「しんどい映画。それだけに、切なさも際立つ。」ユリゴコロ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
しんどい映画。それだけに、切なさも際立つ。
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グロイのが苦手は自分は、ときたま顔の前に手をかざし、音声を頼りに映画の流れを確認しつつ、指の隙間からわずかに見えるイヤな映像を我慢していたものでした。
まあ、それは折り込み済みで鑑賞したので構わないけど。
ただのサイコ映画とみるか、先天的に精神に異常を抱えた悩める女性の悲しい物語とみるか、それは観る側の感性次第でもあり、監督の腕の見せ所でもある。
映像にこだわりを感じるあたりは好感を持つのだが、どうしても手助けしなくちゃ可哀そうだ、まではいかなかった。その一番の理由は、美沙子役の「吉高=木村多江」に無理があるからだろう。整形はいいが、体型がまず違うし、今の美沙子があまりにも常識人にしか見えないからだ。だから、吉高の苦悩は伝わってきても、木村の献身がどうも物足りない。この時期、斉藤由貴でもこの役をやっていればもう少し映画の世界も出来上がったろうが。
役者陣の演技はそうじて良かった。洋介役の松ケンの憂いがいい。末期がんの洋介を演じた初老の役者、なんというのだろう、その死に接した心境の穏やかさもよかった。佐津川愛美も、またひとつ違う役の幅を見せてくれた。
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