「あの日の記憶が蘇る。」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? あやひとさんの映画レビュー(感想・評価)
あの日の記憶が蘇る。
強く心を揺さぶられた。
あの時ああしていれば、なんて考えはとっくに棄てたはずだったけど、思い出さずにはいられなかった。
花火が咲いて散るまでの刹那を、僕は下から見るべきだったのか。それとも、横から…。
その瞬間、もしも…。
そんな後悔を想起させる反面、その意味を問いかけられたとも感じている。
辻褄の合わなくなるその瞬間、現実に引き戻される度の胸の痛みを繰り返して、やがて現実から遠くかけ離れたifを描き始める…。
そうならざるを得ない心の弱さと、それを馬鹿らしいと思う自嘲が、今の僕を襲っている。
と言うように、人をここまで感傷的にさせるほどに、話の内容、映像の美しさと演出のバランス、構成が完成されていた。
見る前にも聞いた意見だったけど、この映画はエンターテインメントではない。
決して楽しい、面白い作品ではない。それでも僕はこの作品が好きだと言いたい。
何時までも悩める、そんな僕に寄り添ってくれる。後悔とその切なさを消し去り、忘れさせるのではなく、共に歩んでくれるような、そんな二時間だった。
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