「主人公シャロンのつらいばかり半生。その中にもわずかな「幸せを感じる時」があり、ちょっと救われる」ムーンライト p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公シャロンのつらいばかり半生。その中にもわずかな「幸せを感じる時」があり、ちょっと救われる
主人公シャロンがあまりしゃべらないし、静かな夜のシーンが多い。ひとつひとつのエピソードは丁寧に描かれ、少年時代、学校時代、大人へと物語りはゆっくり進む。
「対処が難しく、辛い出来事」が続く中で、わずかに「ホッとする場面」があるというシャロンの半生。シャロンは「もっと良い人生を送れたかもしれない」と思うのだろうか。「これしか道はなかった」と思うのだろうか。
シャロンにとって「ホッとする場面」は、やはり大事な記憶なのだろう。ラストでそのひとつを回収するのは、ジワリと感動する。そのラスト場面、シャロンはポツリポツリと短い言葉しかしゃべらず、微妙な表情でケヴィンに伝える。言葉では言えないけど、伝えたい気持ちが表れていて、なかなか良いシーンだった。
痛快な場面はほぼなくて、マイノリティの中のさらにマイノリティを主人公にしているので、なかなか感情移入が難しかった。日常的に人種差別を見る米国人なら「ありそうな話」と思うのだろうが、そうではない日本人には「遠い世界」に感じてしまうと思う。なので、良い映画だと思うが、評価は微妙。
コメントする