「ターゲット層に食い違いがありそう」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)
ターゲット層に食い違いがありそう
私個人は「全ての作品が辻褄が合っている必要も無ければ、起承転結がしっかりしている必要もなく、その作品にあった見方をして得られるものがあればそれで良い」というスタンスです。そういう目線で見ると、色々な可能性の中で切り取られた青春の1日の描写として、本作は十分見応えがあると感じました。殊に、昨今ループものと言えば人命を救うとか、世界を捻じ曲げんとするかの如き壮大なスケールの作品が多かったので、この作品のジュブナイルとしてのみ完結している(小品としての)まとまりの良さは、かえって新鮮な感じさえ受けました。まあそうは言っても、岩井俊二氏へのリスペクトに溢れる本作は、いわば「大人達の同窓会」として作られている節があり、そういう意味では「大人になってしまった僕らの(私たちの)ためのジュブナイル」という趣で、マスに向けた作品とは言い難い。したがって一般層(ひと夏の思い出に映画館に話題作を見ようと足を運ぶ)には不向きな作品かと思います。にもかかわらず広告は思いっきりそういう層をターゲットにしているため、ある程度辛い評が出てくるのも仕方が無いかなと。これから見ようかどうしようか迷っている人は、ジブリがTVスペシャルとして作った「海がきこえる」がイケる人なら、まあ大丈夫なのではないでしょうか、と付け加えておきます。
>momozyさん
岩井俊二さんの小説版は大根さんのノベライズの半分も無い頁数なので、ささっと読めそうです。ドラマ版もやっぱり良さそうですねー。いずれレンタルかHuluあたりで見たいと思っています。情報ありがとうございました。参考にさせていただきます。
猫シャチさん
何度も何度もありがとうございます。
確かに、脚本に"穴"があり、その"穴"が美しいことは間違いないと私も思います。
>企画の立ち上げは「君の名は」より先だった本作ですが、結果的に後追い枠みたいに見られ(売る側もそのようにプロモートせざるを得ない流れになってしまっ)たのが不運と言えば不運ですね。
まぁ、でも地方にいる身としてはこのような作品が、誤配のような形で近くのシネコンで観られるのはうれしい限りなんですが(笑
私は、実写映画(1995年版)と大根さんの小説をチェックしてみましたが、どちらもこのアニメ作品が好きであれば、猫シャチ様も楽しめるのではないかと思います。
岩井監督の小説は、まだチェックしてません。
実写は、挿入歌である『Forever Friends』(松田聖子ではない方)の使い方が非常に印象的でした。アニメ版では、男友達の声が入って曲に集中できませんでしたが、劇中ではピシャリとハマっていて映像と音楽のすばらしい結びつきの一つだと感じました。
大根さんの小説は、至って普通というか、たぶんこれをこのままアニメにしたら、割と素直に高評価でヒットを飛ばせたのではないか? という感じもします。
思った以上に大根小説版とアニメ版で違いがあり(特にラスト)、やはりアニメ版スタッフは、その脚本にわざと"穴"を開けて、僕の様な人間を狂いにかけたことは間違いなさそうです。
私もちょっといろいろ考えてみたいと思います!
以上、ご参考になれば幸いです。
企画の立ち上げは「君の名は」より先だった本作ですが、結果的に後追い枠みたいに見られ(売る側もそのようにプロモートせざるを得ない流れになってしまっ)たのが不運と言えば不運ですね。
原作は自分も興味あります。とりあえず岩井俊二さんの小説と、大根仁さんのノベライズを読み比べてみようかなと考えています。この作品のシナリオに穴が空いているのは事実ですが、その穴がものすごく魅惑的なんですよね。当分はその穴を覗きつつ、色々な事を考えて過ごします(笑
お返事ありがとうございます。
東宝の宣伝戦略が、評価の点では失敗したということなんでしょうね。初動は良さげですが。
これを期に原作を見てみましたが、アニメと同じくらいに良かったので、
良くも悪くも話題になって色々な人に見て欲しいです。
しいて新海監督に寄せるなら、秒速5センチメートル的な作品だったんでしょうね。
>momozyさん
>小さな単館などで上映されれば隠れた名作! 的な位置を確保できた、
この下り、仰る通りだと感じました。作品の佇まいとしてはそれが正解で、年に数回だけ映画を見に行くライトシネコン層への訴求力は薄いかなと感じます。最後のシーンは色々な解釈が出来ますよね。ああいうシーンをもったいぶらず、サラっと描写して終わらすのは、大人な演出で好きです(人によってはそっけないと思うでしょうが..)