「松田龍平=宇宙人という違和感のなさ」散歩する侵略者 オレさんの映画レビュー(感想・評価)
松田龍平=宇宙人という違和感のなさ
失踪していた夫の真治が自分は宇宙人だと宣言し、戻ってきた。奇妙な行動や言動を繰り返すそ彼の世話を苛立ちながらも続ける妻の鳴海の1組の夫婦と一家惨殺事件の取材をするジャーナリスト桜井の前に現れた自称宇宙人の天野と立花あきら。
3人の宇宙人によって地球の危機が訪れる様を描いたSFホラー?作品。
不気味な雰囲気と音楽で全編綴られる作品。
黒沢清監督は初見だが、こういう霊的なホラーでなく、人間的なホラーを得意とするようで結構好みな感じがした。
具体的にどういう生命体が何の目的で地球を侵略しようとしているのか、物語の1番重要な部分をボカしながら、漠然と「危機」が迫ってる現代を舞台に、1組の夫婦の崩壊と再生、1人の男の覚悟を描いたみたいな感じの内容?
そん中で宇宙人の特殊能力、「概念」を奪うという抽象的ながら驚異的な能力がすごく面白いと感じた。
奪う対象に奪う「モノ」を具体的に想像させ、それを理解するために対象から「概念」を抜き取る。
映像でまったく表現できなそうな部分を役者の動きや挙動だけで表現する演出は見事だと思った。
何より松田龍平が宇宙人っていう設定と「それもらうよ」と言い「概念」を奪う様がすごくソレっぽくてガチで宇宙人なのではないかと感じさせる笑。
メインキャストの1人長谷川博己は常に奇妙なポジションで人類側なのか、宇宙人側なのかいまいち掴めない絶妙な役柄を演じていた。
ラストの宇宙人からの攻撃に対し、マシンガン一丁で立ち向かい、向いてはいけない方向に向いている手足を引きずりながらも、果敢に侵略者に向かって行く様は2017年の邦画作品の中でももっとも笑っていけないシーンであろう笑。
観る前から感じていた予告やポスターに映る爆破シーンの不自然さが前面に押し出されたある意味秀逸なカット笑。
ドラマ版とその劇場版ももなかなか気になるキャストで単作の作品にしてはスピンオフもあって珍しい作品。
黒沢清監督は他のも観てみたいなと思った。