「二つの復讐」ノクターナル・アニマルズ 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
二つの復讐
インパクトあり過ぎるオープニングから呆気に取られ、荒廃したテキサスを舞台にポンティアック・GTOと三人組のスタイルや雰囲気がアメリカン・ニューシネマの如き70年代のアメリカ映画の暴力性を醸し出す、アーロン・テイラー=ジョンソンの存在感が「デッドマン・ウォーキング」でのショーン・ペンを想起させ、緑のウエスタンブーツの小物使いが効いているしマイケル・シャノンの野暮ったいカウボーイなスタイルも格好良く、オンブレーシャツにカーキ色のコーデュロイパンツがお洒落なジェイク・ギレンホールと前作に続きセンスがダダ漏れなトム・フォード。
現在と過去を描きながら間に挟まれる小説の物語が映画としては三者三様に作り話でありながら、凄まじく興味の惹かれる「夜の獣たち」の映像化でもあり復讐モノとしてのジャンルから、現状を分かり切った上での優越感にでも浸りながら本当の意味で復讐を果たすエドワード、ラストに再会することもなくスーザンの不安定な現状を嘲笑うかのように追い詰めた結果、傷つき果てた男の焦ったく途方に暮れる行動が変態的でもあり、将来の人生を選択する術に後悔も正解もあらず、心だけは満たされない。
男と女の恋愛観を過去と現在に描く単調に成り兼ねない物語を斬新な復讐法として小説の場面が刺激的に描写される展開に、現実世界では何ら進展がないように一人佇むスーザンは何を思う?
2017/11/04
TOHOシネマズ シャンテにて鑑賞。
2022/04/18
U-NEXTにて再鑑賞。
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