「不思議な魅力がある」君のまなざし ぽんぽこさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な魅力がある
不思議なパワーのある映画でした。最初は青春映画か冒険映画かホラーかと思ったのですが、それも一部あるけど、スピリチュアルな映画でした。ストーリーは、途中と特に最後にどんでん返しがありました。そのため、ラストがわかりづらい。
現代の過去と今と、平安時代が交錯するので、理解が浅いと、単なる「夢オチ」(夢を見ていたという結論)の映画と思うかもしれない。でも、私は、この映画は絶対に「夢オチ」じゃないと思う。「未来が変わった」とか「タイムスリップ?パラレルワールド?」などと観た人の方が、本質をつかんでいると思う。過去と未来と現在が交錯し、最後だけが現実なのか、最後のシーンも夢だと言われたら夢かもしれない。
最初のシーンで「君のまなざしは全部知っていた」というような表現があったように記憶するけど、最初から最後が決まっていたというようにもとれる。でも、この映画は、過去も変えられる、または、過去・現在・未来は、みな一緒、と言っている、そう思う。
この映画の、テーマは、生と死、この世とあの世、善悪や愛憎いろいろ盛り込まれています。それと、悪役が最初からいてそれを倒すというパターンでなく、正しい人が闇に落ちていく、またそれを救うと、わりに複雑です。単なる娯楽作品でなく、メッセージがある作品です。
演技は、黒田アーサー・日向丈・手塚理美・長谷川奈央・黒沢年雄らベテランのわき役たちと若手の主人公たちの演技の技量の差が大きい。でも、主人公の健太は、後になるほど相当にうまくなっている。あかり役の水月ゆうこは、演技がかたいけど、好意的に言えばそれが巫女の役柄にあっているかも。あさひ(と道円の二役)の演技力は、不思議なアンバランスがあった。演技や演出の一部に改善点があるが、不思議な魅力がある作品でした。
細かいところだけど、道円が悪魔となって最後に戦う場面は一部分でもCGを使って道円の体を大きくして顔も変えた方がよいと思う。健太が平安時代に羊禅(黒沢年雄)の命で゛で旅に行くワンショットは、騎馬で数名の家来を連れているべき、都に関白に会うために行くのですから。アヤの血らだけの手が、道円の顔に血をつける場面では、道円の金ぴかの服にも血をつける方が自然です。ハリーポッターのように悪魔との戦いがあるが、この映画のエクソシスト(悪魔降?退治?)の方が、本物のように見えました。とにかく、不思議な魅力というか何かパワーのある映画です。