ビニー 信じる男 : 特集
交通事故で選手生命を絶たれたチャンプの生き様がアンビリーバブル過ぎる!
伝説のボクサー《ビニー・パジェンサ》の魂震わす衝撃の実話!
「セッション」のマイルズ・テラーが驚異的な役作りで実在のボクサー、ビニー・パジェンサを演じたドラマ「ビニー 信じる男」が、7月21日より全国公開。「ハドソン川の奇跡」のアーロン・エッカートが、ビニーとともに歩む名トレーナー役を、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた話題作は、信じられないような衝撃の事実に基づく「涙腺崩壊」作品だった。
よくある実話モノ? いや、この実話は映画ファンの“驚きの限界”を更新する!
再起不能から王座奪回を目指した男の《アンビリーバブル》な奇跡の数々
こんな事実があっていいのか。映画ファンの「驚き」のレベルを突破する、壮絶な感動作が現れた。交通事故による重傷で、チャンピオンの栄光から一気に転落。再起不能はおろか、日常生活にまで不自由が残ると言われた状況から、スポーツ史上類を見ない超人的なカムバックを果たした元ボクシング世界王者、ビニー・パジェンサ。本作は、どんな状況にあっても決して自分を諦めなかった「信じる男」が、炎のようなハングリー精神で実現してきた「アンビリーバブル」な奇跡の数々を通して、誰のためでもなく、自分が自分であるために生き抜くことの輝きを映し出す、真実のドラマだ。
首の骨を折ったらどうするか。選手生命が終わることを告げられたら、常人なら事実を受け入れ、治療に専念するに違いない。だが、ビニーは違った。交通事故でひん死の重傷を負い、周囲の誰もが「終わった」と判断するなか、ただひとり、「俺はまだやれる」と再び立ち上がろうとするのだ。
大ケガを治療するなら、安全で確実な方法を選択するのが普通だろう。だが、ここでもまたビニーは違う選択をする。日常への復帰を最優先に、医師は脊椎の固定手術を勧めるが、それはボクシングを捨てることを意味する。ビニーは復活の可能性を懸け、はるかにリスクの高い(そして激痛を伴う)「ハロー」という器具で頭部を固定する手術を選ぶ。
いても立ってもいられない。1日も早くカムバックするんだ。ビニーは金属製の器具で首を固定……つまり、首を骨折した状態のまま、復帰に向けたトレーニングを開始する。マイク・タイソンを世界チャンピオンに育てた名トレーナー、ケビン・ルーニーを猛説得。ビニーは命を懸け、ケビンとともに秘密裏に、黙々とその力を蓄えていく。
首の骨を折った人間が、再びパンチの嵐を受ける。そこにはトラウマ的な恐怖しかないはずだ。だがビニーは、事故から約1年しか経っていないにも関わらず、ちゅうちょなくリングへと上がる。「遠慮なく打ってこいよ」という挑発は、逆に練習相手を怖じ気づかせる始末。やがて、ひとりが練習相手を申し出る。そして注目のスパーリングが始まる。
ビニー復活の報に、かつて離れていった金目当てのプロモーターたちがまた近づいてくる。誰もビニーの身体を気づかうようなヤツらじゃない。だが、彼らが持ってきた試合は、自身が失ってしまったチャンピオン・ベルトを再び手にするためにうってつけの内容──そう、世界タイトルマッチだったのだ。決戦の行方は、どうなる。
「セッション」の“あの狂気”再び!
映画化を熱望したスコセッシのもと、実力派キャスト&スタッフが集結!
信じられないような復活劇を果たした男の、すさまじい生き様を完全映画化するために、映画界屈指の実力派キャストとスタッフ陣が集結した。派手なCGや過剰な演出は存在しない。そこには、実在の男の半生と真剣に向き合って映画化に尽力したスタッフ、渾身の役作りで挑んだキャスト陣の熱意と肉体があるだけだ。シンプルだが力強い作品力が、見る者の心にスリルと興奮、強い衝撃と感動をもたらす。
アカデミー賞3部門受賞作「セッション」のドラマー役の鬼気迫る演技で、世界的な絶賛を浴びたマイルズ・テラーが主演。ビニーの壮絶な生き様に心打たれたテラーは、彼を演じることを熱望し、「ラ・ラ・ランド」出演のラブ・コールを辞して本作に臨んだという。8カ月かけて、85キロだった体重を72キロ、19%の体脂肪を6%にまで絞り、命を懸けてカムバックに挑んだボクサーを演じ切った。
目の肥えた映画ファンにとって注目すべきなのが、「沈黙 サイレンス」「タクシードライバー」の巨匠監督、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めていること。有能な若手監督を見出すことでも定評のある彼が、「これは最高のボクシング映画だ」と脚本を絶賛し、全面的なサポートを約束した作品なのだ。
傑作ボクシング映画には、偉大なトレーナーの登場がお約束。ビニーとともに途方もない目的に挑んだ実在のトレーナー役は「ハドソン川の奇跡」のアーロン・エッカート。同作で副機長役として主人公を支えた彼が、本作では頭髪をそり、18キロ増量の役作り。ふたりのバディ感にも燃える。ケイティ・セーガル、キアラン・ハインズの名優陣も共演。
監督と脚本を務めたのは、「マネー・ゲーム」のベン・ヤンガー。日本公開作は本作で2本目となる気鋭監督だが、製作には、アカデミー賞作品賞を受賞した「アメリカン・ビューティー」、同作品賞ノミネートの「世界にひとつのプレイブック」のプロデューサー、ブルース・コーエンが名を連ねる。スタッフの布陣にも死角ナシだ。
近年の実話映画ブームに一石を投じる衝撃の実録作──
映画ライター・高橋諭治が語る「こんな映画以上の実話があっていいのか?」
「ハクソー・リッジ」「パトリオット・デイ」「LION ライオン 25年目のただいま」など、17年だけを見ても多くの実話を基にした注目作が公開されているが、新たな作品が登場するたびに、「まだこんな“本当の話”があったのか?」と驚かされる。そんな実話映画ブームともいうべき流れのなかで公開される本作「ビニー 信じる男」は、どれほどの衝撃を持つ実話映画なのか。映画ライター、高橋諭治氏がその真価を述べた。