アウトレイジ 最終章のレビュー・感想・評価
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名優たち
脳梗塞という病気から復活した塩見三省を見たくてゲオで借りました。まああきれるばかりの暴力の連続でしたが塩見さんの演技は自然でヤクザの組の幹部を見事に演じていました。他にも西田敏行さん、大杉漣さん、ピエール滝さん、白龍さん、そしてビートたけしさんなど豪華な役者さんたちのそろい踏みで飽きること無く見ることができました。
最後、ビートたけしさん演じる大友が死ぬところで終わるのだけど任侠映画の伝統を受けて最後は主人公が死ななくちゃという意味と、アウトレイジシリーズの終わりというけじめみたいなものを感じました。
手下が殺されるってシリーズ前作、前々作でもあっただろうに今回に限って手下のために命をはって殺されに行くって何か変だと感じました。
脳出血から復帰した塩見三省の芝居に感銘
映画館では2017年11月13日地元のイオンシネマで鑑賞
それ以来何度か観た
最後に大友が死んだし監督はバンダイと揉めてるしこれが最後で間違い無いでしょう
刑事殺しで韓国済州島で商売していた大友
花菱会の幹部花田とのトラブルで戦争が始まる
花菱会は花菱会で会長と頭が分裂
大友は殺された子分の復讐のために帰国
全てのケジメを果たして自殺する大友
韓国語が多い
邦画だけど字幕多い
字幕苦手な人は向いていない
日韓合作映画っぽい
韓流は嫌いじゃないが
具体的に説明はできないが第一作第二作に比べるとちょっとだけ物足りない感じがする
男性俳優の豪華な顔ぶれのなかやっぱり塩見三省
初めてこの作品を観た時は事情を知らなかったのであまりの変わりようにびっくりしてしまった
大病を患ったんだなあ
役者に復帰できて良かった良かった
本当に良かった
だいぶ…
以前の作品よりバイオレンス色は薄まり、マシンガンぶっ放すシーンも、こちら側二人は無傷で、笑顔すら漂わせながら、ライトな作りになっている。出演者は強面揃いだが、ヤクザも警察も縦社会、サラリーマンとまでは言わないが、組織とは生きにくい中で、組織からはみ出したビートたけしだけが、自分なりの義理を通して、自決する。白竜渋いなぁ。
『エピゴーネンと呼ばれても仕方のない凡作』
自宅にて鑑賞。北野映画を支え続けたプロデューサー森昌行と袂を分かつ事になり、名実共にオフィス北野への置き土産となった“最終章”。テイストは違えど、スタッフや演者の顔触れも変わり映えしない明らかな『ソナチネ('93)』の焼き直しであり、死に場所を求め死に急ぐ極道が描かれている。序盤から徐々に尻すぼみになり、正に龍頭蛇尾な出来、ラストも無理矢理締めた様な印象で、如何にも納まりが悪い。そして『アウトレイジ』三部作の本筋は子による親や伯父、兄貴等を含む肉親殺しが形を変え繰り返されている事に気附いた。50/100点。
・この三部作を好みの順に並べると、『アウトレイジ ビヨンド('12)』→『アウトレイジ('10)』→『アウトレイジ 最終章('17・本作)』となる(北野映画では『ソナチネ('93)』が一番好き)。
・クランクイン前の'16年2月、花菱会若頭“西野一雄”を演じる西田敏行は自宅ベッドから転落し、頸椎亜脱臼を発症し首が動かせなくなった上、歩行困難であったが、更に同年5月には胆嚢摘出手術を受けると云う追い打ちをかける事態が発生していた。亦、花菱会若頭補佐“中田勝久”役の(本作内では脂抜きした燻し銀な印象だが、少々呂律が悪かった)塩見三省も'14年3月に脳出血で倒れ、リハビリ中の身であり、自力で立つ事も困難な状態であった。この二人に対し、脚本を兼ねた監督は歩かせる事無く、座った儘で演技が行えるようにシナリオを変更する気遣いを見せた。逆に云えば、この二人が出演しないと、本作は成立しえなかったのであろう。
・本作からシリーズに参加した花菱会会長“野村和夫”の北野組常連大杉漣であるが、本作完成後の'18年2月21日、急病により66歳で急逝した。
・前作『アウトレイジ ビヨンド('12)』よりウンッと出番が増え、凄みや存在感が格段に増した金田時男演ずる“張大成”会長の事務所の壁に掛けられている文言は「인으로 의를 이룬다 / 의로서 인을 다한다(“仁で義を為す / 義で仁を尽くす”)」と読める。
元証券マンの野村が好演だった
アウトレイジシリーズ3作目にして、最終シリーズ。
北野ファンというわけではないのですが、これで最後となると、ちょっと名残惜しい感じです。3作続けて観たので、登場人物のつながりがだいたいわかりましたが、月日が経ってから観ると、「あれ?あの人はどの組だったかな?」と混乱するかもしれません。
前回ビヨンドでは、山王会VS花菱会の抗争後、大友はマル暴の片岡を殺害して、張(チャン)会長の庇護の下、韓国に渡り日本から離れていたが、韓国滞在中の花菱会の幹部・花田が張会長の手下を殺してしまい、怒りを燃やした大友が日本に戻ってくるのです。
3作目は、何故か、全体的に寂しさが漂っているように感じてなりませんでした。病み上がりの俳優さんが出ていたり、すでに亡くなった人が出演していたり、大友のあの最期があったりしたからか・・・?? でも、始まってまもなく、花田とのからみで、
「ナメてんじゃねえよ、バカヤロー」
が出てきてホッとしました。
「迷惑もハローワークもあるかい」
一呼吸ずれて意味を理解しましたが名言かもしれません。
花菱会長、野村の
「この車、防弾じゃねえのか」
も自分は面白かったです。
野村が誰からも指示されてなくて、空気読めない感じもおかしかったです。
「中田、てめえ、破門だ!」
それにしても、2作目ビヨンドで、大友は片岡を撃つつもりだったのか?
丸腰で葬式に出かけて、片岡に銃を渡され、それで撃ったわけですから、衝動的に怒りにまかせて殺してしまったようにも思えます。
そして、今作の最後で、張会長の側近、李(白竜)に銃を向けられますが、銃を突きつけられたから自分の命を絶つと決めたのか、それとも、最初からその予定だったのか・・・? 市川に「まだやることがあるから」と言い残して、木村を殺した鉄屑工場の工場長と工場作業員を撃ちに行き、それが最後の仕事だったようにも思えるので、自決は最初からもう心の中にあったのかもしれません。
張<チャン>グループ
会長・・・張<チャン>(金田時男)
側近・・・李<リ>(白竜)
側近・・・崔<チェ>(津田寛治)
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大友(ビートたけし)
市川(大森南朋)
山王会
会長・・・白山(名高達男)
若頭・・・五味(光石研)
木村組組長・・・吉岡(池内博之)
花菱会
会長・・・野村(大杉漣)
若頭・・・西野(西田敏行)
若頭補佐・・・中田(塩見三省)
会長付若頭補佐・・・森島(岸部一徳)
直参幹部・・・花田(ピエール瀧)
花田の手下・・・円山(原田泰造)
警察
刑事・・・平山(中村育二)
刑事・・・繁田(松重豊)
パスポートの調達など、大友の細かいサポートをするゴンは川谷拓三の長男、仁科貴が演じていました。
老いを感じる
たけしさんとピエール瀧が出会うシーン。
カットの切り返し、演技と声のトーンに違和感。
両者が一緒に映ってるシーンがないし、
別撮りしたのかな。
ピエール瀧さんと塩見さんの焼肉屋のシーン。
塩見さんのカットだけ、キーンと高い音が聞こえる。
すごく気になる。
その後も、キーン音が結構ある。
編集や音声さんが変わったのだろうか?
たけしさんが怒鳴るのも、違和感。
なんか老いで怒りっぽくなった人に見える。
ストーリーも、なんかあんまり入り込めなくて
ヤクザもヤクザっぽくなくて
セリフもらしくなくて、
なんだかちょっと肩すかしのように感じた。
本当に最後
残念だが1、2程は面白くなかった。
流石に三作目はネタ切れと言うより、タケシの作る情熱が薄れたんじゃないかなあ。
ブラックユーモアも少なかったし、ヤクザ故の残忍さも薄まってた。
ただ、バカヤローだけは一番多かった笑笑
ヤクザ役者の一級品が前作、前前作で死んじゃった設定だからか、役者の濃さも薄れた。
まあ、やり尽くしたタケシの思いがラストシーンにつながったのではないでしょうかね。
迷惑もハローワークもあるかいボケ!
「アウトレイジ」シリーズ第3作。
レンタルDVDで鑑賞。
前作で大きく変わったやくざの勢力図。花菱会が天下を取りましたが、大組織になった組織の常なのか、内紛の火種が燻ぶり始めていました。そんな折、SM趣味のピエール瀧が韓国でやらかし、現地のフィクサーと揉めたことから新たな抗争事件の火蓋が切って落とされたのでした…
渦巻く権謀術数。金と権力にまみれた人間模様。子が親を食い殺す下剋上。容赦無い銃撃と暴力。―その中にあって、大友は張会長への仁義を貫こうと戦いました。
組織の思惑に利用され、翻弄され続けた大友…。
その姿は「仁義なき戦い」シリーズの広能昌三と重なりました。全てにケリをつけるため、大組織を敵に回した壮絶な抗争が秀逸の極み。一矢報いた後の"始末"のつけ方も良かった…
[余談1]
シリーズの醍醐味である残虐な拷問シーンが無いのは物足りませんでしたが、大杉漣の最期は溜飲の下がる想いでした。
[余談2]
西田敏行と塩見三省は本作の撮影当時体調が思わしくなかったにも関わらず、迫真の演技を見せてくれました。引き込まれました。まさに役者の鑑。人間的な迫力が凄まじかった…
※修正(2022/03/02)
これで本当に終わりだな?
三部作の完結編らしいので、最後くらいは映画館で観てみるか・・・という思いで劇場鑑賞。まずは韓国語も多かったせいか、「コノヤロー!バカヤロー!」という台詞がかなり減っていたことが印象的(「なんだバカヤロー」と聞くと荒井注を思い出します)。また、若い衆ばかりが殺されて、幹部クラスのヤクザがそれほど殺されなかったといったところか。やはり映画館で観ると迫力あるのですが、西田敏行演ずる花菱会若頭西野がちょっと高齢のため、ヤクザらしい威圧感がなかったのが残念。こわくないよ。
ひとつ気になっていたのが若頭補佐の中田の存在。誰なんだろう?とずっと考えてしまって、終わってから塩見三省であることが判明。激ヤセした彼は何かの病気なんじゃないかと調べてみると、脳出血で倒れてリハビリ中とのこと。それで覇気がなかったのですね。
全体的にマイルドに。
義理と人情を貫いた悲しき男、って感じですかね。
殺す際の描写は全体的にマイルドになった。コンプライアンスも考えて?しかし殺し方は相変わらずいかれてていい。さすが。
話の筋は最終章というくらいだから大体予想通りだった。塩見さんの療養中ながらの演技には感服しました。役者魂。蓮さんも、見れて嬉しい。
大森南朋も西田敏行も光石研もどうせ全員死ぬんだろうと思ってたけどそんなに死ななかったなぁ。個人的にはビヨンドが好き。
なんか思うてたんと違う
むかしからたけし監督の映画はみてきたが、なんかなあ。
なぜかどの映画にもやくざが出てくる。そんでいっそ一流役者そろえてがっちりやくざ世界を描くか。という意図があったのか知らないが、この三作目にしてどうにも…
盛り上がらない、まずもって。やたら銃撃シーンやらで人が死ぬのにすごく地味西田敏行と塩見三省がいかにも病み上がりでみてられない
予告では、派手な殺しの場面ばかりつないでたので勘違いしてしまったが、実際は韓国系フィクサー対花菱会というよりも、大友が勝手に暴走してるというかんじ。
最後もなあ。前々から思うんだけど、なんでたけしって作中で自分を死なせたがるんかなあ。見終わったあとちょっとうつになりそうだったよ。
警察もたいして絡んでこないし、山王会は花菱に頭があがらないまま終わる。まるで爽快感も高揚感もなく、もやもやと終わった。
ビヨンドの時から、ん〜?とは思ったが無理に三部作にせんでもなあ。
それはそうと
大杉漣さんには慎んでご冥福をお祈りします。なんだっけ、日テレでやってた杏が銀行マンやってた、そのとぼけた親父役が好きでしたね
シアタス調布にて観賞
物凄く期待をしていた。
大友(北野武)を追い込む強大な花菱会、警察の包囲網、繁田刑事(松重豊)の暴走、蛇蝎の如き西野(西田敏行)と中田(塩見三省)への凄まじい制裁……
……そんなものは何処にも無かった。
あるのは駆け引き皆無の一方的な謀略戦、嘘臭い大型火器によるカタルシス皆無の大虐殺、嘘臭いくらい反社勢力に弱い警察、愚痴を言うだけの松重豊、のうのうと権力を手中にする西田敏行&塩見三省……観たいものは何処にも無かった。
龍三と七人の子分』と本作を通して見ると、「北野武老いたり」と強く感じる。
シリーズ他作品と比しても覇気が乏しく、細部が行き渡らず、抑制も効かず北野武自身の好みの垂れ流しになっている。
本シリーズは通常の北野武作品とは色合い(役者含む)が違うことが魅力であったのだが、本作は色々と限りなく過去作品の繰り返しになってしまった。
特に北野武の極道への憧憬も抑制が効かず溢れ出してしまっている。本シリーズに、ご立派な極道(韓国系フィクサー一味)が遂に登場してしまったのだ。
極道が格好良くキマらないのがシリーズの魅力だったのだが。
漂う厭世感も自決願望も過去作の薄いやり直しに過ぎない。
脚本も雑だ。
大杉漣の無謀さと元銀行マンと思えない頭の悪さはリアリティの欠片も無い。こんな小物を裁いて何のカタルシスがあろうか。土に埋めるなら西田敏行でしょうが!
大森南朋の弟分も過去作の寺島進を薄めたキャラクターで、全く考えも葛藤も無く薄っぺら過ぎる。
また、大友最後の標的となった男(四方堂亘)の扱いが軽すぎる。
大友の帰国を知り、報復を受けること必至にも拘わらず、逃げずに日常を続けたあの男の葛藤こそ大友の自決願望より深遠だったはずだ。
また、シリーズお約束の恫喝罵倒合戦はまるで不発。強者から弱者への一方的な叱責が多い上に、パンチのある台詞を吐く新たな役者も居ない。
つくづく、武、西田敏行、塩見三省が『ビヨンド』のように吠えられないのが残念。
後者2人は病だから仕方ない。違う意味でハラハラするし、俳優の底力は感じたが。
ソナチネを思い出しますね
冒頭は済州島の海辺のシーンから始まり
あの無音のラストシーン
ソナチネを思い出しますね
ここら辺は意識して作っていると思います
ソナチネでは極道を子供の延長線上にあるもの、無邪気さの象徴であるように描きました
組同士の抗争だとか柵を捨て、無邪気に、まるで子供染みた狂気で大友個人のケジメをつける姿は
ステレオタイプの極道 大友の、ヤクザとして死ねる場所を探しているように思えます
最終章にぴったりの国を超えたド派手な抗争
随所にある笑えるシーン
エンターテイメントとして楽しめました
欲を言えば初期の作品のように
もうちょい説明的でない深みみたいなのが欲しかった!うまく言えないけど笑
前作と比べてしまうと
ずっと観たかった【アウトレイジ】シリーズ。今回の最終章はスクリーンで観たくて、前作、前々作を急いで鑑賞。
前作、前々作で印象的だった殺しのシーン(首に紐巻きつけてブチっat湾岸線、バッティングセンターパカパカ)は無く、強いていえば花田の花火ぐらい。
今まではひとりずつ殺してた大友も、今回はパーティー会場で銃乱射という、大味な香港映画のように。
そのせいか、バイオレンスさは少なくなったと思う。
それでもバカ野郎の言い合いは楽しめたし、一人の男のストーリーとしてまとまったので、観れてよかった。
ブラックレインと比較して
ブラックレイン依頼約30年振りにお金を払って観てみたいと思って映画館に足を運びました。アウトレイジ、アウトレイジビヨンドが面白かったのでアウトレイジ最終章に大きな期待をしていました。私としてはビヨンドの最後が木村の通夜で大友が片岡を射殺して終わっていたのでその場面から観てみたいと思っていましたが、いきなり大友が韓国のキャバレーの用心棒になっているところから始まっていたのは残念でした。また、花菱会中田の極道迫力演技が物足りなかったのも気になりました。又、花菱会会長の商社マン上がりの極道会長としは貫禄を感じませんでした。そして皆暴走をするのであれば、山王会五味、花菱会西村、中田も殺して欲しかったと思います。ラストシーンも大友の自殺という形で終わりましたが、えーこれで本当に完と物足りなさを感じました。ブラックレインでは高倉健、松田優作、マイクロダグラス、若山富三郎、内田裕也etcの俳優やラストシーンの空港で高倉健とマイクロダグラスの別れの場面でワイシャツの中に偽造のドル版が入っていた時の感動と比べると正直劣ると思いました。
最高
任侠系映画を観たことがなく、アウトレイジのシリーズも観たことがなかったが、好奇心と豪華キャストに惹かれて鑑賞。とても面白かった。大友がマシンガンをぶっ放すシーンは、バラエティ番組で暴れるビートたけしと重なった。北野監督の感性や思考が、よく表れている作品だと思う。本当に面白かった(観た後はちょっと怖かったですけど)。
出がらし
…色々整理しました的な印象。
冒頭のアップの応酬に感じた単調感、やっつけ感が最後まで拭われる事はなかった。
ご本人はやりたくなかったんじゃなかろうか?なんつうか…旬を過ぎてるというか。
説明台詞のオンパレードだし、なんちゃって関西弁は横行してるし。
なんつうか、無理矢理終わらせた感しか感じなかった。
唯一、松重さんにだけ監督しての愛情を感じたかなあ。笹本さんとか出て欲しかったな。
総じて、残念…。
だけど、哀愁みたいなのも感じたかなあ。
作中の大友同様、監督も疲れたのかな。
そおいうものが狙いであるなら、かえって意欲的な作品とも思えなくはない。
さよなら
ついに最後でしたね、3作品の中だとビヨンドが一番話が入り込んでて面白く感じました。
最終章で山王会が全然出てしませんでしたね。
もっともっとややこしくいざこざするかと思って居たら以外と全然しなくて、ラストはズゴイ人数が死んだ上で大友さんも自殺。
中国のマフィアみたいな人たちがかなり生き残って終わる感じでした。
また続き見たいなーってなるけど、大友さん死んじゃったから本当にラストなのでしょう。
日本の映画業界よ、これが映画だ。
『アウトレイジ』シリーズの第3作になる。
筆者が北野武監督作品を初めて観たのは、大学生の時に映画館で観た『菊次郎の夏』である。
当時は黒澤明作品全30作を全て観てゴリゴリの黒澤教徒になったばかりだったので、ケッ、お笑い芸人の映画なんて観れるか!などと思っていたが、まあ、コメディ映画なら観てやるか、と大層威丈高な態度で映画を観たわけである。
へぇ〜、案外面白いなとは思ったものの、真面目なのは絶対観ないし評価しないぞ!などと妙に意固地になっていたものである。
その後、北京留学中に多チャンネルでしょっちゅう日本映画を放映していたので、暇つぶしにたまたま『あの夏、いちばん静かな海。』を観てみた。
正直ビックリした。
1つ1つのシーンや画角が緻密に計算され、それによって生み出される圧倒的な映像の美しさに胸打たれてしまった。
また当時の日本映画にはありきたりな展開のお涙頂戴的な作品しかない印象を持っていたが、下手な感傷を一切排除した演出にも唸ってしまった。
そして同じチャンネルで『HANA-BI』も観て、北野演出の妙技にほれ入ってしまった。
また日本では未公開だったハリウッド作品『BROTHER』も北京留学中にVideoCD(VCD)で観た。
そのVCDは日本円で100円ぐらいで手に入ったが、もちろん違法な闇商品である。というより当時北京で正規のVCDを買う方が難しかった。まあ、そんな状況だったと思ってもらいたい。(今も似たようなものかもしれないが)
北野作品の良さを北京で実感したのは、今振り返れば大いに恥ずかしい話である。
その後、帰国してからは北野作品は欠かさず映画館で観ているし、今では『3-4X10月』『みんな〜やってるか!』『キッズ・リターン』以外は全て観ている。
上記3作品もいずれは観るつもりである。
因みに黒澤明は初監督作品の『その男、凶暴につき』から北野を評価し「才能あると思ったね。才能のある人の最初の方の作品は色々とやってみたいことがあって、まとまりなく見えるんだけどね、力があってほとばしり出る物が有るからなんだよ」とも発言している。
北野は生前の黒澤から芸名の「ビートくん」と呼ばれ、映画衣裳デザイナーの長女・黒澤和子も親しみを込めて「ビートさん」と呼んでいる。
そんな北野も映画を創る前に必ず黒澤の墓にお参りするという。微笑ましい小話である。
さて作品についてだが、いい加減あきたのか北野扮する主役の大友が自殺することでこのシリーズに幕を下ろした。
そして何よりもこれだけ豪華な役者が芸達者な演技を披露すると、それだけで観ていて楽しい。
津田寛治や原田泰造はさっさと死ぬようなほぼチョイ役だし、ジャッキー・チェン作品の『レイルロード・タイガー』など漢族系映画で悪どい日本人などの重要な敵役を演じるようになった池内博之も、北野作品では結構あっさり死んでしまう。
大杉漣も情けない役だし、松重豊も今回は殆ど出番がない。名高達男も光石研も岸部一徳も同じだ。
北野作品ということもあるのだろうが、他の作品なら主役や重要な役柄を演じてもおかしくない俳優たちが悲惨な役やチョイ役をやってくれる。
さらに本作はあえて風俗嬢やキャバクラ嬢以外でほとんど女性を登場させない男臭い映画であるのも特色だ。
金と権力のために縄張り争いをする残酷でアホな男たちの哀れさを強調させる狙いがあるのかもしれない。
また昔の北野作品は乾いた演出が特色だったが、本作からはあまりその印象を受けない。
これは私見になるが、乾いた演出は北野自身も含めた演技力のあまりない役者を活かす側面があったのではないだろうか?
出演者全員が言葉少なく変に間を持たせずに演技させれば下手さは目立たない。
しかし本作のようにこれだけ真の役者が揃えばそんな乾いた演出をする必要がない。
人を殺すところだけは相変わらずいきなり殺しているのでそこは常にぶれていない。そもそもハリウッドでも日本でも見る、妙に敵に殺す間を持たせて主人公が逆転する演出などご都合主義もいいところである。
本作はラストで主人公が自殺するということで『ソナチネ』に似ていると言われるらしいが、筆者は本作から『ソナチネ』のような乾いた演出を全く感じなかったので似ているとは思わない。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で好々爺を演じていた西田敏行が、本作ではまるで正反対の凄みのある非道な悪党を演じているのを見て、上手い役者はやっぱり違うなぁ〜と感嘆せずにはいられない。
しかも毎回アドリブを挟むらしくピエール瀧などは関西弁で返さなければいけないことに困っていたようだ。
ただ病気明けの塩見三省がどうしても前作のドスの効いた演技には及ばず、痩せた体が弱々しく、演技も大人しいものであった。
それは致し方はないかもしれないが、少々残念であった。
このシリーズでは毎回エグい殺し方が思い出されるが、大杉漣を地中に埋めて知らずに走ってきた車に首から上をはねさせるシーンもピエール瀧の口に爆薬を挟んで殺すシーンも最後までは見せていない。
やはり第1作において椎名桔平が演じた水野の殺されるシーン以上の衝撃はないものの、毎回面白い殺し方をよく考えるものだと感心する。
北野は普段から面白い殺し方を思いつくとメモなどに書き留めているらしい。
効果音にも相当こだわっているようで、銃声は本物を録音する際にアタック音や残響音など音程ごとに分けて何種類も録音し、それらを何重にも重ねて作っているという。
効果音のこだわりに比べ、過剰に音楽で盛り上げる演出を嫌うのもいつもの北野作品らしい。
アベンジャーズの宣伝文句の「日本よ、これが映画だ。」ではないが、本作を観て筆者は「日本の映画業界よ、これが映画だ。」と言いたい。
演技のできる俳優を集めれば作品は絶対に面白くなる。
北野はインタビューに答えて『龍三と七人の子分たち』の続編を創る構想があり、「早くしないと出演者の身が持たないから」と述べている。
本当のところは不明だが、いずれにしろ次回作も楽しみに待ちたい。
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