「小川紳介、佐藤真、小森はるか」息の跡 花火さんの映画レビュー(感想・評価)
小川紳介、佐藤真、小森はるか
被写体の佐藤さんが持つおおらかさ、小森監督の武装解除を誘う雰囲気から、張り詰めた悲壮さではなく、親密さも漂う風通しのよさが映画に横溢する。ところが最終盤、立ち退きを求められて"たね屋"を取り壊す際の佐藤さんはそれまでとあまりに違う。自ら掘り当て、生業のたねに撒くための水を汲み上げた井戸を壊し、「終わりだ」と呟く佐藤さんの厳とした存在。希望の種を撒く佐藤さんと、たね屋を取り壊す佐藤さん。まるで神話ではないか。
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