劇場公開日 2017年3月31日

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「記憶に留める方法」ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

記憶に留める方法

2017年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

夫の葬儀を成功させ、永遠に記憶してもらおうと頑張る話

丁度、封切で時間もあったので鑑賞することに。

ナタリー・ポートマンは好きな女優、前回見たのが「ジェーン」だった。銃を片手にたくましい女性役はなかなか新鮮だったと記憶している。
今作は大統領夫人の役なのでまた別の彼女の演技が見れて良かった。

結構顔のアップが多かったが、表情豊かに演技していた。
血だらけの顔を泣きながら拭いたり、思い出し泣きをしたかと思うとケロッとしていたり、
役に入っているのがすごく伝わって来た。
頬もこけた顔もなんとも哀愁漂う、こんな彼女の顔を見たのは初めてかも知れない。
ナタリーファンなら必見です。

物語は新聞記者との対話を通して回想する流れなのだが、何といってもケネディ暗殺の瞬間の再現が凄い。

資料映像で実際放送された映像は見たことが有るが、映画ならでわのジャクリーンに近い視点でその瞬間が
見れるのでなんとも痛ましく衝撃的だ。なかなかグロイので注意が必要かも。

幼少の頃見た、トラウマ映画「ダラスの長い日」での解剖台の上の死体シーンを思い出してしまった。
あれ?「ダラスの長い日」で脳みそ出てる死体を検視医が調べるシーンありますよね?
もしかしたら違う映画かも・・・「ダラスの熱い日」だったかな?

話はそれてしまったが、本作は妻ジャクリーンがどのように夫を民衆に記憶させたかが描かれている。
ケネディが皆の心に残っているのは、彼の功績や暗殺があったからだと思っていたのだが。
ジャクリーンが盛大な葬儀をあげて記憶に留まらせたからだった、らしい。

正直、ケネディが記憶された事にジャクリーンが貢献したとは日本人の私にピンと来ないが、歴代の大統領で暗殺されたのがリンカーンだけではないことに驚いたし、米国民ですら知らなかったようだ。
死者を記憶してもらうためには盛大な葬儀をする必要があると考えるのは納得いった。
あれだけ盛大な葬式をすれば誰もが悲しむし記憶に残るだろう。

葬式の意味に疑問を持ち始めていた(主に料金)がなんだか仕方ないかもと少しだけ思った。

個人的にケネディの弟ロバートにピーター・サースガードが使われててちょっとうれしい。
ピーターは「k-19」と「ジャーヘッド」での役柄が印象的で結構好きな俳優だ。
全然信用できない顔をしているし、狂気じみていたり、ヘタレだったりなかなかいい俳優だと思う。

弟ロバートは事件後ジャクリーンを支えてくれるいい男なのだが、
ピーターが役をしていることで何とも頼れるような信用できない様な絶妙なキャラクターになっている。個人的にはもうその姿が見せてもらえただけで「ありがとう」の一言だ。彼の今後の映画にも注目したい。

本作ははっきり言って面白いとは言えないが
ケネディ暗殺後の政治家の動きや、報道、家族の心境が知れたし歴史の勉強になった気がする。
愛する夫のため、そして子供のために懸命に戦ったジャクリーンの半生を映画を通して知れたのでよかった。

劇中セリフより

「命あるものはみな迷う」

他人の意見や自信のなさからくる不安、迷う事は負けや弱みを見せる事になるが、
誰もが迷っていると思えれば多少は気が楽になる。
一人で悩みを抱え込まないようにしようと思った。

フリント