「掴めたものは」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? はるまきこさんの映画レビュー(感想・評価)
掴めたものは
昼間に主題歌をたまたま聞いて退勤後に。
物語シリーズの制作会社ということで場面どこにそれのオマージュ(と思わせる)があって序盤はそのウキウキで流れていった。
始まってすぐに菅田将暉の声が良くないなと思った。上映前の予告映像の中に「火花」もあり、そこでは鬼気迫るものから何気ない一言まで何ら違和感なく素晴らしい演技だとさえ感じさせられたのに。理由は声質だと思う。粘り気がある、というか声に水分が多すぎるイメージ。キャラクターがしゃべっているというより菅田将暉本人がそのまま出てきてしまっていた。長ゼリフ(とまではいかなくてもある程度の長さ)はまだ聞けた。問題は息遣いや短い「え」や「ん」などそれだけで感情の変化を表して欲しい場面。文字通り「え」「ん」と言っている。特に今回のような、表情
こ作りを凝るタイプのアニメでは致命的だった。
これは下手とはまた少し違う気がする。なにせ初挑戦。やったことがないのだから上手くなくて当然。
というのは擁護でもなんでもなく単なる事実であり、菅田将暉の将来性や宣伝における話題性を抜きにすると「失敗」と言わざるを得ない。
ストーリーは確かに風呂敷を畳まず終えた感じ。行き着いたのが『様々な選択を全ての人が自ら行うことでこの世界が成り立っている』ということ。とは言えこれが正しいのかは分からない。今のところ広がりは感じられないので暫定的に。
これを私の中に落とし込んだ時に抱いた感想を端的に表すならば『私のこの手では世界中の何も掴めない』だった。選びはするし失敗もするし時には飛び込むかもしれない。だけれども圧倒的に力が足りない。
映画1つまともに観られない。
明日こそは何かを。