「好きだ!なんて大声で叫ばなくったって、ラブストーリーは成立するわけで」散歩する侵略者 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
好きだ!なんて大声で叫ばなくったって、ラブストーリーは成立するわけで
とてつもなくB級の雰囲気を醸しながら、実は深いメッセージが込められている。そりゃあ黒沢清監督なんだから、その辺の担保はあるものと安心して観ているわけだが。
澄ました顔して野望を抱える侵略者、「概念」が取り除かれるとタガが外れたように心が解放される人々、声高に真実を訴えられても無反応な民衆、、、アホ臭いなあと思うんだけど、はたと我が身を振り返るとそら恐ろしくなっていく感覚に侵されている。いや、これ結構現実なんじゃないか、と。
それまで冷徹だった侵略者松田龍平が、長澤まさみから〇〇の概念を奪ったとき、不覚にも涙で潤んだ。しかもその概念は、松田龍平の知識となるだけでなく、感情となるのだ。なんとも皮肉なことか。お互いが同時にその感情を持ちさえすれば、幸せが存在するのに。
ただ個人的には監督の画はいつも不気味すぎて好きになれず、物陰の使い方なんて怖くてイヤ。ま、近所がロケ地だったんでいいか。
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