劇場公開日 2017年8月18日

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「語りたくなる駄作」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? みうらさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0語りたくなる駄作

2017年8月24日
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鑑賞方法:映画館

耳に残る曲とシャフト独特のキャラに惹かれ、脚本大根仁、岩井俊二監督という豪華な顔ぶれに興味を持っていたものの、評判の低さから鑑賞を躊躇していましたが、夏の終わりに意を決して観ました。

人間関係描写の希薄さ、ストーリーのなさ、何よりもタイムリープの説明不足感が相まってとても不満の残る作品でした。

主人公典道がひょんなことからなずなの家出もとい、駆け落ちを助けるところから物語は加速していきますが、物語の盛り上がりポイントが全く分かりませんでした。この手のファンタジー的な作品にはシャフトの絵柄こそ合いますが、その分リアリティラインが曖昧になってしまい、結局タイムリープ的な何かがどういうものか理解できませんでした。

本作ではビー玉のようなガラス体の球を投げることによってタイムリープ?を行なっていますが、このタイムリープのルールづけが明確になされていないので、投げて時間が巻き戻ったように見えて、内実違う時間軸のようにも見える。さらに混乱を加速させるのが典道にタイムリープ後も記憶がある時とない時があり、余計にこれは同じ時間軸を巻き戻しただけなのか、違う時間軸なのかが分かりづらい。

普通はそうした疑問は主人公が持ち、観客と同時並行でタイムリープを理解していくのが定石のような気がしますが、今作の主人公典道はサクッとタイムリープを飲み込み、自分のしたい未来へと後戻りをしていきます。
これでは、観てる観客が置いてけぼりで、球の謎を抱えたまま話が進んでいきストーリーについていけません。そして最後のタイムリープではバリアのようなのが茂下町を覆い出して、前述のリアリティラインがより一層不明瞭になる。
タイムリープだけではなくて、バリアのような何かがはることもあるのかと。

またそもそも、タイムリープする動機にあるなずなのことが好きな典道に関しても、少し好きかも程度が急に大好き一直線になったかと思えば、なずなもなずなで澄まし顔で誰にも興味ない風で、両親の再婚で故郷を離れることに対する憂鬱を展開してると思えば、典道や友達の祐介を積極的に花火に誘って観たり、登場人物の気持ちがいまいち分かりづらかった。
特に友達の祐介はなずなのことが好き風な事を言っていたにも関わらず、花火大会に誘われるとドタキャンするなど行動が意味不明で、頭には?マークが。

不満ばっかりで正直褒めるところを見つける方が大変な本作ですが、確かになずなは可愛く魅力的に描かれていました。

ただ、やはりラストの典道となずながいない教室や、なずなのお父さんもタイムリープの球を持っている描写など説明不足が否めません。
もう少し分かりやすいストーリーで、最後なずなが転校するにしろ、気持ちに踏ん切りをつけた場面のクライマックスで綺麗な花火のアニメーションと音響を観たかったです。

自転車二人乗りや、教室で先生に対して大げさなセクハラ発言、朝の登校にスケボーを使ったり、遊んでいるゲーム機はXbox風なのに画面はドット絵など、ちょいちょい挟まる古い趣味もオヤジ臭く、個人的には流行に乗れていない気がしました。

過剰なまでの宣伝で音楽だけは有名ですが、とても退屈でした。結局花火って球体でいいんだよね?

ヨシマサ
おかずはるさめさんのコメント
2017年8月26日

監督は岩井俊二ではありません。

おかずはるさめ
guriさんのコメント
2017年8月25日

私はこれはタイムリープではなく、典道の”もしも”世界だと受けとりました。
現実の祐介は典道を後押しする役割ですが、典道は祐介の言動をそのまま受け取り、
”祐介はなずなの事が好き”だと思っています。
その後は典道のif世界ですから、典道の認識の世界で展開しています。”もし俺(典道)がなずなと花火デートしているのを祐介が知ったら怒るんだろうな”という典道の考えから、祐介が苛立つ描写になっています。苛立つ祐介は現実の祐介ではない。

最後の海の中でなずなが”今度、いつ会えるかな?”と言った言葉から、ラストの二学期の点呼で典道が居なかったのは、なずなに会に行ったんだろうなと感じました。

ちなみに、原作の映画のなずなの最後の台詞への回答として、アニメのラストシーンだと解釈しました。

guri
ヨシマサさんのコメント
2017年8月25日

私も最初、祐介の言動は典道を後押ししてるように感じていました。
おそらくそれが一番分かりやすい解釈の仕方だと私も思います。ただ、そうした時、タイムリープ後の祐介の行動がなずなに意固地すぎではと感じたのでこのようなレビューを書きました。
線路を追っかけたり、典道に本気で怒っているような描写だったり、最終的に灯台からなずなと典道を突き落とすような描写も。

例えば、タイムリープではなく、別次元へのワープ的なのであれば、その次元ごとに人々の感情が違っていたり。
あるいは典道の願い(もしもを叶える)通りになる球だとしたら、祐介の気持ちさえ変えたのかもしれませんが。
どちらにしろやっぱり本作は説明不足、もしくは描写不足なのかなと感じています。

原作である岩井俊二監督の実写版が気になるところです。

ヨシマサ
guriさんのコメント
2017年8月24日

祐介は本当になずなのことをそこまで好きだったのかな?そりゃかわいいとは思っていただろうけど。台詞じゃなく、祐介の行動を見てみると、
・典道がなずなのことを見ていたのに気がついて、”告白しようかな?”と言った。
 →憲道がぐずぐずしてたら、俺が先に告白するぞってはっぱかけてる。
・なずながプールにいるのに気がついて”うんこしてくる”と言ってその場を離れた
 →憲道となずなが二人っきりになれるように気を使った。
・なずなとの花火に行く約束したが、憲道に代わりに行かせた。
 →祐介の替わりに、憲道がなずなと花火に行けるチャンスを与えた。

祐介は憲道がなずなの事を好きなのを分かってて、憲道となずなをくっつかせようとしているんじゃないでしょうか?

guri