ムーンライトのレビュー・感想・評価
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耐え難きを耐えた後に
ハッキリ言って、平和な世界に生きてきた私にはよく分からない作品だったが、全ての俳優の演技力の高さには驚いた。
特に、シャロンの母役のナオミ・ハリス?
美しい人だけど、あんなにも豹変出来るものなのか。
恐ろしい(笑)
時を経て変わっていく人と愛のかたち
観終わったとき思い出したのは、ウォン・カーウァイ監督の名作『華様年華』だった。それはこの作品が華様年華と似た構成や音楽の使い方、照明や撮り方で(おそらく実際意図的に)制作された事のみならず、両作品とも描かれているのが「時を経て変わっていく人と愛の形」だったからだ。
この作品は三部構成となっている。育児放棄気味の母親に育てられ、学校ではいじめに遭う中、売人フアンと知りあい、ケヴィンとの友情が芽生え始める幼少期「リトル」、自分のセクシャリティとケヴィンへの想いに気づく少年期「シャロン」、そして故郷を離れ大人になった成年期を描く「ブラック」。物語は「リトル」→「シャロン」→「ブラック」の順に、シャロンの幼少期から成年期にかけた、最悪の境遇と、その中で得た切ない愛と人との絆、そして彼自身の半生を描く。
(ちなみにこの映画のシャロンの顔のアップのポスターもこの3つの時代を表している。左から青い幼少期、真ん中がピンク色の少年期、右がモノクロの成年期であり、それぞれの時代のシャロンの顔を部分的にコラージュして、ひとつの顔に見えるように制作されているようだ)
主人公シャロンは貧困層の黒人であり同時にゲイという二重、三重のマイノリティであり、それが幼少期から成年期に至るまで彼を常に孤独に追い詰める要因となっている。そんな永遠とも思える孤独の中で、彼が得たかけがえのない人の絆が、幼少期では麻薬売人のファンとその妻テレサの擬似親子的親愛であり、フアンの死後は、親友ケヴィンとの友情、そして彼への密かな想いである。
何重ものマイノリティであるシャロンの将来にはそもそも選択肢が少なく、彼は否応なしに恩人フアンが「自分のようになってほしくない」と願った類いの人物へと成長していく。そんな大人になっても手放す事ができずにいたのが、ケヴィンへの想いであり、幼少期から育んだ彼との絆であった。
そして物語の後半、大人になったシャロンは思わぬ形で、胸にしまっていたはずのケヴィンへの想いに再び対峙することになる…。
最悪の境遇の中で得た、最愛のものたち。それはシャロンという一人の人間の中で時間を経て、成熟し、暗闇の中で彼を照らす月の光のように、儚くも冴えた光を放ち続ける…。
この映画は、シャロンという人間の半生を通じて、孤独、絶望、そしてそんな最悪の境遇の彼の中で育っていく愛のかたちを教えてくれる。私たちは必ずしも、彼のように何重もの重荷を背負ってはいない。だが、誰もがシャロンのように孤独で、けれど心の中に美しい月の光を持っている。それを優しく語りかけてくれる映画だった…。
わかるけど…。
難しいかも…自分には。
生まれた境遇と生きてく環境と性的マイノリティーと、いろいろと考えさせられる内容だとは思うけど普通に生きていると人種問題とかクスリとかいまいちピンとこない。アカデミー賞という冠がついたから尚更理解が難しくなったかも。絶賛されてもなー、というとこれろ。
ブラックの色彩
アカデミー賞作品賞受賞作品。
こういうのがアカデミー賞を取るようになったのかと驚いた。
子供時代、青年時代、成人と主人公シャロンの置かれている状況とシャロンの心を光の加減と微かな瞳の動きを映し出していく。
3人で1役という設定。3人もいると、どこか雑になったり役者に違和感があったりしそうだけど、この作品はとても丁寧に撮られてる。そこがこの映画の凄いとこ。
子供の頃は他の同級生に比べ小さくて弱々しく皆からリトルと呼ばれ苛められてたシャロン。しかも家庭は複雑…そんな中での出会いと別れ。1人の人間の話なんだけどここに虐待、ドラッグ、愛、差別、偏見etc.全てが集約されている。
リトル→シャロン→ブラックにもやられた。こんなにも美しいブラックを初めて見た気がする。
シャロンの目を通して、そこにある感情を塊にしてぶつけられたような映画だった。
アカデミー賞選考委員の好む、カメラワークや音声、編集のアイデアに富...
アカデミー賞選考委員の好む、カメラワークや音声、編集のアイデアに富んだ技巧派作品という印象。決して魅力的な主人公ではないし、引きつける物語でもない。そして静かに流れる波の少ない作風。にも関わらず最後まで飽きさせず一定の緊張感を保たせて心に残る。過去の作品賞受賞作が好きな方には堪らない映画。な気がする
新しいブラックムービー,R15+は勿体ない
撮り方が叙情的
いかついホイール
マイアミ
母親ポーラ役のナオミ・ハリスが3章にわたり出演、どんどんやつれていくのが凄い
台詞よりも行間と動作から…
ラ・ラ・ランドを抜き、第89回アカデミー賞作品賞を獲得したということで鑑賞。
人種差別をテーマにした作品かと思ったら、主なテーマは同性愛。家族、いじめ、生活環境などのテーマも包括しながら、色彩美で重々しさを軽減しつつ、生々しく繊細に描いている。
まず一つ本作の特筆すべき点は、キャストの名演である。マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリスをはじめ、キャストの演技は申し分ない。これはバリー・ジェンキンス監督の撮影環境や気遣いなどが素晴らしかったのだと思う。
二つめはストーリーの内容というよりも、一人の主人公の心情を台詞よりも行間や動作から鑑賞者に読み取らせることに重点を置いてること。正直、ストーリー自体にはあまり魅力を感じなかった。だが、今まで見たどんなLGBT映画よりも、主人公の感情がひしひしと伝わってきた。繊細な主人公の気持ちを演出によって見事に描写していた。
ラストのシーンも個人的には最高だった。
アカデミー賞作品賞ではLGBTのテーマは暗黙のタブーとなっていたのを打ち破った本作。その所以は、本作がLGBTという垣根を超えた純愛ラブストーリーに仕上がっているからであると思う。
一般的な娯楽としての映画であれば評価は落ちる。
芸術作品として鑑賞するなら良いですが、娯楽として鑑賞するならつまらない映画です。
映画に単純な興奮とわかりやすさを求める人には理解できないでしょう。
この作品がアカデミー賞を受賞するレベルかと言われると甚だ疑問です。黒人に対する慈善行為的なものを感じます。
とても静かな映画
1人の黒人の成長を、三部構成で描いている。
ドラッグ中毒の母親にネグレクトされ、愛のない言葉や態度に傷つく幼少期。
同級生からの人種差別や同性愛への嫌がらせに耐える少年期。
ある出来事で環境が大きく変わり、見た目も生活も大きく変化した青年期。
変わる環境と変わらない気持ち。
誰にも理解してもらえないもどかしさと理解しあい肌と肌で触れ合いたい純粋な気持ち。
幼少期の恩人からもらった「自分の道は自分で切り開かなければならない。誰にも決めさせちゃいけない」という言葉。
「それでも夜はあける」のように社会問題が主題だと意気込んでみたが、大逆転もなければ大きな盛り上がりもなく、問題は何も解決してないけれど、ただ静かに物語が進んでいく。そして意外なラストシーンへ。テーマは「愛情」なんだなと最後の海のシーンで感じました。
無闇に人に勧めたくない、極上のヒューマンドラマ
いじめ、ドラッグ、同性愛…様々な問題をストレートに主人公の少年にぶつけ、その半生を描いた作品。
この映画を見終わった後は、どう自分は感じたのかを改めて考えさせられました。とても一言で言い表せず、無闇に人に勧める事が出来ないくらい、濃厚なストーリー、キャストだったと思います。
タイトルの『ムーンライト』の意味、平等に降り注ぐ月の光の残酷さや、愛を言い表したこの言葉にも胸が締め付けられました。
個人的には苦しんでいる主人公へのフアン夫妻の優しさにとても感動しました。逃げ場所を作ってあげる懐の深さ、そして自分の道は自分で決めるんだと教えるその姿に、優しさと厳しさを感じました。
また、賛否両論あるとは思いますが…ラストシーンのワンカットだけが、私は受け入れられなかったです…最後の言葉だけで終わってくれた方が、主人公の想いが受け入れられたのか、その後どうなったかを考える余地が生まれたのになー。。。と思ってしまいました…笑
青の世界に浸れ!
ほぼ、青です。
壁、家、服
青ばっかり。ムーンライトです。
ナオミハリス凄かったです
変わりばえが。
ポスターに美しい痛みとあったけど
本当にその言葉がぴったり
観た後あなたの世界が変わる
とも書いてあったけど
本当にそうなればいいのになあと思う
観た人の意識が変わってほしい
個人的には1が好きだったかな
3つともすごくちがう
3つ目のシーンは本当にドキドキした
観終わったあと、
ゲイということだけにフォーカスをあてない
ごく普通の恋愛映画を作れる
そしてそれが作品賞を獲るような
そんな時代が来たのかと思って
すごく嬉しかったのに
劇場を出るときに男の人たちの
ゲイ映画だとか嫌な感じだとかいう
ワードを聴いてすごく残念だった。
普通だと思ったのは私だけだったのかもしれない
でも全然違うじゃん!
今までの映画と!
リリーのすべてともチョコレートドーナツとも!
ゲイは彼の一部であって、彼の全てだと
描かれてないじゃん!
それがすごく良かったと思った。
申し訳ないが、自分とは無関係な話
黒人スラム、麻薬、ゲイが主題。アメリカでは刺さる人も多いのだろうが、日本人の大多数には縁のない話で、平日とはいえ初日から閑古鳥が鳴いているのも致し方ない。かろうじて関わるのがいじめ問題くらい。
主題の社会問題を、調理せずそのまま出していて、何の味付けもない。この作品を評価しないのも政治的だが、過剰に評価するのもまた政治的だろう。
トランプが大統領にならなければ、アカデミー賞を取らなかった可能性が高いという指摘があるのにも納得。
78点。
”静”から生み出された美しさ
主人公を3つの時間的視点から捉えた作品。
主人公であるシャロンの元には若年期から、同性愛、薬物中毒者の母親の育児放棄、そして学校での壮絶たるいじめとあまりにも重すぎる問題が降りかかり、それと向き合いながら大人になる…
日々平穏な日常を送る自分からはにわかに信じ難いほどシリアスではあったが、スクリーンから訴えかけられたメッセージの強さに圧倒された。
どんな人生だろうと選ぶのは自分だ、そう言われてるような気がしてならなかった。
キャストは割と少ないが、物語に関わる全員がこの作品に大きく影響を及ぼしており、見事と言うほかない。シャロンを演じた3人は同一人物が演じていると錯覚するほどそのキャラクターを巧く捉えていたように思う。また、個人的にナオミ・ハリスには強いインスピレーションを受けた。ボロボロでシャロンの人生に強く影響を与えた母親を演じたその演技は圧巻だった。
人生の根幹にある人間が人間たる所以みたいなものを感じる作品だったと思う。
こんなにも純粋な愛を、私は知らない…。
「自分の道は自分で決めろよ」
親しくしてくれる、父親代わりの男性に言われた言葉を胸に秘め、生きる一人の青年。
しかし、自分が黒人であり、ゲイであり、家族が麻薬中毒者である現実を受け入れられず、苦しい日々を送っていました。
そんな、辛い気持ちばかりが胸を覆う中、彼の心を救ってくれたのが、同級生のケヴィンでした。
青年になり、同級生にからかわれ、いじめられても、それでも彼は常にシャロンを気遣ってくれたのです。
しかし、二人の中がうまくいくことを祈っていた矢先に、事件は起きてしまいました…。
いじめっ子の暴挙に耐えられなくなったシャロンは、彼らを反撃して警察に逮捕されてしまうのです。
家族ともケヴィンとも離れ離れになってしまったシャロン…。
時だけが虚しくどんどん前へ進んで行きます。
それから十数年後に、再会を話したシャロンとケヴィン。
筋肉ムキムキの金歯マッチョ売人に姿を変え、ケヴィンの前に現れたその変貌ぶりに驚きました!
金も権力も手に入れ、悠々と歩く姿に昔の面影はありません…。
しかし、愛するケヴィンを求めるシャロンの気持ちは、昔と変わらずに存在し続けていたのです。
時が経ち環境が変わっても、心の根底にある部分は何も変わってはいなかったことを思い知らされました。
「変わってしまったもの、変わっていなかったもの」それぞれの核となる部分が、形となって今の彼の姿へ投影させたかのようでした。
ケヴィンへの愛を封じ込めずに、自分の生きる道を見つけられたシャロン。
彼を愛する気持ちを手にした時、自分を愛する事も出来たのだとしたら、それはなんて幸福なのでしょう。
「誰が為に生きるのか」
「誰を愛していくのか」
その答えを見つけられたシャロンの人生が、この先もずっと幸福であることを祈るばかりです。
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