ムーンライトのレビュー・感想・評価
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見た目は変わっても瞳は同じ
「月の光の下だと黒人の男の子は青く光って見える」
この映画の映像加工の技術を物語っているようなセリフだ。黒人の肌、海、木漏れ日が際立っている。この技術、カッコいいからみんなポスターとかで真似するんだろうな。
さて。
登場人物が少々典型化されているのが気になるが、作り手の訴えとメッセージがダイレクトに伝わり、アカデミー受賞の意味は大きいと思う。
「自分が何か、自分は何になるのかは自分で決めるんだ。絶対に他の誰かに決めさせるな」
自分で決めたいのに、生まれた環境によって決められてしまう社会システムにNO!
「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」
砕けた心をかき集めるようにしながら、必死で生きる人々を無視しないで、彼らの真実を伝えたい!
「オカマはゲイの人を不愉快にさせる言葉」
差別はダメ!いじめはダメ!
「あの夜のことを今でもずっと覚えてる」
ブラックの乙女心にキュンとする。初恋の彼に寄り添う姿は、LGBTもみな同じ!
フアンの恋人の手料理と、コックの彼が作る料理を食べるときの、主人公の無防備で充足感にあふれた表情がいい。
誰かが作ってくれるごはんと、子どもの頃に親から水泳を教わるって、本当に大切なこと!
決して遠いお話ではないところがミソ。
ああ、ほっこり。
ムーンライトか…。
光明
冒頭では過剰なカメラワークが目立ったが、それを補って余りある美しいカットの数々。
Boris GardinerのEvery Nigger is a Starに始まる秀逸な楽曲。
役者の演技に至るまで、非の打ち所がない。
体を鍛え、金歯を装着し、高級車に乗る事で弱い己を守るが、それは望んだ行為でも選んだ道でもない。
だからこそ愛する者の手料理を前に金歯を外すシーンがとても美しい。
還る海を得た彼の人生は、月明かりに照らされ青く光る。
だが、時代毎のワンシーンを繋ぐだけでは、真に彼の心に寄り添う事は困難であり、カタルシスも生まれない。
また、オスカーからアメリカへのメッセージである事は否めず、我が国に於いて彼の国と同じ様に響く事は無いだろう。
考えさせらる
重要ではあるが、時代や国境を超えるとは思えない
あれほどの感受性と得難い人達との幸運な出会いを持ったシャロンが結局は強面(コワモテ)のヤクの売人になる。それがシャロンの選択なのか、それ以外に道が選べなかったのかわかりませんが、この成長物語から読み取れるのは、希望よりは絶望でした。
経済的な階層固定化が、かなりの確率でその後の人生の選択肢を狭めている現実を改めて突きつけられました。
当事者でないと、ついつい気がつかないフリをしてしまうようなテーマを芸術作品として完成度の高いものに昇華することで、世の中の耳目を集め、為政者(特にトランプ大統領⁉︎)や社会を動かしている階層の人達、そして映画を楽しむことができる程度には生活に困っていないような人達(つまり、我々のことだ(^。^))に再認識させるための作品なのかな、と思いました。
日本におけるイジメは仲間はずれとか、ネットでの匿名攻撃のような陰湿なものが多いし(だからと言って直接的な暴力の方がいいということではない)、親子の問題もドラッグよりは過干渉のような子離れできない親とか引きこもりの方が現実的で、正直切迫感はなかった。
今のアメリカを読み解くのに重要な作品であることは間違いないと思います。
深い葛藤と苦悩と愛の物語
主人公の心の変遷と柔らかな表現、美しい映像が醸す透明な空気感。素晴らしい。
物語に奥行きがあって、見る人の解釈も許容しつつ許しと愛に向かって行くストーリーは立場主義趣向の違いに関係ない普遍性に満ちていた。
ゲイという大きなテーマを描いた本作は、LGBTという重い、アイデンティティの確立と尊厳に関わる問題を真摯に描けていると思う。
多勢の人の趣味趣向好き嫌いとは別に、守られるべき少数派の趣味趣向はまだまだ白眼視され軽視されるのが現状だ。
本作ではそこにさらに様々な社会的問題がのしかかる。
それらの誰しもが関わりうる現実の冷酷な一面が見る人自らの行いを振り返らせ、
数は少なくとも周りに現れる、苦悩に理解を示してくれる人々の優しさと愛は、自らもこうありたいと思わせるだろう。
大きなテーマは重くなりがちだが、叙情的で詩的な映像美や様々な映像の仕掛けが、全体に流れ・緩やかなリズムを生み出し、飽きずに疲れず見切ることが出来た。
ガスヴァンサントに例えてた人がいたけど、近いものがある。
ただやはり重く少数派のテーマな分、感情移入はしづらい。
考えさせられる部分、理解しきれなかった部分も多い。
この詩的な表現が受け入れられるか、どんな人でも関係のない苦悩そのものに感情移入できるかが評価の分かれ目かと。
初見は星4つで!
よくわかりませんでした
どういう映画か、楽しみにいきましたが、なんのことやら、わかりませんでした。
共感できるところもなく、取り立ててあたらしいこともないように思いました。
ぼくには合わず、観ている途中から、気持ちわるくなりました。
リトル、シャロン、ブラック
余韻が残る映画
ガス・ヴァンサントのエレファントを見た時のような感覚。
すごく静かなのにすごく力強いというか…。
もう終わり?と思ったら2時間経ってた。
様々な、しかも重い、要素を詰め込みすぎなんじゃないのか、という不安があったのだけど、
それぞれがぶつかり合うことなく、
彼が生きているのが当然のように
彼の回りに存在していることとして描かれていた。
確かに、誰でもいろんな事を抱えているけど、
いつもドラマチックとは限らない。
そんなことを淡々と、力強く描くよい脚本だった。
3人のシャロンは、みんな目が特徴的で、
特に大人になった彼には驚いたけど、
目はどこか昔のままというか、
似てないんだけど、
悲しみのようなものが見えて良かった。
余韻が残る映画。
ははーっ、終わりかぁ
"In Moonlight Black Boys Look Blue"
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