「設定はおもしろいんだけど・・・」散歩する侵略者 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
設定はおもしろいんだけど・・・
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タイトルのつけ方がうまいですね。つい気になって見てしまいました。そして,その「侵略者」である松田龍平さんの宇宙人っぷりもおみごとでした。かなりハマっていたと思います。妻役の長澤まさみさんも,イライラを募らせながらも夫を想う健気さが感じられ,とてもかわいかったです。
本作の肝は,VFXによる派手な侵略ではなく,概念を奪うという地味な侵略という設定だと思います。特定の概念を奪われた人間にさまざまな変化が起きるのがおもしろかったです。ただ,変化の理由を観客自身が考えなければならず,少々腑に落ちないものもありました。
また,侵略者は乗っ取った人間の「知識と記憶を引き継いでいる」ということらしいですが,それを聞いてからはちょっと興ざめしてしまいました。そもそも概念というものは,知識と経験の積み重ねで形成されていくものではないでしょうか。それなら,概念を奪う必要もないのでは…。さらに,教会シーンではオチも予想できてしまい,これまたテンションが下がりました。
おもしろくなりそうな要素はあるのですが,映像そのものに魅力があるわけではないので,映画館で見なければならない理由はありません。DVDかテレビで見ればよいと思います。そんなことを考えつつ席を立つと,後ろの席に大口を開けて微動だにしないおじさんが,場内に一人取り残されていました。どうやら彼は概念ではなく意識を奪われたようでした。(笑)
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