「途中までの禍々しさが最後まで持続していれば・・・」ユリゴコロ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
途中までの禍々しさが最後まで持続していれば・・・
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山里でカフェを営む20代後半の亮介(松坂桃李)。
父親がすい臓がんに罹り、仕事の合間を縫って、父親を見舞いに出かけていた。
ある日、押し入れの段ボール箱の中に一冊のノートを見つけて読んでいくと、美紗子という女性の告白のようであった。
その内容は衝撃的で、彼女が犯した数々の殺人についてであった・・・
というところから始まる物語で、カフェで共に働く亮介の婚約者・千絵(清野菜名)が突然失踪してしまう、と展開する。
千絵の行方も気がかりだが、ノートの内容も気になる・・・
映画は、ノートに書かれた内容が映像として登場し、美紗子を吉高由里子が演じ、後に彼女と知り合い、遂には結婚してしまう青年を松山ケンイチが演じている。
監督・脚本・編集を『おと・な・り』の熊澤尚人が務めており、中盤まではなかなかスリリングで、見応えがある。
特に、秀逸なのは、美紗子を演じた吉高由里子で、これまでどちらかといえばコメディ寄りの女優だと思っていたが、「目が笑ってなくて、ちょっとコワイな」とも思っていた。
なので、生まれついての殺人者という役どころは、ピタリ、はまり役。
心の平安を満たす拠り所(=ユリゴコロ)が、ひとが死ぬのを観るときだけだというのが、怖い怖い。
亮介と美紗子の関係は・・・
まぁ、おおよそ想像がつくところなので、それほど驚嘆しないけれども、そこから先の展開がいまひとつ。
美紗子と松山ケンイチ演じる青年との純愛への落としどころはまだしも、千絵が見つかったあとの展開が腑に落ちないことだらけで、ミステリーとしては少々な感じ。
途中までの禍々しさが最後まで持続していれば、佳作になったんだけれど。
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