそこまで感じなかったので、期待したようなオチ(2つのパートが融合する)も無く残念でした。
現実世界では何も起こっていない
現実世界では何も起こっていない。劇中劇の配役など、主人公が読書をするさいに心の中で繰り広げるイメージに、一喜一憂が宿る。
現実世界における主人公の元恋人同様、劇中劇の主人公にも、ジェイク・ギレンホールが配役されている時点で、「これは主人公が割り当てたのであり、監督が、分かりやすさのために割り当てたのではない」と気づかなければならない。
「この劇中劇は、主人公の元恋人が紡いだ文章そのままではなく、文章から繰り広げられたイメージー主人公の中のー」だと。
かくして、現実世界の反映=劇中劇という立式がなり立ち、現実世界で過去に何があったのかを探る旅が始まる。それは本を読むのではなく、読み手の心を読む旅だ。本の中ではなく、主人公の脳内に。
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