劇場公開日 2017年8月18日

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「いろいろな意味で残念でした」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0いろいろな意味で残念でした

2017年8月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

酷評されているのは承知の上で見て、確かに一言も二言も言いたくなる作品だと思いました。でも、見る価値もないとは思いませんでした。

とにかく絵がきれいで、暑さよりも懐かしさを感じさせる、美しい夏の情景がとても印象的でした。おかげで、いつのまにか中学時代を思い出し、なんとなく当時の自分と重ね合わせていました。どうでもいいことで友達と騒いで、親を煩わしく思い始め、傷つくのが怖くて大事なことほど無関心を装う。だから、好きな子ができても誰にも言えない。そんな甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれたので、前半は典道や祐介やなずなに共感しながら見ることができました。また、魅力的なキャラや絵づくりも実にシャフトらしく、いい意味で独自の世界を描いていたと思います。主人公の二人が阿良々木くんと戦場ヶ原さんにかぶりまくって見えたところもありましたが。(笑)

一方で、キャラ設定に違和感を覚える部分が多くありました。見終わってから、原作となったドラマがあり、設定が小学生から中学生に変更されていたことを知り、納得しました。しかし、タイムリープ以降はそれ以外にもツッコミどころが多く、申し訳ないけど菅田くんの声もダメで、作品世界に入り込めず、感情移入できなかったのは残念でした。タイムリープする度に世界が壊れていくようだったので、あれは典道の妄想世界の出来事だったのかもしれません。だから、つじつまの合わないことがあってもいいのかもしれません。そうだとしても、観客にもそれとわかるような描き方をしてほしかったです。

それと、人物の描き方と展開にもストレスのようなものを感じました。典道の友達、両親、なずなの母、先生、花火師等が、意味ありげに登場します。それが伏線かと思いきや以降は絡んでこないし、典道やなずなに大きな影響を与えたとも思えず、あれは必要なシーンだったのかと思えるところがいくつもありました。もう少し人物の背景が描かれていれば、感じ方も変わってきたかもしれません。

多くの人が感じているラストの疑問。近くの席のところどころからも「結局何が言いたかったの?」「さあ?」という会話が聞こえてきました。「見る人が想像すればいい」というのはわかりますし、解釈の仕方も人それぞれでいいと思いますが、そのための手がかりはもう少しあるとよかったです。作り手の思いが伝わらないのは、やっぱりもったいないです。

おじゃる