マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
全302件中、121~140件目を表示
あなたの全てを肯定する
あなたの全てを肯定しますよ。と言ってくれてるような優しい映画。
ケイシーアフレックが張りのない人生を送ってて、マンチェスターの曇り空と相まって、暗い映画になりそうだなぁと思っていたら、
現在進行しながら過去が入って来る手法で、始めは、コイツ何か過去にしでかしたな?と思わせ、
兄の死、甥との生活を送りながら悲惨な過去を知り、映画的にはここからの再生かな?と思っていたら、
そうではなく、甥は乗り越えようとしてるのだけど、ケイシーアフレックは辛い出来事を経験し、それに立ち向かい忘れ前を向くではなく、乗り越えられず纏わり付いて忘れられず前も向けない、だけど生きてくという姿が
映画的には新しくだけどリアルでとても優しい映画だな、と思った。何かで悩んでいる観客に対しても、そるでいいじゃないか、と言ってくれてるようだった。
構成が良い。
時系列を超えて、どんどんシーンが積み重なる構成。記憶ってこういうもんなんだろうね。嫁に関する描写がうまい。説明的な部分がなくてもなんとなくわかる作りがいいね。役者さんのうまさなんだろうね。
全編に渡り静の映画
ごく、一般的な人を演じているケイシーアフレック。大切な家族を亡くしながらも生きていく人を演じている。もとはマット・デイモン監督、主演で企画されてた作品でありそれを、ケイシーに譲ったところアカデミー賞受賞してしまった作品。
個人的にはフェンスのデンゼルワシントンが受賞に値したと思っている。
とりあえず色々素晴らしい部分はあるが
映画館で鑑賞するにはつらいと感じる映画です
現代アメリカで小津安二郎が撮ったら…
マンチェスターなのに、なんで車は左ハンドルなんだ…と思いながらしばらく見ていた…。
名画座の2本立てで鑑賞。目当てはアカデミー賞作品賞の「ムーンライト」で、本作については事前知識は一切なし。
脚本賞受賞作というのも、見た後に知った。
さて、これは素直にいい映画だ、と言いたい。
さまざまな事情、生きていく上でのやるせなさをみなが背負う。
それについて、見ている人間が感情移入し、「そう、それでいいんだ。泣けよ、暴れろよ」と声をかけたくなる気にさせる。
全体に、そういう空気が流れ、スクリーンを通して、見る者に伝わる。
その意味では、湿っぽい作品かもしれないが、登場人物の感情が丁寧に描かれ、安っぽさがない。
機会があれば見てほしい。
心の繋がりを感じさせる映画
最初はストーリーが過去と現在とが交差するので少しわかりにくかったが、途中から甥の後見人になった苦悩が痛いほどよくわかった。
甥もおじさんも2人とも心に傷を負い、辛い現実の中で生きている。
お互いに必要としていないように見えて、心の奥で繋がっている。
最後の2人のシーンが印象的。
想像を絶する過去
こんなにも想像を絶するような過去を背負っているとは思わなかった。別れた妻と今の自分とでも感じる想いは別物であり、お互いがお互いを理解するのは難しい。自分は自分、相手は相手、同じ感覚を持つことは無い。何かはっきりしたものを掴めた感じではなかったが、良い映画だった。
写真的
マンチェスター・バイ・ザ・シーの街を映すカメラの、とにかく美しいショットの連続を、思わず写真として保存してしまいたい欲望に駆られた。それほどに序盤のジョディ・リー・ライプスのカメラは写真的な美的感覚で撮られていると思えた。
ところで、写真とは過去の瞬間を切り取ったもので、そこには断絶があるといってもいいだろう。やがて物語は観客に主人公リーの人生がある出来事によって決定的な断絶がなされたことを告げる。リーの元にある三枚の写真こそがその証左で、マンチェスター・バイ・ザ・シーの街とともに彼は自ら写真の中に閉じ込められている。決して逃れられない過去として。
しかし終盤のあるシーンで止まっていた人生は再び動き出す。この映画におけるケイシー・アフレックの抑制された演技は素晴らしいが、加えてこのシーンのミシェル・ウィリアムズの演技は私たちの心を大きく揺さぶるだろう。
動き出したかに思えたリーだが、この映画は安易なハッピーエンドには着地しない。
「I can’t beat it」
彼の人生はマンチェスター・バイ・ザ・シーの空の色のように曇ったままだ。希望はないかもしれない。ただ絶望ももうない。劇的なショットはもうないかもしれないが、カメラは再び回り始めている。
尊いラストシーン
気性が荒く人付き合いの苦手なリーの元に、兄が死んだと一報が入る。
甥のパトリックの後継人を任され、今住んでるボストンに住むか、パトリックの住むマンチェスターに帰ってくるかの判断を託されることになる。
リーは兄の死をきっかけに、自分が逃げてきた過去と再び向き合うことになる。
なんだろう、終わった後に心に大きなものが残る。奇跡的な事なんか一切ない、幸せな事もない、問題山積みのリアルな現状が続いてくだけなのに、なんでだろう。
リーは不器用で人付き合いも苦手、そんなダメな主人公だからこそ、どこか惹かれるものがあるのかもしれない。
辛い過去を乗り越えるのではなく、そのまま抱えて生きていく。そんな選択肢だっていいんだ。
「ここに住めば」と言った時のパトリックの寂しさ、凄く切なかった。
ランディとリーが涙ぐみながらお互いに話すシーン。月日を経てようやく喉の支えが取れた瞬間。胸が熱くなる。
パトリックが船を操縦し、リーに久々の笑顔がこぼれる。一気に救われた気がした。
そしてラスト、二人で釣りをするたった数秒のシーンだけど、いつまでも続いて欲しい、ずっとこのままでいて欲しいと思ってしまった。
尊い。
映像のきれいな映画
表紙の、、ミシェル・ウィリアムズが魅力的。
彼女を最初に好きになった映画は「マリリン 7日間の恋」、そして同じ年の「テイク・ディス・ワルツ」で
決定的になった。バックでながれている音楽もしきになって、まだ耳に残っている。
「グレッチェン・モル」を見てびっくり。
おばさんになったね。
彼女をすきになったのは「ラウンダーズ」(1998)で、いまでも映画の彼女に恋してるのに。
*
きれいなの内海と船の映像。
構図がきまっていて、色彩も落ち着いていて、ひとの人生にゆったりと呼吸に合わせている。
主人公は便利屋で家庭の中途半端な仕事で生活している。元妻ともうまくいかないし、仕事も思うようにいかない。
おまけに自信もない。
妻と女の子と離婚で別れ、あたらしい家で生活力のあるオトコと生活している。
みんなそんなモノだと思うけど、やっぱり境遇に納得いかない。電話がきて、街には雪がふっている日に兄が死んだ。
それから、彼のふつうの生活が流転してゆく。
ひとは保守的な存在だが、兄の死ですこしづつ生活を変えることになってゆく。
そうしたありふれた変化を丹念に、そしてうつくしい映像で描いてゆく。
この手の映画がすきです。
マット・デイモンが演じる予定だったのかもしれないけど、ケイシー・アフレック(ベン・アフレックと兄弟らしい)が演じている。
ディモンとアフレックは親しいのでそうした話もあったのかもしれない。
でも、ケイシーの演技は良い。
映画を、コトバで語るのは無謀だと思うのでこれでおしまい。
移動が受容に繋がる
日常がずっと続いて、
劇的な成就なんて用意されてないけど、
雪解けの春を迎えて、その先の七月のことを
想像して語れるようになっただけで十分に着地してた、前を向いていける兆しに感じられて良かった
最悪な父だけど、それでも生きていかないといけない
元妻のランディとの邂逅が本作のハイライト、
「死なないで」とリーに嗚咽交じりに吐露するランディ、
赦しと救いと克服が綯交ぜに描かれていてグッときた
自閉
自分に絶望して自信を喪失し、周囲を遠ざける者の姿の機微をケイシーアフレックが演じる。俺のようなものに関わるなと、人に対してバリアーをはる。実に表現が細かい。時に事務的であったり、沈黙に落ち着いたり。感情を出すのが人に悪影響を与えないかと常に恐れているようでもある。しかし、一人であれば感情がむき出しになる。甥との交流で少しは立ち直っているように見える。ボールを弄りながら、甥が遊びにくる為の家具を用意しているらしい。その後の台詞「この話、続けるか?」、名台詞だと思う。
現在と過去のシーンが変化なく入り乱れるのは最初は戸惑ったが、そのうちに慣れてきた。足りないピースを徐々に埋まっていくようだ。メインキャスト目線だけによらず、様々な人の目線に切り替えていくことで、主人公を取り巻く社会に深みが出てくる。ドラマーの坊や目線でバンド演奏を見るのには笑ったが。
印象的なシーンは枚挙にいとまがない。見れば見るほど味わいがでる一本である。
また船に乗ろう
アメコミの映画化やシリーズ物やリブートが氾濫する今のハリウッドだが、ちゃんとこういう良質なヒューマン・ドラマが作られる事に安心する。
こういう作品こそが、ハリウッドの良心かもしれない。
辛く悲しい過去を背負った主人公、心の喪失、身内の死、再生、歩む新たな人生…。
描かれる題材やテーマは決して目新しく無くありふれているが、ケネス・ロナーガン監督の丹念な演出と脚本が素晴らしい。
現在と過去が交錯…と言うより、主人公がふとした瞬間に過去を思い出す。例えば我々も、ふとした瞬間ある瞬間に、過去の事(楽しかった事、悲しかった事、辛かった事…何でもいい)が脳裏によぎり、感傷に耽る時がある。その描かれ方が絶妙なのだ。
静かで淡々として、登場人物たちが何かしら悲しみを背負い、一見重苦しい作品のように思うが、会話の端々にユーモアを感じさせる。
サメのジョーク、甥っ子とその友人たちの『スタトレ』話、主人公と甥っ子のやり取り…。
我々も日常生活を送る中で、会話にユーモアを含ませる。真面目で辛気臭い会話ばかりじゃない。ユーモアがあって普通なのだ。
ケネス・ロナーガンの語り口は、誰だって経験する事経験した事、誰の身にも起こり得る事、何気ない姿を肌で感じるように描ききっている。
主人公リー。
昔は妻子が居て、亡き兄や甥っ子と船に乗って、親しい友人も沢山居て、明るくフレンドリーな男だったが、今は故郷を捨て、誰とも親しくなろうとはせず、暗い男に。
喜怒哀楽、複雑な内面や感情…。
ケイシー・アフレックが映画賞総なめも納得の名演。
甥っ子パトリック役のルーカス・ヘッジスも素晴らしい。
バンドやホッケーをやり、二人の女の子と交際している今時なイケメンだが、彼もまた繊細な面を持ち併せている。
これから楽しみな逸材!
リーの元妻ミシェル・ウィリアムズ、リーの亡き兄カイル・チャンドラーらも出番は少ないが、名アンサンブルを奏でている。
リーの過去。
それが語られる過去シーン挿入直前で分かった。
亡き兄の遺言でパトリックの後見人に。それを頑なに拒否。何故?
一応は昔あんなに可愛がっていた甥っ子、リーにも子供が。今の自分の生活や突然の事で拒否したのかもしれないが、ただそれだけじゃないものを感じた。何か、身内に関係ある悲劇があったのでは…?
リーの悲劇は過失だが、本人にとっては大罪であり、罰せられたい。だが、それは出来ず、その代わり、自らを自らで罰した。妻と別れ、故郷を去り、何もかも自分の人生を捨てるという罰を。
パトリックも何処か似ている。彼の場合、病死というごく自然なものだが、身内の死の悲劇という事では通じるものがある。
共に抱えた喪失、孤独…。
リーがまた故郷に戻り、亡き兄の家でパトリックと暮らしてくれたら…と、望む。
が、そう理想的に上手くいく訳でもないし、リーとパトリックの孤独な心が触れ合って温かな希望が…というお決まりのハートフルなものでもない。
しかし、冬の次には春が来る。
喪失からの再生、再出発。マンチェスターの海にも再び日が差し、その時はまた船に乗って…。
その苦しみは時間により解決するしかない
取り返しのつかない過ちを犯した友人を、あなたならどう救おうとするだろうか?
静かに寄り添い、そして、時間により解決するしかない場合もある。
主人公には良い身内がいて本当に良かった。
落ち着く映画
特に何も起こらないし特に何もしない映画でした。
多くを語らない登場人物と、冗談の様な皮肉の様なセリフはとても好みでした。
リアルなアメリカの日常というものが伝わってきてとても良かったです。
ラストシーンでは人は何を受け入れて何を選択するのかという事を突き付けられて胸が苦しくなりました。
全302件中、121~140件目を表示