アウトレイジ 最終章のレビュー・感想・評価
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日本の映画業界よ、これが映画だ。
『アウトレイジ』シリーズの第3作になる。
筆者が北野武監督作品を初めて観たのは、大学生の時に映画館で観た『菊次郎の夏』である。
当時は黒澤明作品全30作を全て観てゴリゴリの黒澤教徒になったばかりだったので、ケッ、お笑い芸人の映画なんて観れるか!などと思っていたが、まあ、コメディ映画なら観てやるか、と大層威丈高な態度で映画を観たわけである。
へぇ〜、案外面白いなとは思ったものの、真面目なのは絶対観ないし評価しないぞ!などと妙に意固地になっていたものである。
その後、北京留学中に多チャンネルでしょっちゅう日本映画を放映していたので、暇つぶしにたまたま『あの夏、いちばん静かな海。』を観てみた。
正直ビックリした。
1つ1つのシーンや画角が緻密に計算され、それによって生み出される圧倒的な映像の美しさに胸打たれてしまった。
また当時の日本映画にはありきたりな展開のお涙頂戴的な作品しかない印象を持っていたが、下手な感傷を一切排除した演出にも唸ってしまった。
そして同じチャンネルで『HANA-BI』も観て、北野演出の妙技にほれ入ってしまった。
また日本では未公開だったハリウッド作品『BROTHER』も北京留学中にVideoCD(VCD)で観た。
そのVCDは日本円で100円ぐらいで手に入ったが、もちろん違法な闇商品である。というより当時北京で正規のVCDを買う方が難しかった。まあ、そんな状況だったと思ってもらいたい。(今も似たようなものかもしれないが)
北野作品の良さを北京で実感したのは、今振り返れば大いに恥ずかしい話である。
その後、帰国してからは北野作品は欠かさず映画館で観ているし、今では『3-4X10月』『みんな〜やってるか!』『キッズ・リターン』以外は全て観ている。
上記3作品もいずれは観るつもりである。
因みに黒澤明は初監督作品の『その男、凶暴につき』から北野を評価し「才能あると思ったね。才能のある人の最初の方の作品は色々とやってみたいことがあって、まとまりなく見えるんだけどね、力があってほとばしり出る物が有るからなんだよ」とも発言している。
北野は生前の黒澤から芸名の「ビートくん」と呼ばれ、映画衣裳デザイナーの長女・黒澤和子も親しみを込めて「ビートさん」と呼んでいる。
そんな北野も映画を創る前に必ず黒澤の墓にお参りするという。微笑ましい小話である。
さて作品についてだが、いい加減あきたのか北野扮する主役の大友が自殺することでこのシリーズに幕を下ろした。
そして何よりもこれだけ豪華な役者が芸達者な演技を披露すると、それだけで観ていて楽しい。
津田寛治や原田泰造はさっさと死ぬようなほぼチョイ役だし、ジャッキー・チェン作品の『レイルロード・タイガー』など漢族系映画で悪どい日本人などの重要な敵役を演じるようになった池内博之も、北野作品では結構あっさり死んでしまう。
大杉漣も情けない役だし、松重豊も今回は殆ど出番がない。名高達男も光石研も岸部一徳も同じだ。
北野作品ということもあるのだろうが、他の作品なら主役や重要な役柄を演じてもおかしくない俳優たちが悲惨な役やチョイ役をやってくれる。
さらに本作はあえて風俗嬢やキャバクラ嬢以外でほとんど女性を登場させない男臭い映画であるのも特色だ。
金と権力のために縄張り争いをする残酷でアホな男たちの哀れさを強調させる狙いがあるのかもしれない。
また昔の北野作品は乾いた演出が特色だったが、本作からはあまりその印象を受けない。
これは私見になるが、乾いた演出は北野自身も含めた演技力のあまりない役者を活かす側面があったのではないだろうか?
出演者全員が言葉少なく変に間を持たせずに演技させれば下手さは目立たない。
しかし本作のようにこれだけ真の役者が揃えばそんな乾いた演出をする必要がない。
人を殺すところだけは相変わらずいきなり殺しているのでそこは常にぶれていない。そもそもハリウッドでも日本でも見る、妙に敵に殺す間を持たせて主人公が逆転する演出などご都合主義もいいところである。
本作はラストで主人公が自殺するということで『ソナチネ』に似ていると言われるらしいが、筆者は本作から『ソナチネ』のような乾いた演出を全く感じなかったので似ているとは思わない。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で好々爺を演じていた西田敏行が、本作ではまるで正反対の凄みのある非道な悪党を演じているのを見て、上手い役者はやっぱり違うなぁ〜と感嘆せずにはいられない。
しかも毎回アドリブを挟むらしくピエール瀧などは関西弁で返さなければいけないことに困っていたようだ。
ただ病気明けの塩見三省がどうしても前作のドスの効いた演技には及ばず、痩せた体が弱々しく、演技も大人しいものであった。
それは致し方はないかもしれないが、少々残念であった。
このシリーズでは毎回エグい殺し方が思い出されるが、大杉漣を地中に埋めて知らずに走ってきた車に首から上をはねさせるシーンもピエール瀧の口に爆薬を挟んで殺すシーンも最後までは見せていない。
やはり第1作において椎名桔平が演じた水野の殺されるシーン以上の衝撃はないものの、毎回面白い殺し方をよく考えるものだと感心する。
北野は普段から面白い殺し方を思いつくとメモなどに書き留めているらしい。
効果音にも相当こだわっているようで、銃声は本物を録音する際にアタック音や残響音など音程ごとに分けて何種類も録音し、それらを何重にも重ねて作っているという。
効果音のこだわりに比べ、過剰に音楽で盛り上げる演出を嫌うのもいつもの北野作品らしい。
アベンジャーズの宣伝文句の「日本よ、これが映画だ。」ではないが、本作を観て筆者は「日本の映画業界よ、これが映画だ。」と言いたい。
演技のできる俳優を集めれば作品は絶対に面白くなる。
北野はインタビューに答えて『龍三と七人の子分たち』の続編を創る構想があり、「早くしないと出演者の身が持たないから」と述べている。
本当のところは不明だが、いずれにしろ次回作も楽しみに待ちたい。
一部分かってない人もいるみたいだけど、、
大友が殺戮に走った原因が花田が女を傷物にしその上若い衆を一人殺したからと勘違いしてる人が、大友を狂犬だと評しているが、それは明らかに間違い。
原因は明らかに張会長の襲撃事件だ。そもそもそれまでは大友は日本に入国もしていなかった。クライマックスでも張会長が俺のためならもういい、と言っていることからもそれは明らかだろう。しかし、木村の復讐も兼ねてカタギにまで手を出し、会長にひどく迷惑をかけたために最後には自殺をはかった訳である。そこに気づかず無意味に殺戮して無意味に自殺したと低評価している人がいたため、流石に書かせてもらった。
映像は本当に綺麗。前2作とは雰囲気も哀愁漂うものに変わり、完全なエンタメより芸術に少し寄ったが、キャストの老化も噛み合ってこれは逆に調和していたと思う。
派手な展開を期待すると求めたものと違うかもしれないが、ストーリーも面白かったので自分としては十分満足。
シリーズのみならず、監督の集大成とも言える傑作
公開当日、ユナイテッドシネマ札幌より
朝一で一回、その後夕方再鑑賞の2回鑑賞致しました。
1回目は客観的に、2回目はまた別な見方で鑑賞した際の個人的見解です。
客観視で観る人が多く、この作品の良さが伝わりにくいのが残念です…。
前作のラストでは続編を想定させない終わり方であり、完結と名乗りつつも最終章が完成してしまった訳ですが、
今作はシリーズの続編であり、監督自身の集大成を描いた作品に仕上がっているイメージでした。
作品で例えるなら『ソナチネ』
物語が繰り広げられるだけでなく、生死のジレンマを描いており、尚且つ3作目にして見る者の感性が試される作品になっている。
冒頭の海のシーンでは大友がとても幸せそうに子分と釣りをしている。
しかしそれも束の間、日本ヤクザとまた揉めだし徐々に導火線に火がついていく。
全体的な内容が展開していく中、大友にまつわる話は抗争だけではなく”報復と死”であり、やらなくてはならないことを全てやり遂げ、そのケジメとして死の場所を選び命を絶つ。
ヤクザ社会に生きることに嫌気を見せる大友。
これは今作からではなく、ビヨンドから見せている。
北野武監督作品の『ソナチネ』を連想させる、まさに原点復帰作とも言えるだろう。
抗争することを決意した時点で大友は死に向かうことになる。
物語が進むに連れて、大友の死が徐々に迫っていく。
自分の死に際がわかっている為、何にも屈せず敵をバタバタ殺しまくる。
客観視すれば、ドンパチやって想定するオチで本当に終わりという見解になり、生き残った花菱の西野(西田敏行)や中田(塩見三省)他は殺らないのか?と首を傾げてる人が劇場で多かった。
しかし、シリーズを通して思い出しながら鑑賞すると、こうも捉えられる。
大友は昔カタギのヤクザであり、仁義などを大事にして来た男である。
つまりは大友はフィクサーの張会長の為だけでなく、若い衆や前作で死んだ木村の仇の為に戦争を仕掛ける。
最期はやってきたことのケジメはいつでもつける覚悟を持っているわけである。
生き残った奴らは、大友が直接手を下す意味がないのだ。
バイオレンスのエンタメ性がシリーズの中で低いという意見もありますが、
今作の抗争相手はほぼトップの権力者であり、最終的な状況にならない限りは暴力は発動されない演出なのではないだろうか。
そしてシリーズを通してわかったのが、
子分に対して理不尽に怒号、殴ったり蹴ったりする人は、必ず最期酷い殺され方をされるというお決まりだ。
花田(ピエール瀧)も冒頭で子分を殴る蹴るしている。
今回劇場では女性客やカップルも多かった。
ビートたけしが言っていた、『ヤクザもサラリーマンも同じだ』
権力闘争も描かれており、ヤクザ社会で表現されているが現実的な現代社会にもある権力闘争。その現代社会をかなりうまく反映している為、人を選ばず楽しめるのも今作の魅力。
花菱新会長の野村(大杉漣)のように、ヤクザ会でのしあがることなく、トップにいる。
もちろん昔ながらいる者達からしたら素人がいきなりトップになりでかい口を出されて面白くない。
ここがかなり現代社会にもあり得る光景である。
シリーズでは欠かせない怒号について
みなさん、病気や歳のせいか昔ほどの怒号はない。
声量も薄れてしまったし、全2作のようなまるで銃撃戦のような怒号戦はなかったです。
ただ、言葉の選び方や間合いがしっかりされており非常にこちらも見応えあり。
塩見三省さんも、リハビリ中にも関わらず素晴らしい演技。
さすが役者です。
そして張会長役を演じた監督のの友人でもある金田時男さんも素人とは思えないほどの存在感。
ほとんど無口ではあるものの存在だけでもオーラが違う。
韓国語でほとんど会話するものの、日本ヤクザはそれを舐め、悪口に対し突然日本語でキレたりと…。
今回一番怖かった。
次は誰が死ぬのか?というドキドキ感。
こっから先どうなる?という展開も淡々かつ静けさの中にもしっかりとした緊張感が漂っており、そして実銃のサウンドを使用している為銃撃戦の大迫力と臨場感は興奮もの。
棒立ちで銃を撃つのも監督のこだわりで、これがかえって下手なアクション映画よりも渋くカッコいいのだ。
一度見るだけでなく、数回観ると様々な見方ができる為非常に面白い作品でした。
長くなりましたが、客観的にこの作品を観るのではなく、過去作で起こってきたことや、キャラクター像を頭に入れながらみると、様々な辻褄合わせができるのち、感性によっては様々な見解、想像が生まれる最終章。
もちろん賛否はあると思うが、全シリーズを通して全て統一した面白さがある。
ただのヤクザ映画ではないこと、そしてシリーズ作でもここまで質を落とさず制作できることを証明した北野武作品の中でも感無量最高傑作だ!
ごめんなさい
僕の生涯ベスト映画3本に入るのが「ソナチネ」です。
公開前Yahooのインタビュー記事で監督自ら「雰囲気が似てしまった 」とのコメントがあり、
ソナチネのテイストがまた味わえるのであれば、観に行かねばと思い劇場に…。
正直、シリーズ前二作は好きでは無かったので、観賞はビデオ化してからで良いやと思ってたのですが、ソナチネ公開当時に好き過ぎて連続二回(当時は入れ替え制では無かったので)劇場で通算三回も観てしまった経緯からです。
死(破滅)の美学に魅入られた主人公を狂言回しにした、夢とも現実ともつかない世界観を唐突な暴力描写でアクセントをつける、僕の好きな北野映画は悲しい事に何処にもありませんでした。
今回の最終章は、実際の主人公は西田敏行演じる西野で、ビートたけし演じる大友は、無軌道に暴走する端役でしか無く、そこにソナチネで感じた主人公の村川の儚くも魅力のある存在感は微塵も無かった。
本来の主役である筈の大友の行動原理が理解不能で、トラブルで下っぱ一人殺されただけで、恩義のある張会長に多大な迷惑をかける行為を何故、自ら進んでするのか?
劇中、昔気質の筋を通す極道みたいな台詞で片付けられているが、あれでは状況に否応なく巻き込まれていくソナチネと全く違って、目先の事態に本能的に動く、只の狂人でしかない。
説明台詞と演者の顔芸だけで、裏社会の狡猾な騙し合いとかを売りにしているみたいだが、
説明台詞の排除、過度な演技禁止、何よりメジャーな役者を一切使わない(ソナチネの頃は大杉漣も寺島進も何者かも分からなかった)のが北野映画の特徴であり、魅力だったのに。
ソナチネと共通なのは、主人公が拳銃自殺するのがラストシーンなだけで、防波堤で釣りしているシーンなんて、雰囲気だけ似せたセルフパロディにしか見えなかった。
やはりもう役者ビートたけしは封印した方が良い
演技も滑舌も限界だと思う。
過去作を復習してから鑑賞を!
最終章というだけに今までを統括するストーリーなので初めて観る方は是非過去作を観てから鑑賞した方が良い。
ビヨンドから5年経ってるだけに西野と中田ビジュアルが老いたなって印象。
塩見さんは体調崩したことあって致し方ない。
今作は痛いシーンがほとんどなくグロさは無い。
歯医者や野球みたいなことを少し期待したが。
かなり期待していたコノヤロー祭りは殆どない。
ラストはちょっと悲しかったな〜
騙し騙されのヤクザ抗争はこの3部作でとても楽しめました。
任侠映画は殆ど観なくて知識も薄いがアウトレイジをキッカケに少し覗くことができました。
え?なにこれ
アウトレイジ、アウトレイジビヨンドと観て期待してただけに、今回は失望感というか喪失感が半端ないです。
まずストーリーがぐだぐだ。
全然、面白くない。花菱会と張グループの抗争と宣伝ではあったけど、全然抗争してないし、花菱会のやってる事が陳腐すぎて、最後はたけしが自殺。え?なにこれというレベル。
そして残念だったのは塩見三省が体調を崩し、前作とは全く別人だったこと。
最後のスタッフロールでやっとわかるくらいの変わりよう、中田とは言ってたけど別の中田だとずっと思ってたしw
これだったらビヨンドで終わらせてた方が綺麗だった。非常に、残念です。
前回より衝撃は少なめ
銃を持ったものは幸せになれないようにしている、と武。なのでまあ結末はソナチネなどと同じく、よそうはできたもの。
えぐさなど減り、完結に向けてまとめただけの今作。ファンなだけになんだかもの寂しさを感じた。
ラストはあれでまあよかったのではないかと思う。ちゃんと、カタキとったので。
期待しすぎて、観てきた結果、ちょっとあれ。1.2のほうが好きですね。前作の方がエンターテインメント性も高し。映像は綺麗です。どこをきりとられても絵になるように作ってるらしいので。
タイトルなし(ネタバレ)
覇気が足りない
でも哀愁がある
病気だった役者もいたらしいし
覇気が必要な映画なだけに西田さんに元気が足りないのが残念
でもだからこそこっそり生きてるって設定は良かったかな
北野さんも年だよなぁ
北野さんの覇気も足りなかった
でもラストは好き
じじいや病人に覇気は出ないよ
でも哀愁なら…
哀愁ならできる
今作はがっかり
アウトレイジは大ファンですが今作はがっかりでした。ころしかたも期待してたんですが埋めただけ。。ピエール瀧、大杉漣はミスキャストな気が。。。あとマシンガンでぶっぱなすシーン、あれは無いわ。ラストも北野映画ならではと言うかお約束の感じと言うか。。。もっと最初のアウトレイジのようなハラハラと人間の悪い部分出して欲しかった。
老いを見つめてほしかった
ビヨンドでも違和感がすごかった西田敏行がキーパーソンとなる今作。
全く怖くないし関西弁も下手、と花菱で一人だけ浮いていたにもかかわらず、今作でメインとなったことで、怖くも小賢しくもないアウトレイジごっこが続く映画になってしまった。
なんなんだ、西田敏行。
塩見三省は病気を役に生かした設定にしてくれればよかったのにそれもなく。
この二人の老いを生かさないなら、いっそ引退させて若く演技のできる役者を花菱に置いたらよかったのに。
ビヨンドに西田敏行が出たことを恨めしく思う。
大友もすっかりおじいちゃんで、「昔かたぎ」がどこに向かっていたのかもピンと来ない。
張会長は花菱なんかいたくもかゆくもなさそうなのに、なぜそこまでやる?
出だしは花田への復讐なのに、西野の肩持つのも意味がわからない。
よかったのは岸部一徳。
怖いと思ったのは彼だけだった。
ラスト・ヤクザ
テメェ、バカヤロー!コノヤロー!ブチコロスゾ!…も聞き納め。
1作目は久々にバイオレンスの世界に復帰してのあの手この手のド派手な殺し方や悪人には見えないキャストたちのハマり過ぎの悪人演技が絶品で、2作目は騙し合い、腹の探り合い、派閥争いで話にさらに面白味が増し、本格やくざ映画として近年最高級であった。
で、待望の最終章。
結構賛否あるようだが、今回も面白かった! 前作が好きなら今回も満足だろう。
『アウトレイジ』シリーズは、どう見るかで好みが分かれると思う。凝ったユニークな殺しだけが好きなら1作目、やくざ抗争や大友のドラマなど話そのものが好きなら2作目や本作。
今作は大友の終着としてもしっかり描かれてるし、そこに北野流美学も感じられた。
まず、本シリーズの話題である豪華キャストやバイオレンス描写などについて。
顔触れは1作目2作目の頃とかなり変わった。何とか生き残った古参に加え、新参の面々。
北野組は3度目だが、“大友組”は初参戦の大森南朋はアニキをサポート。
久々の北野組となる大杉漣、岸部一徳は嬉しいし(寺島進にも出て欲しかった!)、初参戦のピエール瀧ら面子がもうサイコー!(≧▽≦)
確かにバイオレンス描写はシリーズが進むにつれ抑え気味に。ユニークな殺し方は「ここにいるよー!」と“花火”くらいか。
が、痛々しさや静寂を突然破るインパクトは健在。
それと同じくらい本シリーズの目玉である漫才の如き言葉の殴り合いも所々はドスを効いててもこちらも抑え気味。前作の某4人の応酬みたいなのが無かったのが何とも残念! 本シリーズを楽しみにしてる理由にそれもあるのに。
また、三浦友和、加瀬亮、中野英雄らの不在もストーリー上致し方無いとは言え、やはり残念。
特に、小賢しいクセ者・小日向文世の不在は大きな痛手。今回、彼に変わるようなキャラが居なかった。
核爆発級の凄味と怒号で魅せてくれた西田敏行と塩見三省だが、ちょっとパワーダウン感が。
数年前に大病を患った塩見氏。激ヤセした姿は痛々しいが、それでも続投してくれた役者魂に感服。
それにしても、声を出すのもやっとの塩見氏より、ビートたけしの方が滑舌が悪いって、どゆこと??
前作製作中に本作の構想もあったのも頷けるほど、作風も展開もほぼ同一トーン。
巨大組織同士の抗争、裏切り、裏と裏で誰が繋がってるか。
誰が生き残り、誰が殺られるか。
最後まで飽きさせず楽しめたが、やはり本シリーズは大友の生きざま。全作改めて通して見ると、そう感じる。
1作目では上にいいように利用され、2作目では再び抗争に巻き込まれ…。
大友はアブナイやくざだ。でも根は子分思いで、昔気質の人情味ある“アニキ”。
争いに巻き込まれるのも勘弁。いつも啖呵切ってるイメージだが、「もういいよ」と身を引こうとしたのも何度あった事か。
死んでいった子分を偲び、大量の血を流した十字架を背負ったまま、本当はこのまま静かに風化したい…。
…が、それでも、どうしても、やらねばならない事がある。
自分によくしてくれたフィクサーへの恩義。
因縁ある花菱会、山王会との決着。
やくざとして生きた自分の人生のけじめ。
緊迫感は充分だが、意外と淡々と静かでもある。『アウトレイジ』シリーズとしては物足りないかもしれないが、北野作品としてならば意外でも何でもない。
多くを語らず、詩的な映像で魅せる。
あの終わり方も良かったと思う。
『HANA-BI』以降バラエティーに富んだジャンルを手掛け、再びこの世界に返って来た。
争いの果ての大友の末路は多分誰でも予想は出来るだろう。
思い残す事無くけじめを付け、やっと安息の時を手に入れたのだ。
北野流滅びの美学に、自らの運命を受け入れた漢の生きざまを見た。
必然的に考え抜かれた傑作
最終章に合わせて前2作を鑑賞。3本目にして最終章としてふさわしい必然的な展開で感激する。北野武の漫才師から始まるキャリアから得られた作家性なのかと想像する。説明しつつ物語を展開しつつ、笑いあり、オチをつけるというものが気持ちよかった。
豪華な俳優陣で一見からして面白いのに加えて、物語、場面場面が面白いので非の打ち所がない。
こいつどう殺されるんだろって観てたら、首から下を山道に埋めたり、猿轡爆弾って言うアイデアが気持ち良かった。
バカヤローコノヤロー、そして銃撃。出したらすぐ撃つ銃撃がなんとも気持ち良い。
モラルのない奴が必ず痛い目に合う、これが徹底されているから気持ち良い。
たけしさんのメディアでの宣伝の手数が多すぎる。R指定の作品を。宇多丸さんの評論は良かった。気づかなかった視点を教えていただける。4人のリーダー論。
薄めな裏切りに終始。けど面白い。
「アウトレイジ 最終章」見て参りました。北野作品は少ししか見てませんが、このシリーズは大好きです。ストーリー、キャラクター、ガンアクションの全てが素晴らしい。ヤクザ映画というジャンルをここまで見やすく作れるなんて、と感激しております。
冒頭最高でしたね。なんか意味のわからない魚の話をするビートたけしと大森南朋。やったぜ北野映画。
今作は、やはり面白い。ただ、前2作品と比べると粗が目立つかなという印象です。ストーリーとして、かなり突飛な展開が多いですし、細かい展開含めしっかり落としてくれてない印象です。
シリーズの醍醐味は”裏切り”だと思うけど、なんかモヤモヤが残るものばかり。裏切った奴が成り上がるとか、成り上がってきた奴が実は裏切り者だったみたいな展開があまりないんです。裏切りに筋が通ってた前作でいうと、三浦友和と加瀬亮に制裁を加えてた。今作では、例えば名高達郎と光石研です。光石研が名高達郎を殺すことに説得力がない。その他にも裏切りっぽい殺戮が多々あったけど、どれもガッツポーズには至らずでした。
もう1つのアウトレイジの楽しみは、豪華キャスト。ここはしっかりしていました。ヤクザっぽくない脱サラヤクザの大杉漣は言うに及ばず、脇の岸辺一徳、池内博之、津田寛治、原田泰造もよかった。ピエール瀧は、演技が下手なのですごく違和感を感じました。あとは続投組の安心感。最終章で飛躍的に出番が増えた白竜、西田敏行、塩見三省。演技の質とヤクザとしての存在感は圧倒的です。本当に演技が素晴らしい。あとは、山口祥行と本宮泰風ですよ!これは嬉しいなー。
総じて、普通に楽しめました。1からビヨンドを経て、今作への多大な期待には応えてくれたとは言えないかもしれない…。ただし、完結編としてしっかり終わりを見届けることが大事なので、その点においては満足です。大友さんの覚悟と恩返しを見ました。
個人的には、劇場用パンフレットの出来が良かったので、ぜひ買うことをオススメします。
昭和22年生まれの活躍
北野武監督、岸部一徳さん、西田敏行さんが昭和22年生まれで今年70歳である。とんでもなく元気だと思う。前作は、「龍三と七人の子分たち」という老齢やくざをテーマにしたコメディだったけれども、本作はシリアスな群像劇。アウトレイジシリーズを全て見直したくなった。
今回は、関西のやくざ花菱会の会長である野村こと大杉蓮さんと西田敏行さんの見せ場がたっぷりだった。しかしそれだけではない。登場する人物はほぼ全てがやくざかチンピラだが、若手もベテランも面構えがいい。誰が死ぬか殺されるか作品中で生き残るかは、ここでは言わないけれど、緊迫感のある本作の中ですべての人物は死に向かって突き進んでいるのは確かだ。
いや、そうでないものたちももちろんいて、そういうやつらに対してたけしは、なにかを言いたかったのだろう。警察庁の刑事役の松重豊もストレスたっぷりにこちら側にいる。刑事役松重豊を主人公にした物語も見てみたい気もする。
塩見三省さんが、痩せて、まるで三池崇史かと見紛うかのような風貌で熱演。
三部作の最終章なのでできれば前二作を見直してから劇場で鑑賞したかったとあとで思う。
大友篇完結!
復讐を果たして全てにケジメをつけた大友。
大友という一人のヤクザを描いた3部作は見事に完結したと思います。
が、
個人的にはもっとバイオレンスアクションが欲しかったかな。一作目のようなハラハラドキドキが欲しかった。全員暴走なんだから。結局、大友だけが暴走して、それを回りの奴らが上手く利用してたってオチでしょ。張会長がもっとブチキレて、花菱とガチガチに戦争して欲しかったな。スカッとしたのは大友と市川がライフル連射したとこぐらいかな。
次回は花菱の2次団体の組員が主人公で、金の密輸がらみで九州あたりの組と抗争して欲しい。花菱のヒットマンや傘下の組員とか韓国マフィアも総出でドンパチやって欲しいな。若い俳優揃えてさ。もちろん生き残り組もチョイ役で出演して、新たなアウトレイジを撮って欲しいです。
大友と張会長の生い立ちも面白そうだけど、過去の話をやるとどんなに危ない状況でも大友も張も死ねないもんね。ハラハラドキドキしないもんね。
是非ともスピンオフ的な位置で、アウトレイジシリーズを今後も続けていただきたいと思います。
最終章らしい終わり方でした
本来ヤクザ映画には全く興味がないですが、北野監督のアウトレイジシリーズは他のステレオタイプのヤクザ映画とは違い、暴力シーンだけではなく笑えるシーンもあちらこちらに散りばめられていて、観客を飽きさせない演出が魅力的な作品です。
過去2作品に比べると、おとなしい印象がありましたが、大友と市川が花菱会のパーティ会場でマシンガンを撃ち続けるシーンは爽快でした。
花菱会の会長が元証券マンという設定は、前作を含め他のヤクザ映画でも前例がない設定だと思うので斬新だと思いました。
最後に大友が自殺する場面を観て、本当にアウトレイジはこの作品で終わりなんだなと、なんとなく寂しい気持ちになりました。
出来れば大友は生きたまま物語が終わって、アウトレイジリターンズ的な題材で復活を期待したかったですね。
最後が潔い(過去2作を観ておく必要有)
最後の瞬間が「とても潔い」。
自分の組の子分を殺られ、弟分を殺られ、世話になっている所の手下を殺られ…、「命(タマ)を殺った」人間達への「報復」を遂げた上で、散っていった者と世話になった者へのけじめから「自分に落とし前をつける」事を選択する…。
過去2作に比べて「物足りなさ」を感じる方が居るかもしれません。確かに、過去2作に比べると「凄みに欠ける」所はあると思います。
(エンドロールを観終わる事なく立った人達が多かった事も、特徴的だった様に思います。)
ただ、過去2作の背景を踏まえると、「報復し、自ら落とし前をつける」事を映し出した。まさに、「最後が潔い」という言葉に尽きると思います。
※この映画を見るには、過去の「シリーズ2作品」を事前に観ておく必要があります。過去2作を観ずにいきなり観ると、とてもつまらなく感じると思います。
流石の最終章
関東最大の暴力団組織・山王会と関西の雄・花菱会との抗争後、韓国に渡った大友は日本と韓国を牛耳るフィクサー、張会長のもとにいた。花菱会幹部の花田は取引のためやって来た韓国でトラブルを起こして張会長の手下を殺してしまい、張グループと花菱は緊張状態へと突入する。激怒した大友は日本に戻り、過去を清算する好期をうかがっていた。その頃、花菱会ではトップの座をめぐる幹部たちの暴走がはじまっていた。張会長に恩義を感じている大友はライバルたちを次々と倒し、最後は自分自身でけりをつけるためあえて自殺を選ぶのだった。潔い最後は最終章にふさわしいラストだった。
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