ムーンライトのレビュー・感想・評価
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深い
情報量が少ないため、映画の中に気づいたら入り込んでいる。
主人公の情報はほとんどない。だんだんと明らかにはなってくるものの、最後まで完全には明らかにされない。そのことで映画の中に入り込む。自分たちも友人や知人のことをそこまで深くは知らない。その情報量はムーンライトの映画の情報量と変わらない。わかりにくい、というよりはより自分たちを映画の世界に近づけているのではないだろうか。
そして、シャロンの人生に大きく、深く関わってくる3人の人物の存在感。彼らを演じた3人の役者の演技力。深く心に突き刺さって抜けない。
シャロンの心情を言葉を使わずに説明する演出やカメラにも圧巻だった。音楽で、カメラでここまで心情を表現できるのかと思い、驚かされた。
シャロンは、母親の愛が必要な時に与えられず、他に愛を探した。愛はシャロンの中に満たされたようで満たされていない。大人になり、完全に生まれ変わったようだったが、幼少期の心の傷もなくなったのだろうか。
ケヴィンとのまっすぐで、純粋な愛の物語であり、ここまでまっすぐな愛に感心する。しかし、それだけではなく、人生そのものについて考えさせられるものだったのではないか。
私が読み取れたのはほんの一部であり、とてつもなく深い傑作だった。
唯一の友人の存在が
周りの友人達からは苛められ、家庭でも愛情を与えられない黒人の男の子。唯一の心を許せる友達に対する友情を越えた想い。人を愛することが悩みになる。大人になり、立派な体格になっても心の穴は埋まらない。愛情は欲しい時に与えられないと、ずっと後まで寂しく過ごすことになってしまう。最後は心が通じ合い幸せを感じさせた。瞳がとても綺麗でした。
上目遣いが印象的
特に心揺さぶる何かが見つけられなくて残念。
子供の頃のシャロン、うつむきながらの上目遣いがやたら印象的。
売人のフアンがやけに良い人すぎて面白かったけど、まあ愛情持って構いたくなる気持ちもわかるかな
10代のシャロンは全身からいかにもいじめられっ子の空気感が漂っていて痛々しい。
ケヴィンを意識する葛藤も描かれてるけど、描写が薄くてちょっと感情移入はしづらい。
浜辺のシーンは綺麗なんだけど唐突感がすごい。
ドレッド頭にイスで殴りかかるのはいじめられっ子の爆発を静かに描いていて良かった。
大人シャロン、いきなりムッキムキで金歯が光っててその変貌にびっくりする。
自分の道は自分で選べ ってフアンに言われた結果がこれか…とちょっとガッカリしてしまった。
まあ自由に選べる境遇でないことはわかってるし色々事情があるんだろうけども。
最終的にケヴィンと仲直り、というか結ばれるのかな?
良かったと思うし幸せになってほしいけど、なぜか特に心に訴えかけるようなものがなかったな…
印象的なシーンや美しいカットは多いんだけどストーリーとして入ってこなかった。
カメラが前半よく回り揺れるので少し酔ったのであまり集中できなかったのかも。
思ったよりアーティスティックで分かりにくかった。
ブルーベースの映像はすごく綺麗。
もう一回は見たい
話は想像つくし、個人的には好きな話でもなかったけれど、もう一度見返したいと思った。
映像表現が何よりも優れていたように思うし、話が想像つくというその要素も優れた映像表現に寄るところが大。あらゆる感情が画面から容易に察せられた。
シャロン役の3人も奇跡のようなキャスティングというかディレクションというか、異なる時代が見事なまでに連なっていて、非常に分かりやすく現代アメリカにおいてぬぐい去ることができない一面を捉えることができた気がする。
感動も笑いもほとんど無かったけれど、映像とそしてまた劇中の音楽に魅せられた。
レンズのゴーストや写り込みなど気になるところもあったとはいえ、出だしの長回しから後半に多用されるクロースアップまで、巧みなカメラワークで織りなされる映像が非常に良かった。
今の時代
'70年代から映画を見てますが、ベストムーヴィーズの一つ。
今回、ラ・ラ・ランドと賞を競いましたが、全く異なるタイプの映画だから甲乙つけるのは難しいと思いました。けれども個人的一票なら「ムーンライト」。
シャロンを三人の俳優さんが演じていますが、よくinsideを出してまして快挙です。しかし大人になったシャロンが麻薬売買に手を染めてしまったのには悲しすぎました。アメリカの貧困層、また家庭環境は幾ら本人が良い資質を持っていたとしてもやはり逃れられないのかと。
かつてブロークバックマウンテンという良い映画ありましたね。賞は取れませんでしたが。この映画が取れたという事は時代も変わったと感じました。
あの街から出てNYとかに行き一旗揚げようなんて、お金もないシャロンは考えつくこともなく、いじめに耐えながら悶々と日々を過ごす、やるせないです。
見ている側は、子供の頃いじめにあっても街から離れる事もできず、母親も理解なんかできなく自分の事ばかり、そんな時代があった人なら、自分を重ねて見ているのでしょう。
時代をよく反映してますし、又、心の深い所にふれる、とても素晴らしい映画でした。
切ない。
子供にとってはどうにも出来ない出来事やら、生活やらで、いたたまれない。その少年期の一瞬に出逢った大人との交流でとっても救われていたんだろうと思われる。ぜひ子供の目線で見て欲しいわ。
大人になってから振り返れば一瞬なのかも知れないけど。まあ、切ない話でした。
拠りどころがないということ
この作品,The Color Purple へのオマージュだろうか?
社会の底辺に位置する地域。
そこに住んでいる ということが、すでに人生の選択肢なく日々いのちをつなぐことしか考えない荒んだ人生を意味する。
そのやるせなさ、いらだたしさが、さらに集団の中の弱い者へのいじめの原動力になる。
最下層社会で虐げられる者。
ひと昔前なら、それは女性であったのだろう。
が、女性は強くなった、というよりも 連帯する力を持ち自らが弱い存在ではないことに目覚めた。
The Color Purple はそんな作品だった。
でも、この作品の少年はもっと寄る辺ない。
愛し守ってくれるはずの母も自分のことしか考えられない。自分が何者かもわからないまま、ただ暴力に屈しないことだけを覚えていく。
彼が自ら育て上げた力は、実はひ弱で脆い。
でも、どうしたらいいのか?
全くわからないままに、ただ一度優しくしてくれた友達にすがる。
今年のオスカー作品賞。
確かに 政治的な配慮、そしてブラピがプロデューサーという背景あっての受賞だろう。
あまりの痛々しさに涙したが、全くわからなかったという方に「母性くすぐられたか?」と。
ああそうですか?
日本人だから? 米国文化を理解してないから?
ああいった社会の底辺を描くものは理解できない?
なるほど、これでは、Fences も Hidden Figures も公開してもワリに合わないとなってしまうわけだ。
そして、その想像力の欠如が、マッチョで知性の低い政治を支えているのかもしれない。
十代の主人公を演じた役者の鬱屈と怒りを充満させた表情が凄まじかった。
余韻に浸ってる
こういう同性愛ものの映画を観たのは初めてで、主人公の壮絶な幼少期、少年期に衝撃を受けました。悲しく切ない物語、でも温かくじんわりきます。
少年期を演じた俳優と大きくなった主人公を演じた俳優、癖をうまく演じてると思った。もう一度観に行きたい。
ゲイの少年の過酷な人生を見守りま賞
意外とまあまあ。
アカデミーで期待しすぎたかも。
ピュアなラブストーリーともとれるし、
現代に蔓延している家庭や
学校の問題を描いた映画ともとれる。
しかしちょっと中途半端な感じ。
幼少、少年、青年で
それぞれの主人公の人生を
描いているのはいいが、
可哀想とは思うけど、
心にグッとくるものは無かった。
なんだか消化不良だった。
DVDでもいいかも。
映像は綺麗だった。
こいつ、かわいいかも。
正直、作品賞を与える作品なのかは理解の足りなさを感じた。黒人の同性愛は日本においては共感することが難しい。個人的には黒人でなくともかもしれない。が、間違いなくシャロンの気持ちは感じ取れたし、終盤の表情に惚れた。
3人の役者が同一人物の3年代を演じ分ける上で、表情や仕草のシンクロが素晴らしかった。ブラックのところで、こんなに厳つい体になって…と思いながら観てると彼と再会してからというもの、表情がまるで幼くなった。ここはとても驚いた。
小品然とした純愛ものをこのカタチで見せるのかと圧倒される。
賞レース後のこの時期にこうした作品に対して「バイアス抜きで観るための心構え」を要されることにはいつも残念な気持ちになるが、観終わった後にそうしたネガティブな気持ちは一切なく、ただラストのせつなくも美しい余韻を感じながら「良作である」としみじみ考えていた。
まず本作の映像はただならぬこだわりようで、基本的に全てのキャストがアフリカ系であるためその彼らをいかにして映画的に見せるかについて考え抜かれている。これは何も被写体がどうだという次元のものではなく、題材からも由来されるドキュメンタリー色を画面から排除したかったからだ。時代背景などもボカされた中で(これもフィクション性を高めているが実際はバジェットのことが大きいのでは)観客は一人の少年の成長を見続けるのだが、実際には「成長」というより「深まる孤独」を見続けている。主人公の生きる辛さをより多くの人に、時に詩的でもある映像の力で感じてもらおうとしているのだ。
シネコンなどではまず観られない作品のはずだが、まさに賞レースで勝ち抜いたおかげで大きな箱でもかかっている。ゆえに途中で離席する人もいるしそれが初老の女性だったりするのはわかりやすい構図だ。しかし想像力の欠けた彼らにはゲイやバイセクシャルについての配慮や理解など考えもしないだろうし、本作がそれらについてのみ語られているのかどうかも考えないのだろう。そのことについて批判はしないが。
ところで字幕では「シャロン」とされていた主人公の名前だが本来ならば「シャイロン」ではないかという指摘がある。実際スペルは「Chiron」であり、発音も後者だ。これはギリシャ神話に出てくる「ケイローン」というケンタウロス族の賢者と同じスペル。ケンタウロス族は半人半馬であるのでなにか示唆的ではある。
シャイロンは一度いじめられる側から抜け出すための勇気を得たようにも見えたが第2幕では状況が変わっていなかった。そこで抱えているものの深さを感じるのだが、フアンの不在と関係はあるだろう。閉じこもった彼を開かせてくれたのはケヴィンであり、その後のことは失望というよりもただそう仕向けたテレルに対しての怒りが大きかった。だからシャイロンはケヴィンとの再会を心から喜んだのだし、まだはっきりと示されてはいないがようやくにして居場所を得ようとしているのだ。まずはそれだけでも良かったなと思えてじんわり泣けてしまう。
月明かりは太陽のそれよりも柔らかく、ゆえにコントラストも少ない。より平等な光。そうした光で物事を見れば今までと違って見えるだろう。
マイノリティに光を当てた映画
登場人物が黒人、ゲイ、ドラッグディーラー、売春婦とてんこ盛り。確かにアメリカはゲイ人口も多いし受ける題材だと思うがララランドより良いとは思わない。かたやハッピーエンド、こちらは社会派のダークな感じ。偏見はないがゲイのキスを映画館で見るのもなって感じ。アメリカの底辺の生活がわかる。トランプ支持するのも分かる。
たった一人でも誰かがいれば〜
どなたかが書いていたようにこれはとても切ないラヴストーリー。
でもその前に、少年を助けてくれたフアン(薬の売人)は
悪人なのか?救世主なのか?
数い難い状況の少年にとって例え薬の売人であろうと、
話を聞いてくれて気にかけてくれる人がいると言うのは
どんなに心強い事だろう。
フアン自体がおそらく過酷な少年時代を過ごして来ているのだろうから
少年の心の中がきっと痛い程分かってるんだろう〜
だから無理にシャロンに踏み込もうとせず
淡々と見守っている感じが、
少年にはとても頼もしかったんでしょうね。
この映画に限った事でなく、日本の一般社会にも全く当てはまる話。
たった一人でも本音を話せる人がいれば人はなんとか生きていける。
誰にも心を開けず、自殺してしまうのと、
例え悪人でも心を開いて生きて行くのとどっちがいい事なんだろう?
難しい事だと思う。
大人になったシャロンが、少年期、ティーンエイジャー期を
演じた二人とはパッと見、ぜんぜん印象が違って、
これミスキャスト!?とまで一瞬思ったけど、
懐かしい友と話すうちに、どんどんナイーヴな
昔のシャロンの面影に戻って行く!
大人のシャロン役トレバンテ・ローズは凄いな〜〜
派手な作品では無いので
正直アカデミー作品賞的なお祭り感は足りないから、
お祭りとしてのアカデミー賞はやっぱり
「ラ・ラ・ランド」で良かったんじゃないかと思ったりします。
が、アカデミーに絡まなければ
埋もれてしまったかもしれない作品なのでそこは、ちょっと複雑。
全く本筋には関係ないんだけど
ダメダメな実のお母さんがテレビの後ろの壁に飾っていた
鯉の滝登りの様な絵柄の掛け軸だったり、
フアンの家に飾られていた北斎の波と富士山の版画の写しだったり
この監督さん、結構日本びいきなのかな?なんてい思ったりした。
何がいいのか分からない
期待してみたのにがっかり。感動するセリフもなし。シーンもなし。ドキドキもなし。オドロキもなし。淡々とツマラナイ会話が続くだけ。余韻とか言ってる人もいるけど、終わりは尻切れとんぼ。アメリカはただゲイの話をすれば評価するようになってしまったのだろうか。悲しい。
これは恋愛映画
これは恋愛映画です。
堕ちてもクソ、のし上がってもクソ、な地獄の底のような世界で、生涯にたった一度起こった「良きこと」をよすがに生きる男の悲恋の物語。ゲイだけど。
マジメなはなし、こういう映画が恋愛映画として作られる、そういう時代になったということなんだと思う。
しかし、マハーシャラ・アリはやっぱりいつものマハーシャラ・アリで、ヤツに助演男優賞をやるなら熱演のナオミ・ハリスに助演女優賞をやれよと思った次第…
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