「【2019年秋、今にして改めて考える、今作がアカデミー賞作品賞を受賞した理由。】」ムーンライト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【2019年秋、今にして改めて考える、今作がアカデミー賞作品賞を受賞した理由。】
ー切ないが心に沁みる作品である。ー
・幼年期から青年期のシャロンを演じる3人の役者
1)幼少期:アレックス・ヒバート、”リトル”という綽名で苛められる内気な男の子
2)高校生:アシュトン・サンダース、苛めに加え母親ポーラ(ナオミ・ハリス)は麻薬に溺れている。
3)青年期:トレヴァンテ・ローズ、体格も大きくなり、筋骨隆々の精悍な姿
に魅入られる。男の子の成長過程を見事に役者で表現している。
・この幼少期のシャロンを支える麻薬のディーラー、フアン(マハーシャラ・アリ)と恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)の存在。
・フアンがシャロンを海に誘い、泳ぎ方を教えている際に彼に告げる
”自分の道は自分で決めろよ・・。”という言葉。
テレサが掛ける”愛と自信を持つ事。”という言葉。
・彼らが何故に縁もゆかりもないシャロンを暖かく受け入れた理由は映画をきちんと見ていれば良く分かる。
・ここまでで、特にマハーシャラ・アリの魅力に魅入られる。(途中で、亡くなっていることが分かるが詳細は語られない・・・。)
・高校生時のシャロンとケヴィンとの関係も、美しい月明かりの中、仄かに描かれる。
月光が降り注ぐ中、紫色にも見える彼らの肌の色の美しさといったら・・。
・青年期のシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は今までのか細い面影はなく、鍛えれらた体とグリルの金歯を装着し、フアンと同じ麻薬ディーラーになっている。
変貌の背景は詳しくは語られないが、類推は容易だ。
・一方、大人になったケヴィン(アンドレ・ホーランド)はしがない、ダイナーの料理人になっている。
・幼少期、思い合っていた二人が青年期に出合い、関係性の変化に戸惑いつつも、且つての関係を思い出す場面や、シャロンが施設に入っている母親と再会するシーンの切なさ。
<白すぎるオスカーに対する世論は確かにあっただろうが、あの月光降り注ぐ中のシャロンとケヴィンの紫色に輝く姿を観てしまった者には、”「ラ・ラ・ランド」と今作2作作品賞受賞でも良かったのではないかなあ” と思った作品。>
「プランB」製作。バリー・ジェンキンス監督作品。
バリー・ジェンキンス監督の主張は、この後に制作した作品「ビール・ストリートの恋人たち」でも一切ブレていない。
彼は、映画を武器にして、戦う漢であると思う。
<2017年5月13日 劇場にて鑑賞>