「「庭」は住人の心を表す。これまでにないガーデニング・ドラマ」マイ ビューティフル ガーデン ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
「庭」は住人の心を表す。これまでにないガーデニング・ドラマ
数奇な出自を経て成長したヒロインとその隣人らとの交流を織り交ぜた、これまでにない奇想天外な「ガーデニング」ドラマが誕生した。その世界は奥深い。荒れ放題な庭はそこに住むヒロインの心とも共通しているし、そこに手を加えて互いの植物が共生するように心を尽くしていく様は、そのままヒロインの精神的な成長でもあり、ひいては隣人役のトム・ウィルキンソンが長年抱え込んだ「孤独」を解消させていく過程とも言える。家の中の小道具や演出上の夢想的なタッチはどこか「アメリ」を意識させ、それがうまくハマっている部分もあれば、そうでない部分も。特に肝心なボーイフレンドが現れてからは、これまでスムーズだった話の流れが若干淀み始めてしまうので、もう少し他の膨らませ方があったかもしれない。一方、「シャーロック」のアンドリュー・スコットの方が巧くヒロインの心の内側へと入り込む。その飄々として予測不能な芸達者ぶりはなかなかのものだった。
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