「少しずつ、少しずつ、少しずつ。コミュ障は時間が解決する。」世界は今日から君のもの ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
少しずつ、少しずつ、少しずつ。コミュ障は時間が解決する。
ひきこもり系女性の社会適合訓練中みたいな映画。
門脇麦が演じる興味深い人物背景の主人公設定だが、
ずっと社会集団内での生活をしてこなかった人生ゆえ、
彼女の、スローリーでリズムのない時間感覚で物語も進み、
テンポが遅くて遅くて、眠くなる。
こりゃ耐えられんと、再生速度を少し上げたら、
逆にかなり見やすい映画となり、笑ってしまった。
コミュ障で無表情。瞬きの回数も少ない。
喋り方も幼く、何を考えてるかわからない。
バイトをクビになり、新たな地味バイトを始めるが、
ひょんな事から絵の才能を認められ、別部署でイラストのお仕事をするようになる。
ここでようやく、サクセスストーリーの展開になるのかと思いきや、
容赦なく失敗展開を浴びせ、厳しい現実を突き付けるストーリー。
ひきこもり中、好きで描いてた絵も、仕事と化した瞬間に全く描けなくなる。
何者でもなかったし、何かができる者でもなかった。
そういう厳しい自己評価を目の当たりにし、現実から逃げ出したりするが、
友達らしき人物もでき、仕事じゃなければ独創的な絵も描けるようになっている。
大きな変化ではないが、小さい変化は注意深く見ていると、この主人公、小さいながらもあるっぽい。
そういえば、、、
( ´ー`)y-~
かくゆう私も、学生時分はこの主人公のように、人見知りのコミュ障だった。
就職活動の面接の帰り道、極度の緊張から解放され、
電車を降りた瞬間、線路へ嘔吐してしまった。
鬱っぽい症状も出た。
そんな人間でも、二十数年経てばコミュ障も治る。
人見知りも治る。
営業的な外回りもこなせるようになる。
時間はかかるが、結局は時間が解決する課題点でしかなかったのだ。
少しずつ、少しずつ、少しずつ。
小さな事からコツコツと。
課題克服への、取り組みさえ途中でやめなければ、
前へ進むことを停止さえしなければ、
少しずつ、少しずつ、時間の流れが解決する。
特別な才能を開花させたり、尋常ならぬ能力を開発したりするのは難しいが、
社会に適合したりフィットしたりは、発達障がい者でもない限り、
時間の個人差はあれど、人並み程度にはなんとかなるのだ。
無表情だった主人公が、ラストで笑顔が増えたのは救いだった。
ただし、面白い映画ではなかったかも。