「孤独、寛容、無関心、愛」マンチェスター・バイ・ザ・シー redirさんの映画レビュー(感想・評価)
孤独、寛容、無関心、愛
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東海岸のやや閉鎖的な海辺の街の、生活音、バックグラウンドに聞こえる話し声、波の音風の音雨の音が、この辺りの風景とうまく混じり合いとてもよい。さらに音楽が非常に過剰で素晴らしい。
過去の事件や様々な人間関係が少しずつ明らかになり、リーという孤独な男のことが少しずつわかってくる。自分を許さすことがない、終わりのない、出口のない自責の念自己嫌悪無為そして人にも自分への関心や寛容や愛を求めることを一切しない。
それでもジョージや周りの人達は反感や戸惑いもあるが寛容とか慈愛もある。東海岸独特のある種ストイックな風景街並みと、登場人物たちの、それぞれの不安イライラいつ燃え上がるかわからないような鬱屈した感情があり、また、そこには、みんなで支えあって生きようとする欺瞞ではないコミュニティも感じる。葬儀の後、アイスクリーム代をねだるパトリック。叔父より世渡り上手っぽいがまだまだ子どもで、叔父がつけた段取りに子どもとして安心して自分の未来を託す。アルコールやドラッグやネグレクトの問題なども小さな会話や情景で感じる。システムの中での精一杯の自己嫌悪、罪悪感、同意や共感や反感や理由のない不安、愛と寛容などをじわじわとチクチクと感じたよい作品。なんといってもニューイングランドは素晴らしいところだ。
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