AMY SAID エイミーセッドのレビュー・感想・評価
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いっつ あ せれぶれーしょん
ディケイドというプロダクションに所属している俳優が中心で出演しているほぼ単一場所での密室ドラマ。二十年前に映画同好会にいたそれぞれの登場人物が色々と現実の悩みや辛さを吐露しつつ、その関係性の繊細さを表現していくシチュエーションである。一応、主題は過去の仲間の自死が発端であり、それぞれがその死んだ女性との思いを吐露することでケミストリーが起こるという会話劇でもある。
正直、今作品は非礼を省みず述べるならば、俳優のPV要素が強いと感じる。勿論、その面を敢えて匂わす宣伝内容なので、別段隠している訳ではないのだろうし、と同時に、そのプロダクションの記念行事的な意味合いも相俟っているので、何となく興ざめ感が否めないのは自分だけだろうか?出演している俳優は、邦画ではどこかで観たことある人達のオンパレードで、映画版『バイプレイヤー』といった雰囲気である。であるから、勿論演技も相当レベルが高く、今作品をそのまま芝居でもできるのではないかというライブ感も予感として持てる。それだけではなく、今後、伸びるであろう若手俳優達のプロモーション的要素も醸し出していて、そこもなんか鼻につくような・・・言い過ぎかもしれないが・・・。そういうものの匂いが出てしまうと途端にストーリーが陳腐化するというか、興ざめしてしまうのが悲しい。最後の大橋トリオの楽曲が秀逸なので、全てそこに救われた感のある作品と感じた。
成立はしてるね
ひとりよがりな中年たちの映画
中年たちが青春を振り返る会話劇とのことで期待したのですが、個人的にはフィットしない作品でした。
主要キャラが自己愛的なので観ているうちにウンザリ。
サークルのマドンナであるエミを偲ぶうちに、それぞれが抱えていた罪悪感とかのモヤモヤを語るんですが、自分語りばっかり。エミを殺したのは自分だ、と語ってばっかで、エミがどんな人だったのか、どんな苦しみや哀しみを抱えていたのか、誰も思いを馳せようとしないのが、合わなかった。
罪悪感を抱えて生きるのは辛いし、現実がうまく行ってないと仲間にすがりたくなるのも解る。しかし、お前らもっとエミの内面に関心持っとけよ!と言いたくなる。
クライマックスである朝田の自分語りでエミの自殺理由が語られるが、えっ?それマジで言ってるの?とびっくりしてしまうほど説得力が感じられない。朝田を演じる三浦誠己の演技が真に迫っているからこそ、逆に冷めてしまいました。
まぁ、本当の理由はきっと別にあるんでしょうけど。みんなエミに関心を持ってないからわかんないだけで。
そんな冴えない人たちが変化し成長していくのが映画の醍醐味。
しかし…物語が進んでも、ぜんぜん変化しない。川崎の熱っぽい独白も、うわっ、さむーって感じです。情熱こそが人生を豊かにするものだと思いますが、あのシーンでひとりよがりの熱さほど寒いものはないと実感しました。
結局、収以外の主要キャラはみな嫉妬とかコンプレックスに振り回されており、基本的に関心が自分にしか向いていない。現実の生活が満たされないのも宜なるかな。正直、ああはなりたくないです。
キャラクター・内容ともに個人的には最悪でしたが、映画としては充実しているな、という印象。会話劇でありながらテンションが落ちずに中だるみしないし、それはひとえに演者たちの実力の賜物だと思います。
大橋トリオの歌でクライマックスを盛り上げる演出も、ここぞ、というタイミングでやって来るためハッとしました。
(ストーリーが良ければここでキたと思います)
村上淳のチンピラ感も最高でした。手下ともどもロッキー好きって泣けます。
これでキャラと脚本にもっと魅力と厚みがあれば、としみじみ思いました。
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